エキスパート資格取得・更新は印刷ビジネスの変化を捉える機会

掲載日:2021年7月7日
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2021年9月実施DTPエキスパート認証更新試験の申請は、7月6日~26日資格者マイページ上で受け付けています。

ビジネスにおける基本知識に加えて、固定化したスキルだけでなくビジネス環境と自身の働き方も踏まえた主体的なスキル形成が必要となる時代を迎えている。デジタルメディア環境を起点とした個別化商品・サービス需要の増加など、メディアを取り巻くビジネス環境が日々変化しているためだ。

加えて就業人口構成の変化という社会環境もあり、旧来の一斉行進で「みんなと同じ」キャリアを捉えるわけにはいかなくなっているという背景もある。

昨年来リモートワークが浸透し、生活者の日々の時間の使い方が変化したことで、有料動画配信サービスは急激に伸長し、書籍需要は増加するなど、一部産業への需要増の影響が見られた。個別学習需要もその一つである。


DTPエキスパート認証試験は、2020年3月に制度改定し、従来は学科に加えて実技にも取り組んで資格認証としていた方式を、学科の学習のみでも一つの資格として認証する方式、2段階制へと移行した。

かねてより学科のみでの資格認証の要望はあったものの、DTPエキスパート認証制度では印刷物制作の全工程を実制作含めてマネジメントできる管理者を人材像として想定してきたため、実技への取り組みは必須となっていた。

印刷業は、受注産業からデジタルメディアを含めたメディア施策全体についてプランニングする展開が長らく求められている。こうした業務には、印刷物製作の基礎から応用にわたるまで総合的な知識を持ったうえで、「頼れる印刷人材」として企画提案できる力が必要であり、営業職・企画職、場合によっては制作・システム設計などの職種の人材が主に関わることが想定される。

このような背景から、DTPエキスパートの人材像を再定義し、制度を見直すこととなった。専門性をより高め価値を生み出す印刷物を制作できる人材と、ビジネスを作る側によりシフトした人材である。前者をマイスターとして学科知識と実制作の両方を試験として課し、後者をエキスパートとして学科知識のみを課す。学科の範囲としては、ビジネスを作るための共通言語への理解を必要とするため、マーケティングについても学習してもらう内容となっている。

制度改訂後一年で、受験者は約1.2倍と増加した。マイスターとエキスパートの受験比率は、4:6ほどで、学科知識だけでも学びたい(あるいは企業として社員に学ばせたい)という意向が顕れている。制作環境の用意が整わない、マイスターは難しそうだからまずはエキスパートを選択した、という声もあるが、熟練の印刷人材も高齢化が進む中、ハードルを感じて取り組みをためらうよりもまずは印刷総合知識を確実に身に付けるところから始めていただければと思う。エキスパート取得後、実技のみのアップグレード試験に別の期で取り組みマイスター認証をあらためて取得することも可能となっている。

資格取得者は、取得後の継続学習として二年に一度更新試験を受けてもらっている。2020年度の更新率は84.2%と前年2019年度に対し4.2%上昇した。制度改定によってカリキュラムにも追加変更を行っている。過去二年間での新項目に触れることで、「更新試験を通して印刷業界の変化を捉えるようにしている」といった更新者の声も聞かれる。Web上の試験サイトで1カ月間いつでも取り組める試験となっているので、ぜひ学習時間を確保して取り組んでいただきたい。

JAGAT資格制度事務局 丹羽 朋子

2021年9月実施更新試験

第56期DTPエキスパート認証試験

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