レポート」カテゴリーアーカイブ

薄紙を使用した製本のトラブルと対策にはどんなものがありますか

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:後加工

Q:薄紙を使用した製本のトラブルと対策にはどんなものがありますか

A:薄紙は連量や斤量で一般的にどのくらいの重さのことをいうのか概念として明確ではなく感覚で捉えられていることが多いです。一般的には四六判換算で55キロ以下が薄紙とされているようです。薄紙を扱う際に起こるトラブルの代表的なものは次のものがあります。
①印刷工程
 薄紙は温湿度の影響を非常に受けやすい。季節によっても温湿度の差は大きいので印刷工場内の空調は常に温度25℃前後、湿度60%前後という条件を保っておかなければなりません。空調が整っていないと特に枚葉機の場合はフィーダーから紙がうまく流れないというトラブルにも繋がります。
②折加工工程
 折り機にはバックル折りとナイフ折りの2つがありますが、バックル内でのたるみが出やすいので薄紙にはナイフ折りのほうが有利といえまが、現状では最初の折りはバックルで折るケースが多いです。たるみを防いだり直角の精度を出すには、機械のスピードを調整しながら作業する必要があります。
③丁合工程
 くるみ機までの間で折丁を垂直に立てなければなりませんが、そのときに薄紙には腰がないため折れ曲がりやすくなります。この場合、基本的にはページ数を多くし(16→32頁)て厚みを稼ぐことで折れにくくしていることがあります。
④くるみ工程
 プレスで背を成形するところで、皺などが出やすく品質上の問題が発生することもあります。特にアジロでは糊を中に押し込むために背中が膨らみ、それを平らにするために強くプレスをかけるとストレスが発生し皺になることもあります。同じ台数、同じ紙質のレベルで無線綴じとアジロ綴じを比べると後者のほうが背中を叩くので皺が出やすいと言えます。また、1枚目だけ表紙側に向かってめくりあがる現象があり、俗に「まくれる」といわれるといわれることですが、そうしたケースは無線綴じに発生しやすいです。アジロ綴じはミシン目部でつながっているので引っ張られてもあまり影響がありません。無線綴じは糊の押し込みは少ないので背中の広がりの程度は抑えられますが、ミーリング後ペラとなり、1枚目だけまくれ上がるという事がある。無線綴じとアジロ綴じではどちらにしでも完全に皺を抑えられるというものはありません。
 こうした問題を少しでも解決するための手段としては糊の選定が非常に大事になってきます。これも糊の種類を変えることによって大分防げるようです。粘度が重要で、粘度が高い・低い、いわゆるさらさらしたタイプか固いタイプの方がイメージし易いでしょう。糊の粘度についてはいろいろなタイプがあります。基本的にはさらさらした糊の方が、浸透力があります。このような強く押し込まなくても接着力が上がるような糊を選択するという方法もとられています。

 

(2009年1月12日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

無線綴じ工程でのラフニングとは

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:後加工

Q:無線綴じ工程でのラフニングとは

A:ラフニングとは折り丁の背を毛羽立たせる加工をいいます。ラフニングは折り丁の背を針のような刃で引っかくようにして行い、紙の繊維を立たせることによりホットメルトの浸透を容易にします。 
 主にヨーロッパ製の製本機には標準仕様としてラフニング機構がついており、ヨーロッパではこのラフニングを使った無線綴じが普及しています。特に開きやすさが求められるような仕様のものについては、「ラフニング+PUR」の組み合わせで製本されることが多いようです。しかし、日本では比較的大きな製本会社でもラフニングしない無線綴じが多いようです。
 これは使用される用紙の紙質が大きく関係しているようです。日本で流通している用紙は欧米に比べて短繊維のものが多く、ラフニング効果があまり期待できないとされているためです (繊維が短すぎるために、ラフニングによって繊維の絡み合いがほどけてばらばらになってしまう) 。それに加えて日本の雑誌のように、上質紙、中質紙、コート紙、グラビア紙など多種の用紙を混用する製本形態では、ラフニングだけで十分な接着強度を確保することは出来ず、ノッチング(ガリ入れ)は不可欠の工程となります。 10余年程前から、輸入製本機にも種々の改良が加えられ、特にノッチングが綺麗に入るようにW-diskなどノッチングを入れるときの刷り本の締め圧を強くするような機構が標準的なものとなってきました。それ故現在では、通常の製本時にノッチングを十分に入れておけば、ラフニングの必要性は殆んどないといえます。ある機械メーカーでは、ラフニングはPUR製本のためのものとまで言っているところもあるようです。
 最近では特に開きやすさを求められるために、PURを使用した製本が行われるケースが増えてきましたが、このような場合にはノッチングを全く入れないか、或いは入れても極浅めにしか入れないため、ラフニングによってPURの浸透を助長することも必要になります。以上のように現状では、通常のホットメルト製本時に、ラフニング工程を省略している製本工場のほうが多いものと思われます。

