【DTPエキスパートカリキュラムver.12】[DTP]1-9 レイアウトデータ

掲載日:2016年11月1日
このエントリーをはてなブックマークに追加

文字や図版などの各要素をレイアウトフォーマットに沿って配置し、最終出力の体裁に整える。また、出力に適したデータ処理を行う。

1-9-1 ページレイアウト

  • ページレイアウトソフトウェアとは、文字データ・線画データ・画像データを1ページにレイアウトしてまとめるソフトウェアを指し、DTPアプリケーション(ソフトウェア)とも呼ばれる。レイアウトだけでなく、カラーの指定や画像の入出力、印刷、分版出力などの機能まで備えているものが多い。
  • レイアウトデータと配置されたデータを個別に管理し入稿するとリンク切れや先祖返りなどのミスが生じることや、受け取る側も管理が煩雑になるため、PDFとしてすべてのコンテンツを1ファイル内に埋め込み、完全データとして入稿する形式が一般化しつつある。

1-9-2 ページネーション

  • ページの基本デザインに従って、各ページを組み上げていくページネーションは、自動レイアウトをするバッチ方式と、画面に対して貼り付けの指示を個別にしていく対話方式がある。
  • あらかじめ一括した指示(スクリプト)を作成して所定の場所に文字や図版を自動的に割り付けるバッチ処理は、文章量の多いマニュアルなどの制作が効率的に行える。
  • DTPによるページネーションの主体は、オペレーターが画面を見ながら文字を流し込んで割り付けるWYSIWYGによる方法である。これはレイアウトの細部のコントロールが行いやすい。
  • 大量ページ処理に向いているのはバッチ処理であり、ビジュアル中心の端物制作や修正作業に向いているのはWYSIWYGである。

1-9-3 出力用データ処理

  • DTPでは、各種トンボや、塗り足し(ブリード)、ノセやヌキ(オーバープリント設定)、また場合によってはトラッピング、カラーパッチ(カラーバー)を処理しなければならない。
  • 色の上に文字や別の図形を重ねるときには、画面とCMYK 出力の間で、ノセ(オーバープリント)やヌキの関係に食い違いがないことを確認しておく。
  • CTP出力の際に、Kを一律にノセにすると、制作者の意図しないところまでノセにしてしまう場合があるため注意を要する。また印刷の品質管理用のカラーパッチなど管理用スケールや、印刷製本用のトンボは、レイアウトソフトウェア、面付けソフトウェアもしくはRIPによって付加される。
  • ダブルトーンや2色分解をする場合は、出力前工程で各版への分解・分版やトーンカーブ調整などを行っておく必要がある。

➢ ノセとヌキ

  • 写真や平網、ベタ刷り部分に文字や線画などを刷り重ねることをノセという。写真や平網・ベタ刷り部分の中で、文字や線画などを白く抜き、紙白で表現することを白ヌキ、色をつけることを色ヌキという。
  • 掛け合わせや特色のノセは下色の影響を受けて、ノセたインキとは違う色で仕上がるため注意する。色ヌキは抜いた部分にピッタリの色版を必要とするため、トラッピングを行う必要がある。
  • オブジェクトが重なり合った場合に下のオブジェクトの色が自動的に色抜きされるアプリケーションでは、重ね刷りするためにはオーバープリントなどのソフトウェアの機能を使うこともある。

➢ トンボ

  • トンボは位置の基準という意味では、英語のregister markに相当し、その役割はセンタートンボと角(コーナー)トンボの2種類で異なる。
  • 角トンボは2本の平行線で構成され、1本は製本の段階で化粧断ちをするための仕上り線を表し、もう1本は化粧断ち線の少し外側で製版処理に必要な面を示す製版寸法線を表す。
  • 写真を仕上り寸法いっぱいに入れる場合、画像部分が仕上り線までしかないと、断裁時のズレなどで写真の回りに白い部分が出てくることがあるため、データ作成時にあらかじめ断ち落としの処理をしておく。
  • 一般に仕上り線と製版寸法線の間は3mm程の隔たりがあるが、この間の断ち落とし部分は、印刷会社や印刷物の種類によって5mm程度まで差があり、あらかじめ確認してからデータ作成作業をする必要がある。
  • リーフレットでは折トンボが用いられる。これはアプリケーションで自動的にトンボを入れることができないので、制作者が制作の前に自作する必要がある。

➢ トラッピング

  • プロセスカラー印刷ではCMYK の各色の版が別々にあり、これらの色が隣り合って接している部分はずれて紙の白地が出ることがある。画面で見た状態を印刷でも再現するには、プリプレス側でトラッピングという補正が必要になる。
  • トラッピングの刷り重ね部分の作成は、その方向や幅、印刷条件、隣り合う色の色合いや網点パーセントの大小によって異なる。輪郭線を中心に重なり合う部分を形成したり、輪郭線のどちらか一方に重なり部分を形成する。これにより輪郭領域に前面と背面の色が重なった細い帯が形成される。
  • トラッピングにはチョークとスプレッドの2つの処理がある。前面のオブジェクトの色の領域を拡大することをスプレッドといい、背面の地からオブジェクトを抜いた領域を縮小することをチョークという。
  • 本文文字のように太らせるわけにはいかないオブジェクトには背面のヌキを縮小するチョークが適用される。トラッピングの幅は印刷機の種類や精度に依存し、太過ぎると擬似輪郭となり不自然となる。一般に薄い色の領域を拡大する。

➢ データチェック

  • ページレイアウトソフトには出力前のプリフライトチェック機能があり、フォントや色、貼り込みデータのファイル形式などの内容が調べられる。

1-9-4 出力処理の流れ

  • 出力用データはPostScriptやPDFなどで用意されるが、RIPや出力機のシステム構成によって、どこでどのように処理されるかは異なるので、出力ワークフローを理解しておかねばならない。また、出力は印刷物生産のスタートであり、生産現場の品質管理に組み込まれることを意味する。
  • 出力時にデータやフォントが不揃いであると予期せぬ結果を招くので、フォントのエンベットと合わせて出力データの正確な理解とデータチェックが重要である。
  • RIP処理の最終段階であるスクリーニング処理後のラスターデータである1bitデータ(二値画像データ)をTIFFフォーマットに準拠した形で保存した1bit TIFFデータは編集性には乏しいが、RIP環境に左右されず出力の確実性は高い。