お客さんと直接つながりモノを売る「D2C」とリアル店舗の関係

掲載日:2020年1月9日

一方的なプロモーションでは商品が売れにくい時代になり、上手にユーザーとつながって自社 チャネルでモノを売るD2C が注目されています。併せてオフライン接点としてポップアップショップの活用が 増えています。

D2Cとはどんなモデルか

D2C とは「Direct to Consumer」の略語で、自社で商品を企画・製造する企業がオンラインストアなどの自社チャネル経由で直接ユーザーに商品を販売するモデルです。高品質な商品を中間業者を通さずリーズナブルな価格で提供し、利用者に支持されています。

ターゲットや商材を絞ったものも多く、大量生産では利益化が難しいものやパーソナライズオーダーするシャツやスニーカーも含まれます。

海外ではメガネ販売のWarby Parker(ワービーパーカー)、マットレス販売のCasper(キャスパー)が、国内ではチョコレート販売のMinimal(ミニマル)、オーダースーツブランドのFABRIC TOKYO(ファブリックトーキョー)などが有名です。

以前から知られるBtoB (Business to Business)、BtoC(Business to  Consumer)は取引の対象(企業か個人か)に注目しているのに対し、D2C は取引の仕方(メーカーが直接相手に販売する)に注目しているという点に違いがあります。全てのD2CはBtoCでもあります。

D2C、BtoB、BtoC

一般的なオンライン販売では、楽天などの大手モールに出店して露出機会を増やしたり、ウェブ広告を出稿してユーザーの認知を高める必要があります。

D2C では代わりにSNS をプロモーションやブランディングの手段として活用しているのが特長です。メーカー・ブランド側は商品のこだわりやブランドの世界観をSNSで発信し、それに共感したユーザーが商品を購入したり、商品のすばらしさを知り合いに勧めたりします。日々の情報をSNS 経由で得る世代にマッチした販売方法だと言えます。

スタートアップのバッグブランド「HushTug(ハッシュタグ)」は、モンゴル産のオーガニック牛革を現地工場で生産、販売するD2C です。取り扱っているのは素材を生かし、使い勝手を考慮したシンプルなトートバッグやリュックなど。

Instagram では商品写真や実際に使用したイメージが付きやすい写真、さらにはお手入れ方法や開発経緯、お客様の声まで掲載しています。SNSで同社製品を知ってもらい、購入に繋げています。

また同社では「全ての情報をオープンに」「シンプル×高品質」「文化を守り、未来へ」「四方良し」を理念に掲げ、製造工場や職人、材料や輸送費、関税といった原価まで開示しています。

品質やコスパの良さが購入動機になるだけでなく、モンゴルに産業を創り社会問題を解決するというブランドの理念に共感してもらうことで商品購入に繋げて います。

D2Cが活用するリアル店舗

D2Cのようなオンラインストア中心のブランドが、顧客とのオフライン接点として注目しているのがポップアップショップです。これは常設ではなく期間限定で出展する店舗のことです。場所はショッピング モールやデパートの一角、路面店、既存店舗の特設コーナーなどさまざま。日本未発売のブランドが1 カ月限定でデパート内にショップをオープンする例などがあります。

前述のHushTug でも期間限定のポップアップショップを吉祥寺パルコなどでオープンし、顧客に商品の手触りや使い勝手の良さを体感してもらう場として役立てました。

D2Cにとってポップアップショップ出店のメリットは、ふだんオンライン限定で扱っている商品を顧客が実際に手に取って確認できることや、ブランドの世界観を体験してもらいやすいことが挙げられます。

10 代後半〜20 代前半女性がターゲットの「L*ecren (レクラン)」は、5000〜3 万人程度のフォロワーを持つマイクロインフルエンサーと呼ばれる人にInstagramで情報を発信してもらい、自社チャネルで商品を販売するD2C のアパレルブランドです。運営元のand marks では、2019 年8 月に渋谷ヒカリエで、事前にEC で予約した商品の試着やインフルエンサーと会える期間限定ショップをオープンし多くの来場者が訪れました。

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ポップアップショップ開催は、プレゼントや有名人の来店など「そこに足を運んだ人だけが得られる特別な体験」ができる場として誘客が見込めるほか、来店したユーザーがSNS で発信することで、さらにブランドのことを知ってもらえる効果が期待できます。

最近では ポップアップスペースを手軽に出店できるPOP-UP NOW(ポップアップナウ)や、書店や英会話教室などといったリアルの場でオンラインショップの商品を販売できる売り場シェアリングサービスSpaceEngine(スペースエンジン) など出店の手続きや準備を軽減できるサービスも増えており、出店を後押ししています。

店舗を飾る装飾や ポスター、目を惹くPOP、大型のタペストリーなどもブランドの世界感を実現する手段として活用されています。オンラインのつながりを強化するためにリアル店舗が活用され、それを補強するために印刷物が役立つ、そんな流れが生まれているようです。

(JAGAT研究調査部 中狭亜矢

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