 

(2009年7月6日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

点字印刷の方法「ミューズプリント」について知りたい

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:点字印刷の方法「ミューズプリント」について知りたい

A:点字の印刷方法は、紙などの印刷物の裏から圧力をかける「エンボス加工」法が主流ですが、この場合,駅の案内板のような硬い物にはエンボスできません。
新しい方式である「ミューズプリント」技術は、印刷したい面の上に紫外線で固まる特殊インキを0.4ミリ程度の厚さに盛り上げて点字にします。紙から金属、アクリルまで幅広い素材に印刷できる。透明インキを使えば、通常の活字などの上に直接点字をつけることも可能で点字用の特別なスペースを設ける必要はありません。

 

(2001年10月8日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

タイルやガラスなど住宅設備機器に印刷したい

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:タイルやガラスなど住宅設備機器に印刷したい

A:超厚盛りスクリーン方式による印刷で、刷版に磁性を帯びた金属製マスクを使い、インクが厚く盛られるように印刷します。
印刷の仕組みは、磁性をもつ金属性のマスクを使用すると、磁力で版と被印刷物の密着度が高ままる。このため、従来よりも厚い刷版が使え、インクも一層厚く盛りつけることができます。転写紙の上に、セラミックやガラスの粉をペースト上にしたものをインキと合わせて塗る。転写紙をカップなどに付けて600~1000度の温度に熱した炉の中で焼くとできあがります。

 

(2001年10月8日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

ゴルフボールのようなデコボコの表面には,どのように印刷するのですか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:ゴルフボールのようなデコボコの表面には,どのように印刷するのですか?

A:オフセット印刷やスクリーン印刷ではできない、デコボコ面、球体、曲面への印刷のことをパッド印刷とかタコ印刷と呼んでいます。
これは、凹版から球状の弾力性のあるシリコンパットに絵柄を移し、凹凸のある被印刷体へ転写する、いわゆる凹版オフセット印刷です。
一般には金属の凹版を使いますが、樹脂版(凹版)を使用することもあります。 具体的には、ゴルフボールやパソコンのキーボードへの印字、時計の文字盤、体温計の目盛りにも使われています。
あまり大きいものへの印刷は難しく、最大面積はキーボードの全面(180×380mm)程度です。
あと、オフセット印刷といえば、普通はチラシ・書籍等への印刷といった平版を思い浮かべるかもしれません。しかし、オフセットには凹版もあるということをお忘れなく。
したがって、チラシ・書籍等への印刷は正確にいえば平版オフセット印刷、ゴルフボール等の曲面への印刷は凹版オフセット印刷となります。

 

(2001年11月12日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

アイロンで布に転写するというのはどのようなことをいうのですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:アイロンで布に転写するというのはどのようなことをいうのですか。

A:熱を加えると固体が気化する昇華性の染料を転写紙に印刷し、ポリエステル布や不織布に転写する方法のことで、これを昇華転写印刷といっています。
転写紙への印刷は、通常のものと左右逆の原版を使用います。オフセット印刷またはスクリーン印刷で昇華インキを用いて専用転写紙に印刷した後、約190℃の熱プレスやアイロンで転写します。
この場合、転写紙に印刷された色と布に転写された色とでは異なるので校正時点で確認することが必要でしょう。
実用例としては、キャンペーン用の旗・のぼり・垂れ幕などに利用されています。

 

(2001年11月19日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

バーコ印刷とはどんなものですか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:バーコ印刷とはどんなものですか

A:バーコとは、アメリカのバーコ社が開発した隆起効果を出す印刷です。熱によって膨らむパウダーを、印刷面の膨らませたい部分に付着させ、加熱することによりパウダーが溶解、膨張し立体的な印刷物ができます。
多色印刷の絵柄の一部を盛り上げる場合は、通常の印刷後、必要部分を別版にして印刷し、インキが乾かないうちにパウダー(樹脂粉末)を振りかけ、余分な粉末を取り除いてから加熱します。
絵柄の立体感を表現するために、色のパウダーや透明のパウダーを選ぶなど、効果とコストを考えて効率のよいデザインを考えなければなりません。
線が細かいと弱いので、太めの線画でパウダーの付着面積を増やすことが必要です。ただし、広範囲のベタは、あまり効果がなく厚みにムラがでやすいので注意が必要です。

 

