2019年の印刷産業出荷額(全事業所)は4兆9981億円(確報値)

掲載日:2021年8月20日

「2020年工業統計調査」の確報版が公表された。全事業所(3人以下の事業所を含む)の印刷産業出荷額は前年比0.3%増となった。(数字で読み解く印刷産業2021その8)

3人以下の事業所が半数以上を占める

2020年6月1日現在で実施された「2020年工業統計調査(2019年実績)」は、速報が2021年3月26日、概要版が5月28日に公表され、このコーナーでも2回取り上げました。

8月に入り、確報版になる産業別統計表が13日に公表され、品目別統計表と地域別統計表が25日に公表されます。

JAGAT刊『印刷白書』では、確報版でなければわからない、「推計による従業者3人以下の事業所に関する統計表」も使って、全事業所の数値で印刷産業の変化を見ています。

2019年の全事業所の印刷産業出荷額は4兆9981億円(前年比0.3%増)、2020年6月1日現在の事業所数は2万642事業所(同2.8%減)、従業者数は27万3523人(同1.1%減)となりました。

3人以下の事業所の出荷額は1528億円、従業者数は2万1790人と推計され、全事業所に占める構成比は非常に小さいのに、事業所数は1万981事業所と半数以上を占めています。

5兆円確保できなくても高い生産性を維持

印刷産業出荷額は2012年から微減で推移してきて、2018年は減少幅が拡大し、1982年(4兆7441億円)以来36年ぶりの5兆円割れでした。しかし、2019年は12年ぶりのプラスとなりました。また、1人当たり出荷額は1982年の1154万円に対して1827万円、1事業所当たり出荷額114.8百万円に対して242.1百万円を確保しています。

出荷額が8.9兆円でピークだった1991年と比較してみても、1人当たり出荷額はピーク時と変わらない水準を確保し、1事業所当たり出荷額は上昇傾向にあります。事業所数の減少や省人化設備が寄与していることは確かですが、高い生産性を維持していることに印刷産業全体の健全性が表れています。

なお、新型コロナウイルスの影響が表れる「2021年工業統計調査(2020年実績)」は、5年ごとに全産業を調査する「経済センサス-活動調査」の実施年のため中止となりますが、活動調査の中で工業統計調査と同様の調査事項が調査させます。

『印刷白書2021』は10月下旬発行を予定しています。限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。ご意見、ご要望などもぜひお寄せください。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)