DTPエキスパート」カテゴリーアーカイブ

2019年3月本試験・4月更新試験結果通知発送

本日下記試験の結果通知を発送いたしました。

第51期DTPエキスパート認証試験
第27期クロスメディアエキスパート認証試験

第51期DTPエキスパート認証更新試験
第27期クロスメディアエキスパート認証更新試験

JAGAT資格制度事務局

【資格者インタビュー】未来を見据えた 自発的なスキルの形成

広研印刷株式会社 メディア情報本部に勤務する三枝 祐介氏は、2010年よりDTPオペレーターとしてのキャリアを始め、広研印刷株式会社に入社して5年目となる。「会社の業務の方向性の中で自身に求められるものは何か」「未来を見据え自ら習得すべきスキルは何か」に対し意識的に取り組む三枝氏の活躍についてお話を伺った。

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三枝 祐介 氏

広研印刷株式会社 メディア情報本部メディア制作部

 

会社ではどのような業務を担当していますか。

DTP 制作を行うメディア制作部において、InDesign、Illustrator などのDTP オペレーションを主に行っています。場合によっては面付けやDDCP 出力などの製版業務も行います。その上で、品質担保のための確認作業の効率化(事故防止のためのデータチェック)と、制作作業の効率化(時短・作業精度向上)といった部分で、それらを自動化するスクリプトを管理開発、保守運用する業務も行っています。

私のチームには現在、私を含め6 人の社員がいますが、そのリーダーとしてチームマネジメントをしながら、これらの実作業も行っているという立場です。

DTP 関連のスクリプト開発運用については、どのように習得したのですか?

当社では多能工化が推進されており、さまざまなスキルを身に付けることに対する会社のサポートもあります。そうした中で、制作部としてどのようなスキルがあると会社に貢献できるかという点を上司に相談したところ、「スクリプトに興味があるならやってみるといいよ」といった示唆がありました。スクリプトを書ける先輩がいたこともあり、また自らやってみようという気持ちがあって手を挙げ、勉強を始めました。先輩にアドバイスをいただきながら、途中からはほぼ独学で幅を広げていき、面白くてどんどん詳しくなっていきました。現在では、他部員からのスクリプト制作依頼やクレーム対応時にスクリプトでカバーできる部分がないかなど相談の窓口となり、スクリプトの知識のある同僚も交えて検討しながら橋渡しをしつつ対応しています。

エキスパートを取得しようと思った動機は何ですか?

制作・製版部門であるメディア情報本部では、全員がDTP エキスパート取得を義務付けられています。また、営業部などでも取得が推奨されています。DTP エキスパート取得以前は製版の知識が印刷の知識に結び付かないまま制作を行っていましたが、この資格を取得することにより、印刷の全体工程にわたる知識を習得し理解したうえで業務に取り組めるという足元固めとなりました。

クロスメディアエキスパートについては、何か自身のスキルアップのために資格を取得しようと思い検討し、日常業務に直結するわけではないものの、デジタル関連技術の部分では関連する内容も含まれるクロスメディアエキスパートを取得したいと思うようになりました。資格取得について会社に相談したところ、教材やセミナーの費用は全て負担してもらえました。

クロスメディアエキスパートへのチャレンジは、最初はDTP とはまるで違う山を登っているように感じました。DTP エキスパートはどの分野も直接的に自分の業務につながっているイメージがありましたが、クロスメディアエキスパートでは、予算や工期、マーケティング、環境、経営といった内容が含まれ、どこから手を付けていいか分からないほど未知の分野でした。人に聞いたりインターネットで調べたりしているうちに、少しずつどのような情報ソースに当たればよいかが分かるようになりました。

この資格に取り組んだおかげで現状の社内業務では触れることのなかった領域を知ることができ、新たな視点を得られたところが良かったと思います。ただ、知識という部分ではDTP 業務と関連するところはあると思います。当初まったく勉強せずに問題を解いたときは、6 割ぐらいしか分からなかったのですが、その中でも技術的な問題はほぼ解けました。普段DTP 業務の関連でスクリプトを扱っているので、ネットワーク関連や言語に関するところなどでは日常業務の考え方を生かせたと思います。自分にとっては、マーケティング関連の問題が難しかったですね。逆にそれを詰めていけばいけるかもしれないな、というのが最初の感触でした。

クロスメディアエキスパート取得後、業務に生かされている部分はありますか?