(2001年11月19日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

間欠オフセットとはどういうことですか。

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:間欠オフセットとはどういうことですか。

A:特にオフ輪でおこなわれることで、間欠印刷といわれるものです。
印刷機のシリンダーの円周は一定です。印刷する絵柄がその円周にぴったりの絵柄だとそのまま印刷できます。しかし、印刷機のシリンダーに対してどうしても絵柄が小さくなり、数センチ隙間があいてしまうことがあります。
 このときに印刷しながらこの隙間の部分を埋めるために用紙を戻しながら印刷することをいいます。つまり一回シリンダが回転したら隙間の分戻りながら印刷します。これはシールラベルの印刷でよく使われるものです。
 通常の印刷では、仕上がりサイズに合わせて印刷機のを選択します。しかし、シールラベル印刷の場合、仕上がりサイズが多岐にわたりますが、多様化したサイズ毎のシリンダーや印刷機は存在しません。
 したがって、シール印刷ではある一定のシリンダーの円周以下のサイズで印刷し、隙間のあいた部分は用紙をその分戻しながら印刷するということをしています。

 

(2001年11月19日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

BF印刷で天地寸法がミリの連続フォームがあるとききましたが、本当にあるのでしょうか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:BF印刷で天地寸法がミリの連続フォームがあるとききましたが、本当にあるのでしょうか?

A:通常ビジネスフォーム(BF)印刷はプリントアウトされるプリンターの規格にのっとって印刷されます。つまりプリンターの送りのピッチ幅が天地6分の1又は8分の1インチ、左右10分の1インチであり、その延長上に1セットのフォームの寸法がインチで設計されます。印刷するときは、任意に打ち出しの寸法を指定しておけば、それを基準に同じピッチ幅での印刷が連続して行うことができます。
また印刷用シリンダーも、決まった円周のシリンダーが揃えられており(通常は、10/11/12/14/16/18インチ)必ずしも自由に天地寸法が決められるわけではありません。 したがって、連続フォームの状態では原則として天地寸法がミリであることはないでしょう。
 しかし、印刷機のギアを変えて擬似的に天地寸法がミリのフォームを印刷することも可能です。
 例えば、A4寸法は210×297ミリですが、天地寸法を297ミリにした連続フォーム印刷は可能です。
297ミリ=約11.69インチです。これを印刷するときに、11と2/3インチのシリンダーを使用します。11と2/3インチというのは、11.66インチです。ここでシリンダーと現物と0.03インチという誤差が生じますので印刷機の中を流れる用紙を多く出すことによって無理やり規格寸法のA4にとして印刷します。ここでの寸法は正確な297ミリというわけではなく、若干の誤差はあるようです。

 

(2001年11月26日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)

香りつきの広告はどのように印刷しているのですか?

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:特殊印刷

Q:香りつきの広告はどのように印刷しているのですか?

A:一般的には芳香インキを使っています。この印刷を香料印刷(マイクロセント)といっています。
芳香インキは、インキ組成中に直接香料を加え、浸透乾燥タイプとして凸版などで印刷するタイプと、マイクロカプセルに香料を封じこめたものをインキ化し、印刷物自体は芳香性はありませんが、印刷面を擦ると擦過作用でカプセルが破壊され、芳香効果が生ずるタイプのインキがあります。
前者のタイプは保香性の問題などがあり今では殆ど使われておらず、後者が使われています。
芳香インキは、まず香料メーカーが臭いをつくり、カプセルメーカーがインキに混ぜるための香料カプセルを作ります。このカプセルが通常のインキの顔料に替わるものなので、インキメーカーでカプセルとワニスを混ぜ合わせて香料インキを製造します。
通常インキメーカーでは数種類のカプセル(例えば、レモン、オレンジ、ラベンダー、等)を在庫しておりますが、印刷会社からの要望により独自の香りを作ることも可能です(もちろん限界はあります)。この場合、香料メーカーに特注しますので少し時間がかかります。
香料印刷は、平版、水無し平版、樹脂凸版、スルリーンで印刷されます。乾燥方式も光硬化型、酸化重合型、溶剤乾燥型、オフ輪の場合は熱乾燥型を使います。
スクリーン印刷が多く用いられています。これによるとインキの盛り発色がいいです。最近は平版や樹脂凸版での印刷も可能になっております。特に平版での印刷のメリットは大ロットの場合、コストを安くできるという点です。しかし、スクリーン印刷と比べインキの盛りが弱いという短所もあります。
芳香インキを使用できる印刷会社としては、商業印刷か出版印刷をやっているところでしたら、どこでも可能だと思います。

 

(2001年12月3日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)