グラフィックス業界の良きパートナー企業を目指して

掲載日:2014年8月21日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

事業紹介インタビュー:グラフィックス業界の良きパートナー企業を目指して

 

株式会社きもと 営業本部 グラフィックス部門長 福岡 康氏に聞く

 

機能性フィルムの総合メーカー、きもとのグラフィックス部門では、「製版を中心としたプリプレス」と「サイングラフィックス向け大判インクジェットプリントソリューション提供」の2本柱で事業展開し、特にCMSに重点を置いている。中国でのDTPの受託サービスも展開している。

 

――始めに、貴社のグラフィックス業界との関わりについてお聞かせください。

福岡 きもとはもともとコーティングメーカーですので、グラフィックス業界向けにはマスキングフィルムなどのアナログ製版用の消耗品を中心に製造・販売をしておりましたが、ここ7~8年ほどはインクジェット関連製品のシェアが年々大きくなってきました。具体的には、サインディスプレイ向けに開発された「キモアート」「スーパーキモアート」といったインクジェット出力用フィルムで、用途としてはポスターや看板などです。
一方、「キモセッター」というデスクトップ簡易型CTPを販売しておりますが、専用のフィルムプレートとして、「キモプレート」があり、当社のオリジナルコーティング製品となります。 現在、グラフィックス向けのコーティング品として製造しているのは、この2つが中心となっております。
グラフィックス事業全体に対する当社としてのポジションを考えますと、メーカーというよりも、商社的な位置付けが大きくなっており、事業規模では国内で約50億円弱の販売実績を上げています。基本的にはさまざまなソリューションをアウトソースし、独自のオリジナリティを付加して印刷業界にご提案を続けております。

――グラフィックス部門についてもう少しお聞かせください。

福岡 グラフィックス部門は、「製版を中心としたプリプレス」、および「サイングラフィックス向け大判インクジェットプリントソリューション提供」の2本柱で事業展開をしております。現状あらゆる部分でデジタル化が進んできたので、それへの対応ということも含んで、当社は品質の説得力としてCMS(カラーマネジメントシステム)に重点を置いております。
現在はエックスライト社に統合されましたが、旧グレタグマクベス社の国内正規代理店として同社の測定機器、ソフトウエアを中核とし、インクジェットDDCPの「ORIS ColorTuner」および出力用メディア、これらを特にグラフィックス業界向けに「CMSソリューション」として提供しております。
さらに、ハードやソフトだけではなく、人的なテクニカルサポートの充実も重要との認識から人材育成には重点を置いており、 大きな商品価値としてお客様にご提供させていただいております。

――お客様のCMSに対する関心はいかがですか。

福岡 当社は大判インクジェットとの関わりが大きいのですが、例えば看板・ポスターなどのサインの用途では、「締まった黒」「ビビッドな赤」などが好まれますが、最終成果としてのグラフィックスの色品質に基準値と言いますか、製作プロセスにおける標準化がなされていないのが実情です。
従来、この分野でもインクジェットで任意の色を出したいという需要は常にあり、ここに当社のCMSの考えや技術、ソリューション提供を行うようになりました。今では業界全体がCMSを求める傾向にあり、CMSソリューションが、サイン・看板・ディスプレイといった分野にも受け入れられつつある状況です。

――デジタル化が進めば、グラフィックス業界の会社は事業の幅が広がりますよね。

福岡 ええ、当社としてもその部分にはこれからも重点を置いて、提案を強化していきたいと感じております。
もともと当社が提供しているサイングラフィックス向けのソリューションは、ハイエンドのアプリケーション向け、つまりコマーシャルラボ、サービスビューローといったお客様を主体に始まりました。印刷会社の高い技術力を、大判オンデマンドプリントでも生かせるよう、それにこたえられるシステム、部材を当社が提供し、最終的にはクライアントが満足する「品質」を実現する、これが理想的な形だと思います。
実は、印刷業界にもこういった提案を7~8年前より行っておりますが、当初サイングラフィックスの出力サービス業務は、枚葉印刷のおまけのような位置付けとして見られていました。ところがここ2年ぐらいの動きで、一部の会社が社内に独自のプロジェクトを立ち上げられたりして新たな設備投資をし、事業を展開するケースを多く見かけるようになりました。 この動きは当社としても歓迎できる方向ではありますが、この動きを加速するためには、経営者が事業展開をどう考えているかがポイントになりますので、今後は経営者に対し当社がもっているノウハウを提供しながら啓蒙活動を続けていこうと考えております。

――この分野に関して、印刷会社でこれからのことをいろいろと考えた時、良き相談相手がなかなかいないという状況がありましたが。

福岡 当社は、その’良き相談相手’としてのポジションを得たいと思っております。
高い投資金額で導入したシステムが、当初の見込みに反して、段々と価格競争の渦に巻き込まれたり、成果品のスペックに融通性を求められたりして、身動きが取れなくなることがよくあります。ですが、そういった点では当社の場合、これまで蓄積した豊富な経験を元に、お客様に不安のない提案が可能と信じております。最新技術の導入および品質的な差別化はもちろんですが、それをサポートする事細かな面倒見の良いメンテナンス、これが非常に重要で、この点に関しては、お客様のお役に立てる自信があります。

――最近、屋外広告の分野が伸びているように思いますが、貴社の取り組みなどお聞かせください。

福岡 当社では、屋外看板を中心に媒体の付加価値を上げるという意味で、2年前に「セルフクリーニングフィルム」を開発いたしました。用途としては長期の屋外媒体の保護材料として使用しますが、表面に光触媒技術を使っており、紫外光を照射した状態で雨が降れば、その雨で自動的に汚れを落としていくというフィルムです。当社としては「セルフクリーニングフィルム」を自然界の力だけで表面洗浄を行えるという特長から、環境にも優しい製品の一つと考えております。

――最後に、中国での事業展開をご紹介ください。

福岡 規模的にまだまだ小さいですが、2年ほど前に中国東北部の瀋陽にある現地法人(SKI=瀋陽木本実業有限公司)で、DTPの受託サービスを開始いたしました。
人件費が安いというところに着目し、GIS関連の受託処理業務を行う会社として、地図関係の入力など、人海戦術的な作業を請け負うことが多かったのですが、事業展開を進めるうちに閑忙期がはっきりしていることが分かってきました。その状態を解消する意味で、通年仕事の見込めるDTPサービスを手掛けるようになりました。具体的には、一部レタッチを含んだ画像の切り抜き業務です。今後も中国での事業展開は拡大していく予定です。

株式会社 きもと
〒160-0022 東京都新宿区新宿2-19-1
TEL 03-3350-0304 / FAX 03-3350-4900
URL http://www.kimoto.co.jp/

 

 
(2007年2月)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)