普段制作部の人間は、業務全体の中のごく限られた部分にしか関わっていないため、その部分しか見えていない面があると思います。DTP エキスパートと合わせてクロスメディアエキスパートを取得したことで、page やIGAS などの印刷関連イベントに出向いた際に、印刷という仕事に対するアプローチについて川の上流から下流までの全体を大きく見渡せるようになっていると実感しました。マーケティング、経営などもっと大きな視野で流れを見ることができるようになったと思います。例えば見積もりを出すにしても、自分たち制作の人間は、制作に関する部分しか費用面の知識がなく、企画や開発などにどれだけの費用がかかるといったことを知らずにいました。クロスメディアエキスパートではこうした費用感を学ぶ必要もあるので、業務全体を知るのに役立ちます。自分の関わる仕事に対して、業務全体の中の制作業務の位置付けを感じながら、見通しを持って向き合えるようになりました。

また、営業担当者との会話の中でも、話題に出てくることの意味に察しがつくようになり、今の話題が業務全体のどの段階の話なのかといったことを推し量れるようになるなど、コミュニケーションが図りやすくなったように感じています。

さらに、マーケティングの知識が身に付いたことで、顧客の関心の度合いなどを踏まえてサービスに落とし込んでいくといった考え方ができるようになりました。こうした点は、社内において自らサービスを作りたいと思った時にも役立ちます。現在の自分の業務で言えば、スクリプトを開発運用するにあたっても、社内のニーズを拾って形にして運用フローにのせる、という捉え方は、マーケティング思考が採り入れられたことで良い方向に働いていると思います。現在の業務の課題として会社から言われているのは、「数字を上げることと品質を上げること」です。その課題を解決するためもありスクリプトを使っているわけですが、そうした対策を有効にするには、自分の目の前の業務だけでなく、その前後の工程も把握して全体で捉えなければなりません。全体最適を念頭に置いたものの見方ができるようになった意味は大きいと思います。

社内では、自らの意思でのスキルアップを応援してもらえる空気がありますか。

会社からは「勉強しろ」とはよく言われていますが、強制はされません。自分は、自らやってみたいと思うことに積極的に取り組む性質なのですが、そんなときも社内のさまざまな業務の実務に精通している方々にアドバイスをもらうこともできます。学んでみたいことを自ら提示すると、意思を尊重してサポートしてくれる職場だと思います。

費用面では、参考書籍を購入したり社外のセミナーに参加したりする際は、ほぼサポートしていただいています。自分から勉強したいと思う人には、恵まれた環境だと思います。

その他自身のスキルアップのために取り組まれていることはありますか?

InDesignなど社内に詳しい人がいることについては社内で教えてもらいますが、それ以外の場合はインターネットで調べたり、Twitter で人に教えてもらったりしています。まず関心のあるテーマについて詳しい方に対して自らアクションをとって教えてもらうようにしていますね。参加したセミナーの出席者に自らアプローチし人脈を広げて学ぶこともあります。その分野に詳しい人が一人いれば、そこからたくさんの情報が得られることが多いのです。

各種勉強会などに参加して人脈を広げ、時には自分が講師となって人に教えることもあります。社外で学びの場を持つことでかえって自社の強みが見えるところもあり、また外部からの刺激を受けることもあるなど、よい循環となっていると思います。

今後のご自身の仕事の展開について、どのような展望をお持ちですか。

今後はウェブの開発などを絡めて仕事の範囲を広げていきたいと思い、今勉強しているところです。例えばPDF 入稿によるWeb to print のワークフロー開発などは営業担当者との雑談で話題に出たりもします。こうしたビジネスモデルはDTP オペレーターが介在しない業務を想定することになりますが、時代の要請にも応えながら業務を捉えなければなりません。そのためには、なるべく幅広く勉強して先手を打ち、仕事の範囲を広げる必要があると思っています。会社の業務が広がり存続していかないことには、個々の仕事も続きませんので、会社が変化すれば、自分たちも変わっていかなければならないと思っています。

