【DTPエキスパート認証試験】2025年3月実施第63期出題のポイント
第63期DTPエキスパート認証試験は、2025年3月7日・8日に学科試験を、3月10日から4月7日までの期間に実技試験をそれぞれ実施した。以下では、今期の出題内容について説明する。
学科試験の新出題項目
学科試験は、既存の出題範囲([DTPエキスパートカリキュラム第16版])を中心に出題している。
加えて、毎期試験で新出題の項目を設けているが、今期では以下の項目を中心に、改編も含めて全体の約2割の問題を入れ替えて出題した。
分版プレビュー
印刷入稿用データは、製版工程でどのように分版されるかをデータ上で確かめる必要がある。入稿用データを分版プレビュー機能でチェックする方法を出題した。
トーンカーブによる色調補正
Photoshopの色調補正機能の中でも自由度が最も高いトーンカーブについて、初期状態からカーブを操作することでどのような結果になるのかを、実例画像で選択する形式で出題した。
照明光とLED光源
印刷物の色評価に求められる安定した人工光源について、色評価法の仕組みとともに出題した。
日本の紙幣と印刷
2024年に発行された新紙幣には、さまざまな偽造防止技術が 組み込まれており、ユニバーサルデザインの観点からも優れた設計がなされている。伝統技術と先進技術の融合である日本の紙幣について、それらが求められる背景とともに出題した。
生成AIとデザイン・印刷
各界から注目される生成AI については、資格者調査でも今後の注目分野の一つとされている。印刷やデザインに関連する現時点での活用方法や、利用に際しての注意点などの概要について出題した。
配色計画
デザインするうえでの重要な要素である配色について、広告表現の観点から求められる魅力的な演出や、情報デザインの観点から求められる理解促進のための演出を含め、デザイン実務を想定した具体的な配色例を出題した。
個人情報保護法
個人情報保護法は、最新の情報技術や社会環境の変化による影響を考慮し、3年ごとに見直されている。今回は、2024年の改正点を踏まえ、情報を取り扱う者として把握しておくべき最新動向について出題した。
実技試験はフライヤーの制作
実技試験では、演劇の公演を案内するフライヤー(A4 サイズ・表裏2ページ分)の制作を課題とした。推理劇を、支給されるメインビジュアルや物語の世界観から公演案内のデザインに落とし込んでいくことを求める内容である。
第59期試験でも同じく劇団を想定したフライヤーの課題を出したが、今期は同劇団の10周年記念公演という想定とした。
デザイン面では、表面では公演に注目してもらうこと(attention)、裏面では劇の世界観を伝えて関心を持ってもらうこと(interest)や、公演情報を正しく伝えて申し込んでもらうこと(action)が求められた。
さらに、データ制作の面では、表裏でそれぞれ色数の指定が異なる要件に対し、正しくデータを取り扱えることや、支給画像をダブルトーンにするという要件に対応できているかなどがポイントとなった。
(JAGAT丹羽朋子)
(JAGATinfo 2025年5月号より一部加筆修正のうえ転載)