第55期DTPエキスパート認証試験講評

掲載日:2021年6月7日
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2021年3月開催試験講評を掲載しています。

第55期試験は、2020年12月に改訂したカリキュラム第14版を基に実施した。

学科試験および実技試験合格によるマイスター認証と、学科試験のみの合格によるエキスパート認証の2種類の認証方式を導入後、3度目の試験開催となった。

マイスター受験申請者とエキスパート受験申請者の比率は、4:6ほどとなった。マイスターは制作人材のチャレンジ目標、エキスパートは職種を問わず印刷関連の基礎知識習得目標という認識が広まってきている。

コロナ禍在宅時間の増加に伴い、社会人学習サービスの利用は軒並み上昇傾向にある。DTPエキスパート認証試験も年間で受験者数は1.3倍に増加した。

主にエキスパート受験者について、従来の受験者年齢平均が30代前半であったのに対し、今期試験は37.1歳と上昇した。印刷に関する普遍化した総合知識を学べることから印刷業界の定番資格として認知されてきた資格ではあるが、学習時間が確保できたことで職務経験の長い方もあらためて取り組んだのではないかと思われる。

こうした傾向は4月に実施した在宅で取り組める更新試験でより顕著に見られた。従来更新申請率は対象者に対して約80%で推移してきたが、今回は87.2%の申請があり、不確実な時代背景の中スキル形成要望を反映した結果となった。

固定化した業務を既定方法に従い行う人材から、変化する業務内容に応じて柔軟に対応する人材、さらには変化を起こす人材が求められている。まずは現業務に関する知識で足元を固め、デジタルメディアにも対象を広げて共通言語で新ビジネスに臨む姿勢がさらに重要さを増すだろう。

試験結果レポート

学科試験

学科試験の合格率は、54.2%となった。

カリキュラム第14版では、コミュニケーション施策の中で印刷物製作を一体としてとらえるという観点から、従来[DTP]カテゴリであったグラフィックデザインに関する項目を[コミュニケーション]カテゴリに含める構成とした。

これにより、出題時のカテゴリ区分も変更になったことから、従来に比べて[コミュニケーション]カテゴリの比率が増した。

ただし出題内容が大きく変化したわけではなく、受験者の出来栄えとしても結果に大きく影響はしていない。

出題のポイントとしては、以下の点が挙げられる。

  • 昨今のリモートワーク体制普及の中、校正業務のオンライン化は不可避な場面も多い。印刷物製作においては、単なるデジタルデータでの校正のやり取りだけではなく、制作進行を含めたプロジェクト管理的側面にも着目したいところだ。こうした現況を踏まえ、ディレクション力にも関連する出題を行った。

  • コミュニケーション施策においてビジュアル要素の重要性が高まるメディア環境において、画像の取り扱いへの習熟は必要不可欠である。今回は、写真の切り抜きやシャープ処理といった画像処理制作ツールに関する知識が問われた。

  • 実技試験でデザイン面に評価基準をシフトしている通り、目的に沿った効果を発揮する印刷物を制作するにはデザインセオリーの知識は不可欠となる。この点はエキスパート認証者にも必要な資質であるため、学科試験でも出題している。

実技試験

試験題材は、20代後半~40代の女性をターゲットとした総合ライフスタイル月刊誌の見開き企画ページのレイアウトをする、というものだ。ミステリー小説を全体のテーマとして取り上げ、その中の一つの企画として、小説に登場する和菓子を登場人物の台詞とともに紹介するというものである。企画意図に基づいた制作コンセプトをたて、支給素材を用いて誌面のデザインレイアウトを行う。

制作コンセプトでは、要項に記載の要件を正しく理解し誌面へ展開するよう、紙面構成、組体裁、配色等のコンセプトを記述する。発注者や制作者間で制作の目的に沿って共通認識を持つ前提である。

制作にあたっては、データの取り扱いに習熟し、「指示通りに正しく作る」ことに加えて、制作の前に要件の整理ができているかが重要となる。データ制作に入る前に要件を理解して企画意図を実体化する全体像をラフスケッチとして描くことで、実技試験の評価項目の一つである[デザインレイアウト]項目の評価の向上につながる。

提出物の全体水準は高く、企画意図を汲み、アイキャッチ画像の扱い、見出しのレベル分けや装飾等に工夫の見られるものが何点かあり、高評価となった。一方で、間違いなく整然とレイアウトしているものの、企画ページとして求められる視線誘導が実現できていないものは、残念ながら合格基準に達しない結果となった。またデザイン性は高いものの、要件に沿った画像加工でのミスが重なり不合格、という惜しい提出物も数点見られた。

正しく印刷入稿用データを制作できることは大きな強みである。その付加価値として、デザイン性の強化をマイスター認証では求めている。

DTPエキスパート認証委員会

次回DTPエキスパート認証試験

第56期試験 2021年8月22日(日)東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・札幌
および指定講座会場にて開催

●学科ポイント解説2日間講座
6月19日(土)・7月3日(土)
●実技ポイント解説講座
7月17日(土)※詳細近日公開