取材・まとめ JAGAT CS部 丹羽 朋子
-JAGAT info 2019年2月号より転載-

【資格採用企業インタビュー】経営陣自ら資格を取得し 社員の意欲を引き出す

新宿区西早稲田に本社を置くタクトシステム株式会社は、カタログ制作を中心に業務を展開するコンテンツ制作会社である。現在では、カタログ制作の業務改善提案や、エンドユーザーへの訴求効果を高める手段の提案など、マーケティング業務も視野に事業を展開している。
取締役の大熊 努氏は、2017年8月のクロスメディアエキスパート資格取得に続き、2018年8月にDTPエキスパート資格も取得した。経営陣自ら両資格に取り組まれた背景を含め、タクトシステムの人材育成方針等についてお話を伺った。

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大熊 努 氏
タクトシステム株式会社 取締役/経営管理本部長

貴社の事業と最近の傾向についてご紹介ください。

10 年ほど前、通信系の上場会社であるフォーバルテレコム株式会社が、当社を100%子会社化しました。私自身もフォーバルテレコムグループ出身のため、印刷業界は経験ゼロというところから始めています。もともとフォーバルグループは通信系の会社が中心であるため、グループ内での当社の位置付けは異質に感じられるかもしれませんが、顧客基盤の共通化による異業種シナジー効果を期待していました。

当社はカタログ制作が売り上げの7~8 割を占めています。ただし、カタログによる訴求効果が薄れてきている面もあり、お客様からは従来通りのカタログだけでなくさまざまな手段を提案してもらえないかという要望があります。こうした現況を踏まえ、マーケティング視点を持ったエンドユーザーとのコミュニケーションを念頭に置いた提案や、カタログ制作での業務効率改善の提案なども行っており、現在はそうした業務の比重が高まってきています。

従来事業に加え新規事業も増えていく中で、貴社では人材にどのようなことを求めていますか。

人材育成については、OJT だけでは欠落してしまうところがありますので、資格を取得して知識の欠損を埋めることを推進しています。フォーバルグループの会長(大久保 秀夫 会長)は自らも国家資格を取得するなど、グループ全体で前向きに資格取得に取り組むことを推奨してきました。

10年前の子会社化の際、フォーバルテレコムの上層部は当社でも資格取得に取り組もうと話したのですが、当時社員には資格取得に対して懐疑的な空気がありました。3年ほど前にフォーバルテレコムから現社長(梅林 保典 社長)が社長に就任後、あらためて資格取得を推進していこうという機運が本格化しました。梅林自身も資格取得については非常に積極的に取り組んでいます。

トップダウンで資格取得を推進するのは難しい側面があると思いますが、資格取得の機運が高まった要因は何ですか。

グループ内の会社で積極的に取り組んでいるため、当社でもやらざるを得ないという雰囲気になってきました。外圧の影響というのでしょうか。当初社員は嫌々取り組んでいる感もありましたが、そのうち積極的に取り組む人間が出てきました。会社の推奨資格は幾つかあるのですが、その中で比較的やさしい資格から取り掛かっていき、最終的には当社の核であるDTP 制作に最も近い資格であるDTP エキスパートを筆頭に取得してほしいという方針を掲げ、3年近くが経過したところです。現在では、資格取得を盛り上げていこうという声が社員の中から立ち上がってくるようになりま した。

貴社のウェブサイトには、取得資格の一覧など詳しく掲載されていますね。

ウェブサイトで掲載もしていますが、さらに資格取得を推進する中で、毎月一回資格取得者を掲載した社内通達を出し、全社員に対し閲覧を必須としています。会社推奨資格のうち、新たに資格に合格した社員の情報と、これまでの取得者、累計合格者の一覧をまとめたものです。当社の推奨資格には3 段階あり、推奨資格、昇格要件資格、一時金支給対象資格、というものがあります。エキスパート認証資格はその全ての対象となる資格に位置付けています。これを定期的に社員の目に触れるようにし、各自の取り組み意欲を刺激しようというのが目的です。

費用面の会社からのサポートとしては、全ての推奨資格について、合格の場合受験料を負担し、また一時金対象資格については、資格ごとに規定を決めて一時金を支給しています。

資格取得に対して社内を盛り上げる雰囲気づくりでご苦労された点、工夫された点はありますか。

今、中心的に取り組んでいるのは若い層なのですが、マネージャー層にはまだ資格取得に対するアレルギーがあるようです。これを解消するには、まずは経営陣である私自身が会社推奨資格をすべて取得したうえで、こういうメリットがあるということを話していこうと思い、今回もDTPエキスパートに取り組みました。

