組版設計、画像の解像度・ファイルサイズの計算

掲載日:2022年3月24日
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DTPエキスパート認証試験の択一式(学科)試験では、「組版設計」、および「画像の解像度とファイルサイズ」を計算する問題が出題されている。これは、本試験が創設されて以来のことで、定番的な出題となっている。したがって、試験規定においても「電卓の持ち込み」が許されている。

DTPエキスパート試験への出題の意味は?

最近、印刷会社向けにDTP講座をおこなっている講師の方から、これらの計算問題に関して、受講生から以下のような質問を受けているという話を聞いた。

「InDesignで文字サイズや文字数・行数などの数値を入力すれば、それだけで版面サイズの結果が表示される。」

「Photoshopで画像を開くだけで、その画像の解像度や表示サイズ、ファイルサイズが表示される。」

つまり、「アプリケーションソフトが教えてくれるので、自分で計算する必要がない」、「このような計算問題には、意味がないのでは?」という考えのようだ。

この質問をされた方は、レイアウトフォーマットやテキスト原稿・画像データなどが支給され、DTPアプリケーションソフトを駆使して仕上げることを日常業務とされているのでないだろうか。また、画像の解像度や表示サイズは、社内の標準ルールに合わせるだけで済むため、自分自身で考える必要がないという立場なのであろうか。

そのような業務だけを想定すれば、「自分で計算する意味がない」という思考に陥るかもしれない。

計算スピードよりも大切なこと

DTPエキスパートに求められる知識や技能は、これらのDTPアプリケーションソフトの操作に長けているかどうかではない。
たとえば、これから発行する冊子やパンフレットのレイアウトフォーマットを設計することもある。その際には、発注者や関係者と詳細を検討することもあるだろう。
また、複数の関係者で作業を分担するために、割り振りや指示を行う立場となるかもしれない。

つまり、DTPエキスパートには、このようなレイアウトフォーマットや運営ルールや体制を検討し、設計、プランニングする能力を備えていることが求められている。

そのための基礎の基礎として、このような計算問題が出題されており、ある程度の時間内に回答することが必要である。

印刷物のデザイン・制作の基礎を身に付けている方なら、このような計算は頭の中でおおよその数値が浮かぶのではないだろうか。電卓があれば、容易に結果を出すことができるはずである。

筆者の体験上では、「仕事ができる人ほど、計算が速い」という法則がある。計算スピードが速いという意味ではない。基本パターンをいくつか覚えていれば、おおよその計算結果が類推できるためである。

例えば、A5サイズで350ppi、RGB 各色8bit 画像のファイルサイズを基本パターンとして覚えていれば、A6サイズはその半分で0.5倍だと類推できる。CMYK4色ならば、4/3で1.33倍と類推できるだろう。

経験や知識を積み重ねると、基本パターンに相当するものが何か判ってくる。そのため、ほぼ即答に近いタイミングで答えることができる。

DTPエキスパートを受験されるかどうかはともかく、自分なりに組版設計や画像解像度とファイルサイズの基本パターンを覚えておくと良いだろう。

(研究調査部 千葉 弘幸)