デザイン制作スキルが求められるDTPエキスパート・マイスター

掲載日:2021年7月8日
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2段階制となったDTPエキスパート

DTPエキスパート認証試験は、2020年3月の第53期試験より創設以来の大きな制度変更を行った。つまり、学科試験だけの「DTPエキスパート」と、学科+実技試験の「DTPエキスパート・マイスター」の2段階制である。これまでに3回、新方式の試験が実施された。

改定以降、「DTPエキスパート」の受験者数が徐々に増加している。やはり、学科試験だけのDTPエキスパートのニーズが小さくなかったことが伺える。例えば、営業部門の方や若手社員にとって、この試験は基本的な知識を習得する機会として、取り組みやすい目標となっているではないか。

マイスター試験とデザイン制作スキル

一方、「DTPエキスパート・マイスター」は従来と同様の学科試験+実技試験である。しかし、実技試験の内容は大幅に変更されており、デザイン制作の能力を審査している。

従来の試験は、「印刷データ」と制作作業を分担するための「制作指示書」を提出するものであった。採点においては、印刷データとしての完成度が最重要であり、デザイン内容を重視しないとの不文律があった。

それに対して、新たな「DTPエキスパート・マイスター」は、印刷データ制作のエキスパートであることはもちろん、デザイン制作のエキスパートでもあることを想定している。クライアントや編集者の意図に応じて、伝えたい内容やターゲットを整理すること、デザイン・レイアウトを通じて表現できることが求められている。

実技課題においては、そのプロセスを「制作コンセプト書」として記述し、「印刷データ」と併せて提出する。

読者にもっとも伝えたいことは何か、全体のバランスや優先度によって重点を置くところはどこか、それらを表現するために、どのようなデザイン・レイアウトを行うのか。コンセプト書では、「全体コンセプト」「レイアウト」「組版」「配色」などの項目ごとに、デザインの考え方、留意した点などを記述する。

誌面データは、印刷データとしての完成度は当然ながら、デザインの完成度が審査される。メインの画像や見出しの配置、書体の選択が適切かどうか、本文の設定や視線の流れに問題はないか、情報が整理されて理解されやすくなっているか、など総合的な観点で採点される。

受験される方は、この機会にデザイン力・デザイン制作スキルとは何か、改めて見直すことをお勧めしたい。大学や専門学校などグラフィックデザインを学んだ方は復習を、そうでない方は関連書籍などで体系的に見直してはいかがだろうか。

「DTPエキスパート・マイスター」の学習を通じて、デザイン制作のエキスパートとしてスキルアップすることを目指してもらいたい。

JAGAT 研究調査部 千葉 弘幸

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