実際に取得してみると、この資格の必要性を実感しました。オペレーターや制作業務者向けに最適といわれている資格かもしれませんが、私が取り組んでみて感じたのは、営業部門や生産管理部門などが取得するとむしろ良いのではないかという点です。体系的な知識が身に付くため、トラブルがあったときなどの知識の拠りどころになります。今後そういう方向で勧めていこうと思っているところです。

資格を推進することで、社外からの反響はありますか。

弊社CMB(クロスメディアビジネス)事業部門に、クロスメディアエキスパートを取得した者がいるのですが、その者が中心となり営業とタッグを組んで、資格で得た知識をベースにして弊社のマーケティングを積極的に行っています。クロスメディアからスタートしまして、GAIQ(Google アナリティクス個人認定資格)で得たスキルなども含めて弊社のマーケティングを行ったところ、その成果が表れてきているのです。今まで新規開拓が思うように進まなかったのですが、ウェブやマーケティングオートメーションなども絡めて取り組んだところ、今まで弊社が相手にしていただけなかったお客様からお問い合わせが来るようになりました。資格取得推進が営業面、顧客開拓に結び付いたという実感があります。

会社として資格に取り組むメリットはどのような点ですか。

資格で得た知識が業務に直接生かせるという点が最も大きいと思います。

私は、学生の頃に公認会計士の勉強をしたことがありました。資格に向けた勉強の中で得た知識が30年たった今の業務に非常に有効に生きていると感じています。ですから、この業界での大型資格と言えるDTPエキスパートを勉強することで得た知識やツールの使い方などのスキルは、業務に大きく生かされてくると思います。そうした勉強とは確実に身になるものなのだ、ということを社内で伝えて啓蒙していき、社員をやる気にさせていきたいと思っています。

人材の成長を促すプロセスとして、資格以外に取り組まれていることはありますか。

基本的に外部のさまざまな研修を受けさせています。DTP に関するものはもちろん、またDTP の周辺領域として、最近ではRPA など、印刷だけではなく他の領域との接点に関わる研修にはよく参加させています。その他展示会なども含め、業務に役立つものであれば、部門長の判断もありますが、行けるときにはできるだけ参加し、成長してもらいたいと思っています。

今後、社員にはどのような人材に成長してもらいたいとお考えですか。

本来の業務に関する知識はエキスパート資格により補完するよう取得を促進していくとともに、簿記検定などにも取り組み、会社の数字も分かる社員、経営者の視点を持つ社員に育ってほしいと思っています。自分たちの業務がどれだけ会社としての成果につながっているのかという点を客観的に数字で捉えることは重要です。制作業務など目の前の作業のみを中心に行っていると数字意識を持たなくなりがちですが、会社組織ですから、会社の目線でも考えられる視点は持ちつつ成長してもらいたいと思います。

取材・まとめ JAGAT CS部 丹羽 朋子
-JAGAT info 2019年2月号より転載-

“デジタル×紙×マーケティング”を具現化する人材育成手段としてのエキスパート資格

JAGATが主催するDTP、クロスメディア両エキスパート試験の受験者の過半数は、企業としての取り組みでありその目的は資格ではなく人材育成である。

昨日(5/27)、3月に実施した第51期DTPエキスパート認証試験および第27期クロスメディアエキスパート認証試験の合格者をホームページで発表した。これで通算の合格者数はDTPで23096人、クロスメディアで1323人となったが、彼らの大半を占めているのは所属する企業の教育の一環として資格に挑んだ方たちである。
ただし資格取得はあくまで手段であり、目的は人材育成である。では今、印刷会社はどんな人材を目指して教育の方向を定めているのか、また定めるべきなのだろうか。

印刷業界がおかれている状況は、インターネット、メディアの多様化、デジカメ、モバイル端末の普及により生活者の行動も激変してきたこともあり、経済が好転したとしても、印刷物そのものの需要は回復しない。これまで印刷内で収まっていた顧客ニーズが多メディア展開に変わる、いよいよそのギャップを埋める人材が必要になってきたということである。
変化する顧客のビジネスニーズに呼応して、新たな印刷ビジネスを展開するためには、顧客志向でソフト・サービス化への対応、川上指向、知力・感性、マーケティングのノウハウ、そしてなにより信頼を得るためのコミュニケーション能力が必要となる。印刷業界にとって、人の能力に左右される事柄が現場から対顧客窓口に移行するという大転換である。

