エキスパート認証試験 出題の意図と傾向

掲載日:2015年5月26日
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【メディアビジネスの未来に備える人材育成プログラム】2015年3月15日(日)に実施したエキスパート認証試験の結果発表を去る5月20日Webサイト上で発表した。今期の試験結果概要をお伝えする。

 結果概要

筆記試験と課題制作試験を合わせた最終合格者は114名(合格率38.9%)

筆記試験

今期は、出題カテゴリーをカリキュラム第11版に従い「DTP概論」「色」「印刷技術」「情報システム」「コミュニケーション」とし、各カテゴリーとも80%以上の正答率を合格基準としている。
従来にも増して、印刷物(あるいは他メディアにおいても)に求められるコミュニケーションツールとしての役割が重要視されていることもあり、これまで発注者の知識として位置付けられてきた問題について、出題観点によっては「コミュニケーション」カテゴリーの問題として取り扱った。
「コミュニケーション」については今後も新問題出題が予測される。今後発刊予定の学習教材(受験サポートガイド改訂版)でも解説等取り扱っていく予定である。
以下はカテゴリー別の正答率である。

DTP概論 印刷技術 情報システム コミュニケーション
79.3% 82.6% 76.5% 76.5% 90.9%

「印刷技術」「情報システム」の正答率が低い傾向がある。
カテゴリーごと採点の不合格者の統計でも、「印刷技術」のみ合格基準に達せず不合格となった方が多かった。今期はこのカテゴリーで新問題も多く出題されたが、印刷物のスペシャリストとして求められる基準を鑑みて設定されている。

 課題制作試験

概要

受験者293人に対し、課題提出者は230人となった。課題合格率は、提出者ベースで81.7%であった。
従来からの傾向だが、制作指示書の不備・減点で不合格となった課題が今回も多かった。
例えば紙面設計図に配置位置の数値指定が1個所もないものは、あくまでイメージを伝えるラフレイアウト図であり、紙面のレイアウト指定をしているものとはみなせないため、減点となる。実技試験問題の指針・与件を示した「課題制作の手引き」にある通り、本試験で求めている制作指示書とは、「受験者が制作した方法を、第三者が継承して制作するために必要な各種設定や制作手法、制作工程、注意事項などを記したもの」としており、単に最終成果物の出来上がる過程を記したものを求めているわけではないためである。
また作品については、常識を超える大容量データで提出されるものが数件見受けられた。実作業上不適正であり、試験基準で示しているところの「データ処理上常識に反する設定」と判断される場合もあるため、作成時、提出時のチェックポイントとしていただきたい。

今後の実技試験
B課題ペラ物テーマでは、長らく「旅行チラシ」を扱ってきた。
旅行チラシはテキスト、画像、表組、イラストなどあらゆる素材を扱うため、試験を通して学んでいただく課題としては実制作のあらゆる側面を基準に盛り込むことのできる課題である。実際に、受験経験者から、資格への取り組み以外でも、後輩への実業務の指導にこの素材を使わせてもらえないかというご相談を受けることも何度かあった。(試験問題であるためご遠慮いただいたが。)
しかしながら、DTPエキスパートカリキュラムに新たに「コミュニケーション」というカテゴリーを追加した通り、制作物をコミュニケーションの中の一つのツールとして捉えると、旧来の印刷物製作の枠組みの中だけでの課題設定に留まらず、現在の市場において印刷物に求められる役割を踏まえた課題に取り組んでいただく機会を提供するという使命も本制度にはある。
このことから、次回以降実技試験のテーマ変更を検討している。
詳細は、次期44期試験新出題項目発表時期の公開を予定している。

DTPエキスパート認証委員会
文責:JAGAT資格制度事務局 丹羽 朋子

第43期DTPエキスパート認証試験 合格発表
第19期クロスメディアエキスパート認証試験 合格発表

次期試験日程:2015年8月30日