投稿者「太齋一江」のアーカイブ

2.書体の変遷(5)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

書体の起源:2.書体の変遷(5)

 

(5)楷,行,草書の時代(六朝)

漢代から萌生えて変遷してきた隷書,草書,楷書が三国の時代の過渡期書体を経て行書体を含めてこの時代に完成の域に達したものと推察できる。この時代以降の楷書の多書体が後世に大きく影響している。書体は地勢風土の違いから,南朝は揚子江沿岸の江南の温雅さ,北朝の野趣と雄渾さとの対照的な書風が生まれる。南帖北碑とよばれるように,南方には「帖に書く」行書,草書類が多く,北方は「碑,磨崖の石刻文字」に使われる楷書が多種である。帖の書体を重んじる帖学派と,石刻書体の碑学派に書風が分かれる。この時代の書体が文字の習得を志す者の手本として今日に及ぼしている。

 *南朝の書
 行書,草書は帖の筆写に適した書体であり,南朝の書体群の楷書,行書,草書のいずれにも毛筆書の基本となりその極限に達した王義之の書が,今日に至るも漢字圏の書体の規範になる。

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*北朝の書
 北朝では仏教関係の造像記,石碑などに適応した書体の楷書体が多く用いられる。北魏の書は,たくましく,気勢のある書体で,整然としている中で自由奔放で,拘束的な要素が少なく個性的な楷書体で種類が多い。現在も六朝風書体として活用されているが,各地に残る老舗の屋号などは碑学派の隆盛で六朝風書体が多い。

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 (印刷情報サイトPrint-betterより転載)

2.書体の変遷(4)

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書体の起源:2.書体の変遷(4)

 

(4)隷,楷書の過渡期時代(三国)

漢代の隷意を承けて,徐々に現代の楷書に近い隷楷書体中間とも思える書体が見られる。漢に萌芽した楷書は,この頃に完成の域に達したものと推察することができる

*楷書とは後漢末頃から,隷書の特徴を承けながら,字画が明確で平易な字形の書体である。文字書体の基本になる。

*草書とは隷書から字体を省略して速書のできる書体として草書が生まれる。単草字から何字かの文字を連続して書く草書へと発展する。

*行書とは楷書,草書の中間的な書体で,書き易いために広く使われる書体である。楷書に近い字体から草書風の字体まで多種の字体が表現される。

 

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

2.書体の変遷(3)

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書体の起源:2.書体の変遷(3)

 

(3)隷書の時代(漢)

漢代になり隷書が正書体となる。篆書は曲線と整斉な形で構成し実用では不便な書体であった。秦代にも篆書とは別様式で,簡易な略書体として隷書が出現し通用している。直線的で速記に適して工夫されたのが隷書であり,楷書に近い字体である。金石碑文に使用され後世に残されている隷書の代表書体はこの時代のものが多い。

*隷書とは隷書には古隷と八分に分類されている。隷書の特徴は横画と左右の払いにリズムをつけ,波打つように筆を動かせてはねだす。波磔と呼ぶが一種の美的表現である。横画に基調があり,横に広い扁平で安定感のある字形である。

◎隷書には古隷―初期のもので波磔が無く,篆味がある。 八分―波磔があり,「八」の左右に広がる意から通称,八分と呼んでいる。印刷書体の明朝体などは,隷書体の字体が影響している要素が多いように考える。

*章草とは漢隷の八分は波磔を含むので速書には不適なのだろう。隷書の字体を省略した行草字体であり,いまの草書体の基になる。隷書から草書への過渡期の書体である。

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 (印刷情報サイトPrint-betterより転載)

2.書体の変遷(2)

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書体の起源:2.書体の変遷(2)

 

(2)篆書の時代(秦)

秦代の政策に字体の統一があり,古文(大篆)を基礎に新しい文字を統一して制定した。この書体が篆書であり,古文の大篆に対して小篆(秦篆)ともいわれる。

*篆書とは篆書は筆を回転させて書く書体の意がある。縦長で黄金分割比の文字ともいわれるくらいに,威厳と均整のとれた美しい字形は,字体構成の規範ともいえる。後に説文解字の親字になる

「説文解字」後漢(100)許慎の著は,文字(小篆)を部首によって分類し,各文字の字義,字形の構造などを説いた字書である。文字を部種別に分類した最初のものであり,後世の分類に影響を与えている。

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(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

2.書体の変遷(1)

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書体の起源:2.書体の変遷(1)

 

(1)古文の時代(夏,殷,周)

*甲骨文とは殷代に亀の甲や獣骨などの断片に刻まれた文字であり,主として占卜などの宗教的なものに使われた文字である。直線,折線による構成で簡潔な字画から原始的な文字といわれるが,シンプルでシンメトリーの素朴さの中で漢字の字体構成の原点がここにある。次の時代の金石文へ続く骨組みを備えている。