こうした現状を背景に、JAGATでは昨年来“デジタル×紙×マーケティング”をテーマとして掲げ、これからの時代に印刷の付加価値を高め、新たなビジネスを開発していくためには、印刷をマーケティング情報と連携させ、デジタル技術(データ、印刷機、メディア) との掛け合わせが必要があると訴えてきたが、今年度はそれをより飯のタネ(商売として利益を上げる)にすべく“デジタル×紙×マーケティング for Business”というスローガンにバージョンアップさせた。
したがって、JAGATのエキスパート資格も“デジタル×紙×マーケティング”をビジネスとして具現化できる人材を育成するという方向に明確に向かっている。

DTPが当たり前になった現代。DTPエキスパートは印刷・メディアに携わる人がまずベース知識として取り組むべきカリキュラムになっている。そのカテゴリーはDTPに関する知識はもちろん、印刷技術全般知識、色の知識、情報システムに加え、コミュニケーション関連知識に及んでいるため、印刷・メディア関連業界に携わる人であれば職種を選ばず誰もが入社3年目くらいまでに取得を目指してほしい。

顧客ニーズの多様化に応える能力とその人材育成が求められる中。クライアントに向き合い、彼らが望む結果を導くためのコミュニケーション戦略を構築できる人材を目指しているのがクロスメディアエキスパートである。クライアントの課題を抽出、分析し、単一メディアではなし得ないソリューションを提案するための知識と能力を養うための資格制度になっている。

今後の印刷ビジネスは「もの造り」から「こと創り」へと向かわざるを得ない。「もの」は設備でできるが「こと」は人から生まれるもの。製造業的発想からの意識転換が必須である。
「印刷物を造る」ということと「ビジネスを創る」ということでは教育の質も違ってくる。いずれにしても、人への投資、人材育成こそがこれからの企業の未来を切り拓く源泉である。早急に取り組むためには、資格制度の活用が有効と考える。

(CS部 橋本 和弥)

第52期DTPエキスパート認証試験
【開催日】2019年8月25日(日)
【申請受付期間】2019年6月25(火)~2019年8月5日(月)

第28期クロスメディアエキスパート認証試験
【開催日】2019年8月25日(日)
【申請受付期間】2019年6月25日(火)~8月5日(月)

第51期DTPエキスパート認証試験 出題傾向と講評

2019年3月17日(日)、第51期DTPエキスパート認証試験(学科試験)が実施された。

学科試験

DTPエキスパートカリキュラムは、2018年11月に改定をおこない、第13版となった。今回の試験は、新カリキュラムを反映した内容となっている。

新出題項目として発表した項目の中から、下記テーマが出題されている。

・ デジタルカメラと撮影
・デジタル写真の画像処理とアプリケーション
・AcrobatによるPDF校正
・モバイルデバイスのカラー再現
・インタフェースの最新動向
・B2BのWeb to print
・インフォグラフィックスの思想
・オンラインショッピングとパーソナライズDM

新出題項目については、概ね基本的な内容を問う出題や従来内容のアップデートである。

また、カリキュラムで改定された「情報デザイン」分野からインフォグラフィックスが出題されている。
インフォグラフィックスは、複雑な情報や知識・概念を視覚的にわかりやすく表現したものである。近年ではその重要性が高くなっており、報道や出版物、デジタルメディア等でも多用されている。

「マーケティング」分野では「パーソナライズDM」、「B2BのWeb to print」が出題されている。
近年、ネットショッピングとパーソナライズDMを連動させることで大きな成果を上げた事例が発表されている。デジタル✕紙媒体の効果的な例である。
また、Web to printは、ネット印刷・印刷通販のモデルとして注目されているが、 B2B (企業間)の印刷受発注業務でも大きな成果を上げている。

実技試験

実技試験は、当日配布される『課題制作要項』に基づき、4週間で取り組むものである。冊子課題(携帯電話マニュアル)/ペラ物課題(マラソン大会告知チラシ)を出題した。  

提出課題と講評

本試験の大きな特長として、実技課題を通じて印刷物製作のプロセスとグループワーク(他者への作業指示・管理)を体感できることがある。今回は、そうした試験の意義を感じていただける機会となったかと思う。

