用紙EDI導入により間接業務を年2000時間削減~日経印刷の挑戦

掲載日:2016年10月31日


改善効果を定量化しづらい間接業務において、大きな成果を上げた日経印刷の業務改善の取組みを紹介する。

日経印刷では2005年よりトヨタ生産方式による改善活動を導入している。「Nikkei Production System(NPS)」と名付けられたこの活動は全社員参加型の活動で、年に1回発表会を開き、大きな成果の出た優れた改善提案に対し表彰している。
「PrintStation」と名付けた自社の基幹システムを改修するときにも、必ず業務の見直しを行っている。例えば、使用している帳票類をすべて精査して、その目的と帳票作成にかかっている時間を調べるようなことを行う。特に間接的な業務においては、これまでのやり方をこれまで通り維持したいという力が働くので、改善に向けては強い働きかけが必要となる。また、知らず知らずのうちに仕事の目的と手段が逆転してしまうことがあり注意が必要である。現状にとどまることなく自ら主体的に進化していく組織文化づくりに努めている。

用紙買掛金額のタイムリーな把握がEDI導入のきっかけ

用紙EDI導入の契機となったのは、3月の繁忙期の最中に用紙の買掛金の現状金額の把握ができなかったことである。仕事に追われ伝票処理のタイムラグが重なり、まったく数字がつかめなかった。このことを問題視して改めて用紙手配の業務をみてみると、これだけIT環境が進化しているにも関わらず、相変わらず電話とFAXに頼ったアナログスタイルのままであることに気づき愕然とした。そこで、トップダウンで「FAX廃止」を打ち出し、システム開発課の佐藤氏に業務改善を含めた代替案を考えるよう求めた。これが2014年3月のことである。

発注業務を電子化するにあたり、当初はメールでの発注や自社システムの端末を先方に使ってもらうことを考えたが、相手の紙卸商の立場になって考えると、印刷会社ごとに個別対応していては業務の合理化どころか負担を増やすこととなってしまう。そこで、Win-Winの関係を築きたいと思い標準化の仕組みがないか探したところカミネットにたどりついた。

カミネットによる標準EDI

紙パルプ業界における標準EDIの取り組みは古く、1971年には紙パルプ業界の統一コード策定を目指した紙パルプコードセンターが設立されている。その後、主に紙卸商と代理店間のネットワークを管理する組織と主に製紙メーカーと代理店、物流会社のネットワークを管理する組織が統合され、1999年に現在の形での(株)カミネットが生まれている。

カミネットが提供する標準EDIの概略は図1のとおりである。概念的には印刷会社が発注したデータが紙卸商、代理店、製紙メーカー、物流業者まで一気通貫で流れることになる。
また、標準化で重要となるのが、①標準コード、②標準レイアウト(データ項目)、③通信プロトコルであり、カミネットで策定、管理されている。

nikkei_zu1費用対効果の算出で年間2,000時間の時短を見込む

従来の業務フローを分析するなかで次のような改善課題が見つかった。

  • 紙卸商から金額が記入された「納品書 兼 請求書」が提出されるまでにタイムラグが発生している
    -紙卸商によって数日後だったり月末にまとめてだったりまちまち
  • 生産管理部で検収処理をするまでにタイムラグが発生している
    -月末にまとめて処理しがちとなる。特に繁忙期は処理が追いつかなくなる
  • 経理部で確認、原価登録するまでにタイムラグが発生している
  • なにより検算・確認作業で膨大な時間が割かれている。

EDIを利用した業務フローの改善により、印刷会社・紙卸商双方の人的な照合処理がなくなる。さらに、仕切データを受け取って発注金額との差額がなければ、検収と同時に仕入計上でき、経理でのチェック作業は一切不要となる。
こうした業務改善の効果として、年間2,000時間を超える作業時間が削減できることが見込まれた。なお、前年実績で4万枚近くの注文書を発行していた。

自社でのシステム開発によりスムーズな立ち上げ

2015年2月に取引先の紙卸商に対して、用紙受発注のEDI化に向けた説明会を開催した。ほとんどの会社から参加表明をしていただけたので、技術的な通信テストを経て自社の基幹システムの修正に取り掛かった。システム開発は社内スタッフで行い2015年7月に機能改修が終了した。工数は約3か月であった。EDIデータの送受信機能だけでなく、発注担当者をアシストする機能についても追加開発した。具体的には発注先の紙卸商は条件に応じて最適な紙卸商が自動選択されるほか、システムに登録された印刷予定日を見て自動的に納期が指定されるようになっている。単価の自動選択、自動表示が基本で、単価交渉をしたきには、値段を手入力して発注できるようになっている。
EDI導入にあたり現場の抵抗感はほとんどなかった。理由の一つは前述の入力アシスト機能が充実していることと、もう一つは、EDIのシステム操作が容易であるため。作業指示書のバーコードを読み取ってから、3クリックで発注が完了するようになっている。

取引量のほぼ100%がEDI化

2015年9月から紙卸商1社とトライアル運用を開始し、2015年10月からは、さらに6社を加えて実運用を開始した。その後、大きなトラブルもなく順調に取引先を拡大し、2016年2月にはEDI利用の取引先は10社となり、現在では、件数ベースでは全取引の97%、金額ベースでも全取引の91%がEDI化されている。
導入効果は当初の見込み通りであった。というのも業務改善ではなく業務レスとなったので、そもそも効果検証の必要がない。
用紙EDIの導入により用紙の買掛金が確定するまでに、これまで5営業日かかっていたのが、2営業日で締まるようになった。用紙EDIは月次決算の前倒しというテーマに対しても貢献度は大きい。

(JAGATinfo 2016年8月号より抜粋)
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用紙EDIに関する問い合わせ先
株式会社カミネット
TEL:03-3517-5888
URL:http://www.kaminet.co.jp/

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