コンテンツ東京2021に見る印刷会社のビジネス展開

掲載日:2021年4月19日

4月14日~16日に行われたコンテンツ東京 2021には、印刷関連企業も多く出展し、多彩なビジネスをアピールした。

コンテンツ東京2021会場風景

コンテンツ東京2021会場(2021年4月15日)

リード エグジビション ジャパン株式会社が主催するコンテンツビジネスの総合展 コンテンツ東京 2021が2021年4月14日~16日に東京ビッグサイトで開催された。コロナ禍以前と比べ、規模が縮小されたものの、会場は賑わい、商談が活発に行われている場面も目にした。出展者も来場者も新しい展示会のあり方に慣れ、リスクをとりながら、動き出そうとする様子がうかがえる。

出展者の中には、印刷関連企業の姿が多く見られた。印刷・加工のみならず、コンテンツマーケティングや動画制作などさまざまな事業を通じて企業のプロモーションやブランディングを総合的に支援する提案が目立った。

その一部を紹介する。

コンテンツマーケティング支援

サクラグループ

サクラグループ

名古屋市に拠点を置くサクラグループの(株)サクラ印刷と(株)ジャパンプランニングセンターが共同出展。「手ごたえハテナ?からの脱却」をテーマにSEOとSNS運用のソリューションを提案した。
SEOではサイトの検索順位を上げる施策をAIが行う「SEO-NEXT」を紹介した。定期的な更新が可能であること、月額50,000円から始められるという低価格設定が特徴だ。
SNSでは、企業の運用を戦略的・計画的に運用するためのリサーチ・プラン作成・コンサルティングなどを紹介した。
サクラグループでは、こうしたサービスを活用してプロモーション戦略の提案からツール制作まで含めた総合的な顧客サポートを目指す。

(株)北斗社

北斗社

同社はリクルートグループをはじめ、幅広い業種の販促ツールを手がける中で培ったコンテンツ分析や企画・提案力を生かし、BtoBコンテンツマーケティングに注力している。今回は、月額制のコンテンツ作成支援サービスを提案した。
「Contents Stock」はWebサイト分析・デザイン制作・記事作成を月額制で行うサービスである。月額最低4万円のプランから始めることができる。
「tolliho(トリホ)」は、月額6万円の動画制作サービスである。ヤマハが提供する「tollite(トリテ)」をベースに北斗社の独自サービスとして提供している。撮影用アプリ、動画編集サイト、デザインテンプレートで制作の負担を軽減する。


特殊印刷を活用したプロモーション

(株)マル・ビ

マル・ビ

得意とするレンチキュラー印刷の魅力と制作実績をアピールした。大判のポスターのほか、缶バッジ、シール、ポストカード、店頭POPなどを数多く紹介し、奥行きのある表現、動き、絵柄の変化の面白さをアピールした。

(株)エムアイシーグループ

エムアイシーグループ

愛知県西尾市に拠点を置き、商業印刷・イベント運営・ノベルティ制作・デジタルコンテンツ制作など幅広い事業を手掛けている。今回は、UV擬似エンボス印刷によるクリアファイルを中心に展示し、質感による差別化をアピールした。

アイ企画(株)

アイ企画

同社は大阪府守口市でフレキソ印刷製版を手掛けている。
今回は水性フレキソ印刷をメインに、ダンボール、不織布、クラフト紙などへのプロセス印刷の事例を紹介。普段なかなか目にすることのない水性フレキソの版や、SCREENのProof Jet F780 MARKIIによる、プルーフ見本も展示した。

紙の活用による脱プラスチックの提案

(株)一九堂印刷所

一九堂印刷所

1910年創業。CD・DVDなど音楽、映像ソフトパッケージの製造で培った技術とデザイン力を生かし、「紙って意外と自由だ!」をコンセプトに、独創的なパッケージの数々を企画している。ブースでは、紙で作られたシャンデリアや、複雑な形状の花瓶を展示し、人目を引いていた。

特種東海製紙(株)

特種東海製紙

同社はエアラスなど印刷向けのファンシーペーパーで知られているが、今回は「紙の技術が拓く、パッケージの未来。」というテーマを掲げ、高付加価値パッケージ用紙「TT-PACKAGE」のシリーズをアピールした。ブース壁面は、立体的なきらめきが特徴の「TT-SPARKLE」で装飾が施され、そのメタリックな質感で注目を集めた。


地域企業のブランディング

感動会社楽通(株)第一コンピュータ印刷(株)

感動会社楽通と第一コンピュータ印刷

姫路市の広告代理店・感動会社楽通と、新潟県三条市の印刷会社・第一コンピュータ印刷がタッグを組み、中小製造業を主な対象に、企業の社員が登場し、演出や画面効果に工夫を凝らした会社紹介PVやポスターを制作している。インパクトの強さが就活生に受けて求人応募数が増加したという成功例があり、また社員のモチベーションアップにもつながっているという。

(株)悪の秘密結社

悪の秘密結社

福岡を拠点に、ヒーローコンテンツに特化した事業を通じて地元企業のプロモーション、ブランディングに貢献している。
スポンサー企業をイメージしたヒーローを生み出し、ヒーローショーやキャラクターグッズ発売を行っている。また、ヒーローたちが活躍するテレビドラマ「ドゲンジャーズ」を制作し、KBC 九州朝日放送のほか複数のテレビ局で放送されている。


コロナ禍がまだまだ続く中、企業の存続・成長は簡単ではないが、今回出展した企業の多くが、顧客の課題解決や地域経済の活性化を、自社の発展と結び付ける立場で事業を展開していた。今後の発展に期待する。

(JAGAT 研究調査部 石島 暁子)

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