マラソン大会は、ある飲料メーカーが全国各地で実施するイベントである。地域のマラソン競技振興と自社スポーツドリンク製品の告知の目的を兼ねたものである。発注者からは、このような背景に基づく素材データが支給され、デザインを依頼されている。これらの目的に沿う告知チラシを、指定内容に従って制作する課題である。

提出作品では、レイアウトや色使いなどさまざまな工夫が見られ、水準をクリアしているものが多かった。

実技課題試験は、印刷物の制作の基本技能・知識を習得しているかどうか(作品)、グループワークを前提とした作業指示・管理ができるかどうか(作業指示書)を前提に設計されたものとなっている。

DTPエキスパート試験の習得を通じた学習によって、実業務のレベルアップや改善を果たすことが期待されている。

(JAGAT 資格制度事務局 )

【資格採用企業インタビュー】人材の力と組織力で 総合的に顧客をサポート

『ものづくりとマーケティングプロモーション』をテーマとして掲げる株式会社光陽メディアは、企業としてエキスパート試験に10年以上の取り組み実績がある。人材育成の方針や課題について、取締役管理本部長 大塚 美世子氏にお話を伺った。

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大塚 美世子氏
株式会社光陽メディア
取締役管理本部長/コンテンツ制作部部長

貴社の事業傾向について変化はありますか。

当社の業務構成としては、出版・学参関連印刷物が多く、全体の約3~4 割を占めています。その他、商業印刷として販促チラシやポスターの製作、ウェブ制作などもコンスタントに行っています。

印刷を含めた売り上げは減少下降傾向にあります。その点は当社も例外ではないため、かなりの部分を占める印刷だけに頼らない事業展開を図っています。そうした中、お客様側からの要望としては、お客様の抱える困りごとへの対応が求められる傾向があります。

そのような事業傾向やお客様の変化を踏まえ、人材には何が求められていると思われますか。

広範囲の知識や対応力とともに、例えば営業職でいえば、お客様のどのような課題に対しても相談に乗れるような人間力というものが必要になっていることを感じます。そういう人材を育てようとしているのですが、すぐに育つわけではありません。ですので、各人材に知識を身に付けてもらうとともに、会社としての総合力・組織力を生かして対応しようという方向性をとっています。人材教育を経営の方針にしっかりと位置付け、営業、制作、製造現場を含めて課題を明確にして取り組むことを念頭においています。

また、DTP、ウェブ、印刷というそれぞれの部門が、おのおのの知識や技術力をもって、お客様の要望に沿うよう協力し合いチームとして応えられるような組織づくりに取り組んでいます。

企業として長年エキスパート資格に取り組まれていますが、どのように取り組みを開始されたのですか。

10年以上前になりますが、初めは会社としてというより、取得したい意欲のある人には勧めるというかたちで取り組み始めました。数回経過するうちに、会社全体として取得推進する方針となり、試験期ごとに対象者を決め、それらの社員に対して共同で研修会をやったり、社内で模擬試験を数回行ったりするようになりました。個人に任せるのではなく、会社として全職場共同で取り組むという方針で行い、累積合計で80 人以上の社員がエキスパート資格を取得しました。現在も取得したい人には支援をしたり、制作実務経験のない営業がDTP エキスパートを取得する際には実技試験のフォローをしたりしています。

また、お客様の要望の変化への対応力が求められる中、その基盤となる知識習得の必要性もあり、クロスメディアエキスパート取得も継続的に推奨しています。

教育手段の中で資格取得をどのように位置付けていますか?

DTP エキスパートにしてもクロスメディアエキスパートにしても、一過性のイベントではなく、さまざまな対応力の前提となる基礎知識、必須知識として社員全員に取得を推奨しています。資格取得のために専門用語を学ぶだけでも十分に意味があり、そうした基礎知識を身に付けていると実務での対応力も変わってきますので、推奨資格として位置付けています。

資格取得が実務に生かされていると感じる点、社員の変化を感じる点はどのような場面ですか。

取り組みを開始した頃は、社員側から負荷が大きいという声もありました。特にDTP については、実技の技術的なところでは苦労していたと思います。とはいえ実際に取得した社員は、自身の日常の業務の中で、習得した知識が血肉となって生かされていると感じているようです。会社としてカラーマネジメントへの取り組みを開始したときには、DTP エキスパートで勉強してきたことが実際に生きているという実感がありましたね。用語を覚えるだけではなく、その展開において社員自身の役に立っているという感触です。