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*金石文とは周代は青銅器文明の時代であり,儀式用の青銅器に鋳込まれた文字で,鍾鼎文とも呼ばれる。石刻文字で最古の石鼓文を含めて金石学が生まれているように,絵文字から進化した原始文字としての特色といえる多彩で装飾的に富んだユニークな形で表わされている。約三千年の歳月を経ているが,自然の趣があり,興味のある書体群である。古文の研究に貴重な資料といわれる。

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(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

1.書体の概要

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書体の起源:書体の概要

 

1.書体の概要

文字は約五千余年前,中国の黄河流域で言葉を伝達・記録するための符号として社会環境などの変化に対応して推移し発展してきた。一方書体は,亀の甲や牛の骨・青銅の器・版木彫刻の文字・毛筆などの用具の書など,文字を記録する媒体によって多彩な様式が生まれる。書体は時代背景や作者の個性が反映す書風などが相俟って,それぞれの書体が完成したものである。書体の変遷は篆書,書,楷書,行書,草書と段階的に推移してきたのではなく,過渡期的な書体があり時代を経て洗練されたものである。後に篆書,隷書,楷書,行書,草書の書体(スタイル・書風)として完成し名称がつけられたものであるが,各書体には固有の字体をもち,書体と字体はともに推移しているのである。

現在の明朝,ゴシック体は,字を記録する媒体に適応してきた歴史的書体の推移のなかで,現代のメディアに適応した読み書きの代表的な印刷書体とし発展し使用されている。

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 (印刷情報サイトPrint-betterより転載)

乾燥不良による汚れの原因について(231)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:見当不良・汚れ・ゴースト

 

乾燥不良による汚れの原因について(231)

【概要】
 乾燥不良による汚れの原因について詳しく教えてください。

 【解決方法】
 乾燥不良による汚れの原因とは、裏移り(オフセッティング)の事だと思います。裏移り は、大きく分けて5つの原因があります。

1)インキ乳化によるもの。
インキの適性乳化率(インキ中の湿し水の量)は、15~17%と言われています。20%以上 乳化したものを、過剰乳化と言います。過剰乳化したインキはボソボソになり紙面上でイ ンキ表面は凸凹な状態になります。適性なインキの状態では、表面は平らになります。そ れをインキレベリングと言います。インキ乾燥も大幅に遅れて通常のインキ乾燥の1.5~2 倍位乾燥時間が掛かります。そのために、裏移りにつながります。

2)インキの盛り過ぎによるもの。
インキの盛り過ぎによる裏移りの原因は、不適切な校正刷りに色を合わせようとするため にインキを盛り上げることによります。校正刷りが標準濃度をはるかに越えた濃度になっ ているのに、それに色を合わせようとするからです。校正刷りにときたまダブリが発生し たものも有ります。印刷する前にルーペで必ず校正刷りをチェックして、不適当な校正刷 りの場合は上司に相談してください。特色印刷のとき、出来上った特色インキが薄めの場合、インキを盛り上げて色を合わせようとしますが、それも裏移りの原因になります。

3)紙質・紙くせによるもの。
 紙質とは、被印刷体のことです。トレーシングペーパー・フイルム・アルミホイルなどの 非吸収紙などは、インキ中の石油系溶剤や湿し水が原単に浸透せず、インキの乾燥が大幅 に遅れるために裏移りが起きます。合成紙の印刷で、普通のインキを使用すると、イ ンキ中の石油系溶剤が合成紙に浸透して、合成紙のインキが乗った所は膨潤して膨れ上が り裏着きにつながります。合成紙の印刷には、合成紙用インキを使用してください。

 再生紙の印刷でインキの擦れや、裏移りが増えています。再生紙は通気性が悪く、 吸油性・吸水性も悪いためインキの乾燥が遅れます。インキの表面がセットされたように 見えても、インキの下部は固まっていないことがありますので注意してください。
 紙くせは、くわえ尻のベタ部などがカールする、エンドカールは困りものですが、用紙の目は、縦目より横目のほうがカールが少ない事があります。また、カールが発生した場合インキを柔らかくしますが、助剤に00ニスは使用せず、コンパウンドかレジュウサーを使うようにします。湿度の多い部屋に用紙を置いておくと、用紙は周りから湿気を吸い波打ち状態になります(ウエービーエッジ)。反対に湿度の少ない部屋に用紙を置いておくと、用紙は周りから水分が蒸発してオチョコ状態(タイトエッジ)にります。いずれにせよ、紙くせが悪いと裏移りにつながります。

4)静電気によるもの。
 冬期の乾燥期には大気中の湿度は大幅に下がり、相対湿度(RH)は40%以下になりやす くなります。RHが40%以下になりますと用紙に静電気が起きやすくなり、25%以下にな ると静電気が起きます。用紙に静電気が起きると、フイーダーからの用紙の送りだしが悪く、2枚差し等でフイーダーストップの原因になります。一方デリバリサイドでは、刷られたばかりの刷り本と刷り本が静電気のために、ぴたっと吸い着いたようになり、裏移り事故になります。印刷室や製版室の湿度はRH60%±5%にしておかなければなりません。RH60%前後にしておくと用紙やポジフイルムなどに静電気は発生しません。