DTP については、歴史をたどれば文字組から製版工程など膨大な技術の蓄積があるので、一度資格試験に合格したからといって全てが身に付くものではないし、日常的に触れるわけではない部分もあります。しかし、例えば高精細印刷がトレンドになってきた時には、DTPエキスパートで学んだスクリーン線数の知識などが必要になります。習得した知識の必要性を感じない時期もあるかもしれませんが、新たなトレンドが持ち上がり、かえって過去習得した知識が生きてくるということもあるのです。その意味で、印刷に関わり続ける以上、いつどこで必要となるか分からない知識をまずは網羅しておくことは重要だと思います。

またクロスメディアエキスパートについては、営業職など直接お客様の課題に触れる人には、取得を推奨してきました。組織として各部門協力してお客様の課題に対応するため、制作職の社員でも知識とともに対応力を広げる必要性があります。世の中の傾向はどんどん変化し、それに伴い新しい領域も増えています。

そういう面では、数年前に勉強したことと同じ勉強をしているだけでは追い付かない、対応できないことも出てきていて、大変だなと思います。お客様の困りごとを解決するにあたり、紙メディアに限らずさまざまなメディアを活用して解決していくという方向の中、クロスメディア資格や各種研修を併せて行い、複合的に人材育成をしています。それら全体の効果として、従来よりも対応力が上がってきているという変化を感じます。

ビジネス動向の変化の中で、印刷業界に求められていることはどのようなことと捉えていますか。

お客様側の変化として、お客様自身の事業の発展、売り上げや会員等の増加といった悩み、課題に対し、当社は何をしてくれるのか?という投げ掛けをされるようになってきました。以前であれば、そうした課題解決のためにチラシを作るという答えがあらかじめ出ていたうえで、ではどんなチラシを何部刷りましょうか?というのがお客様との打ち合わせ内容だったのですが、今では、そういった答えはお客様側から示されるのではなく、私どもでサポートできること、何をするのかをこちらから考えなければならない場面が増えてきました。印刷のことだけを考えていたのでは全く対応できないという点で、人材に求められる能力が変化していると思います。この点は、どのようなお客様についても共通している点です。

お客様からは、悩みや課題に対する総合的な提案を求められています。その際、私たちが解決方法を考えて、こういう方法はどうですか?という提案をするやり取りができなければなりません。例えば印刷なら、価格面では印刷通販が競合するわけですが、プロモーション業務への展開においては別の業界が競合として現れるわけです。新たな競合と対抗していかなければならないわけですから、のんびりしてはいられません。新領域を吸収しつつ、当社が培ってきたノウハウや技術面を生かしてどのようにお客様を総合的にサポートしていくかということが重要です。当社の場合長くお付き合いさせていただいているお客様が多いので、従来のやり方で馴れ合いになってしまう場面もあるかもしれません。そうではなくて、当社も変化しているということをアピールしていかなければならないと思っています。

出版物を作るにしても、早く安く作ってほしいという要望がお客様からあった場合、制作側に負荷のかかる方法で対応するという単純な捉え方ではなく、早く安くやるためにはお互いにどのように改善していくかをお客様側と一緒に考えましょうという話ができないと、要望に対する限界があります。例えばオンライン校正、オンライン入稿を使って効率化したり、校正回数を減らすための提案をしたりして、その結果安くできたね、というかたちで改善していかなければ、どちらにとってもメリットはありません。お客様にとってもメリットのあるような仕組みを作っていくことが大切だと思います。

取材・まとめ JAGAT CS部 丹羽 朋子
-JAGAT info 2019年2月号より転載-

第51期DTPエキスパート実技試験提出締切

2019年3月17日(日)実施第51期DTPエキスパート認証試験(本試験)につきまして、実技試験提出を締め切りました。
お取り組みいただいた受験者のみなさまお疲れさまでした。
試験結果は、5月下旬に当Webサイトにて掲載予定です。

アビリンピック東京大会の試み

独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構東京支部では、「障害者が日頃培った技能を互いに競い合うことにより、その職業能力の向上を図るとともに、企業や社会一般の人々が障害者に対する理解と認識を深め、その雇用の促進を図ること」を目的として、東京障害者技能競技大会(アビリンピック東京大会)を開催している。

競技種目としては、パソコン操作からワード・プロセッサ・表計算等のオフィスソフトを駆使し正確な文書作成や効率の良い図表の作成を競うものから、喫茶サービス、ビルクリーニング、製品パッキング(デモンストレーション競技)等のサービス対応業務など、幅広い分野から選定されている。各競技とも、金・銀・銅賞の他、特に優秀な成績を収めた方や努力が著しいと認められた方には東京都産業労働局長賞が授与され、次年度全国アビリンピック大会の東京都代表選手として出場推薦の対象となる。

2013年度大会よりDTP競技が追加され、DTPにおける基本的技術および印刷用データ処理能力とともに、効果的な印刷物を制作する技能を問う競技を実施している。JAGATでは、東京大会でのDTP競技開始当初よりサポートを行い、課題の設定や採点ポイント、受賞者選考基準策定などの協力を行っている。

2018年度大会は、去る2月2日(土)小平市にある東京障害者職業能力開発校をメイン会場として開催された。DTP競技については、隣接する職業能力開発総合大学校に於いて競技者11名にて実施された。

大会会場  競技中の様子



約2時間の競技時間中に、支給素材を用いて指定の印刷物用データを制作するという競技となっている。今回は、『フードロス』問題をテーマとした啓蒙ポスターを制作する内容となった。競技では、デザイン性や印刷技能(各要素とも印刷に適したデータ処理がなされているか)等の点が問われる。設定されている印刷物の用途に適したデザインとなっているかという点では、配色や文字組版、レイアウトの構図など、同じ告知物であっても、手元で見るチラシと掲出されるポスターとでは異なるデザイン性が求められる。

提出作品では、短時間の競技であるにも係わらず、独自にアイコンを起こして紙面を特徴づけたり、支給画像素材の配置に工夫を凝らし訴求力を持たせたりと、DTPオペレーション作業に留まらない作品が何点も見られた。毎回の大会実施後アンケートでも、「DTP競技者の全体レベルが高く大変驚いた。」といった声が寄せられている。

競技終了後には即時選考が行われ、表彰会場にて多数の見学者が見守る中、全競技合同の結果発表と表彰式が行われた。

表彰式 優秀作品サンプル



大会会場では競技の他、点字・車いす体験や各福祉作業所等制作の物品販売、また国際アビリンピック関連映像上映の場などが用意され、障害を持ちながら社会参加する方々、またそうした方々を支援する活動が紹介された。さらに今回から、障害者雇用を検討する企業の担当者に理解を深めてもらう方法として、障害者雇用ミニセミナーおよび競技見学ツアーを行うなど、競技者の意欲的な取り組みとともに雇用の活性化を図る新たなプログラムも実施された。

こうした活動を通して、多様性のある働き方を推進する社会の拡がりに期待したい。

(CS部 丹羽 朋子)

更新試験開始のご案内

本日より更新試験を開始しました。

更新申請された方々には、3月29日(金)ご登録メールアドレス(自宅)あてに試験専用サイトへのログインパスワードをご案内しております。

未着の場合は、下記いずれかの方法でパスワードを入手してください。

試験専用サイトログイン画面の「パスワードをお忘れですか?」より自動取得

ログイン画面の「パスワードをお忘れですか?」から、IDおよび受験申請時に申請されたご自宅メールアドレスを入力いただくと、パスワードを自動再通知いたします。 IDは、エキスパートIDと共通です。 

※試験専用サイトへのログインパスワードは、エキスパートWeb基本台帳のパスワードとは異なりますのでご注意ください。

○上記で解決しない場合は、サポート窓口までお問い合わせください。

CBT 方式試験のシステムや取り組み方に関するお問い合わせ
株式会社 イー・コミュニケーションズ サポート窓口
TEL 03-3560-3905 E-MAIL cbt-support@e-coms.co.jp
受付期間:試験期間内のみ対応 受付時間:平日10:00~17:00
制度内容に関するお問い合わせ
公益社団法人 日本印刷技術協会 資格制度事務局
TEL 03-3384-3115 E-MAIL expert@jagat.or.jp