5)デリバリ部の紙の不揃い。
デリバリ部での紙の不揃いも裏移りの原因になります。排紙部の左右の寄せ木(サイドジ ョガー)と天地の寄せ木(バックジョガー)を紙サイズに正確に合わせなければなりませ ん。排紙される刷り本に左右の寄せ木が当たって、刷り本が左右に動く様では裏移りと言 うより、インキ面の擦れ汚れになります。裏にも着きます。デリバリ部で刷り本が、断 裁機で断ったように揃った時は裏移りは発生しません。

6)その他
 印刷し終わったばかりの刷り本を、急激に動かしたり、刷り本の上に物を乗せたりするこ とは常識外のことです。しないでください。
インキの乳化が激しいときは、エッチ液と使用しているインキがミスマッチを起こしている場合があります。その場合エッチ液を変えてみるのも一つの方法です。

 最も重要な事は、工場内の環境(温度・湿度)の整備でしょう。

 
 「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

水元ローラーのスキューについて(039)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:ダンプニング

 

水元ローラーのスキューについて(039)

【概要】
 水元ローラーがひねられてセンターの水がしぼられますが,見ているとツマミがあるL側しか動いていないような気がします。

 【解決方法】
L側(操作側)だけ水元ローラが可動なのは,機械の構造上および調整上の理由のよるものです。
 両側で調整(ひねり)が可能であれば左右単動で回しているうちに,基準となるべきポイントがなくなってしまうからです。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

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マッコート紙はなぜ乾燥が遅いのでしょうか。(259)

※本記事の内容は掲載当時のものです。

印刷技術情報:紙

 

マッコート紙はなぜ乾燥が遅いのでしょうか。(259)

【概要】
 マッコート紙は何故乾燥が遅いのでしょうか。また、マットコート紙にマッコート用インキを使うと何故良いのでしょうか。インキの特性等についても具体的に詳しく教えてください。

 【解決方法】
  乾燥が遅い理由の第1は,マッコート紙はアート紙に比べてインキ盛り量が多いからです。用紙表面がマット状なため,インキ量の係数としてアート紙1.0に対しマットコート紙1.4と約40%多くインキを盛らないと、必要濃度が得られないからです。 第2の理由は,マットコート紙のPHは4.0~5.5の間で酸性タイプが多く、酸性によるインキ乾燥の遅延が考えられます。

マッコート用インキは、通常のインキより顔料が多く入っているため濃くなっています。ドライヤー・裏移り防止剤も多く、また表面強化剤のワックスも入っています。これにより、通常のインキの盛り量と同じ程度でアート紙と同じ程度の濃度が得られます。また、裏移りやインキの擦れの問題も解消されています。

 

「本記事の内容は、JAGATが印刷の技術者を対象として行なっている通信教育講座「印刷技術者トラブル対策コース」
「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

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製本方式は,無線綴じが増えていると聞くが本当か(307)

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印刷技術情報:マスターペーパー

 

製本方式は,無線綴じが増えていると聞くが本当か(307)

【概要】
 製本方法には中綴じや無線綴じなどがありますが,無線綴じの割合が高くなっているというのは本当でしょうか?また,中綴じの針金はリサイクルと聞いたのですが本当ですか?

 【解決方法】
 製本方式では、ハードカバー仕様の上製本は糸かがりで綴じられていますが、製本加工 工程が多くコスト高になってしまいます。
ページ数の多い厚い書籍も最近は無線綴じが増えています。文庫本やJAGATのテキスト ブックも無線綴じで作られています。アジロ綴じも無線綴じの一種です。
カタログ・パンフレット類は8-16-32頁程度の頁数で、針金中綴じ製本が主流になってい ますが、カタログ・パンフレット類の中綴じなども針金中綴じから糊付け中綴じに変りつ つあります。中綴じ糊付け装置は、製本紙折り機に取り付けられるものや、オフ輪の加工 部分で糊付け中綴じされるものもあります。
 中綴じの針金が、再生紙をつくるとき邪魔になりますが、ホットメルト(糊)も邪魔にな ります。中綴じに糊付けを用いるのは、製本工程でオンラインで綴じることができるため,コストダウンにつながるのが魅力の様です。中綴じ糊付け製本は、16頁までの製本です。平綴じ製本の厚い本は、針金平綴じが多いです。本文の紙質が低いもの、例えば更紙を使ったマンガ本などは、針金を使用したほうがコストを低く押さえることになります。
それは、紙質が悪いためホットメルト(糊)が沢山必要になるためコスト高になります。

 

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「オフセット印刷技術者コース」の受講生から1993年から2000年までの8年間に寄せられた質問とその回答の中から編集しました。

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)