印刷会社へ入社した理由の15%がマーケティング!~若手の意欲に教育と実践機会を~

掲載日:2021年11月22日

印刷会社がマーケティングを強化するには人材が重要である。実務経験が豊富な中途人材を採用するのも一つではあるが、マーケティングの仕事を希望し、印刷会社を志望する若手人材も増えている。

印刷会社がマーケティングを強化する上で、人材の採用、教育は重要な戦略となる。マーケティングと一括りに言っても求められる能力は多岐に渡る。DMの企画提案を例に考えても、顧客からのニーズヒアリング、コンテンツ企画、グラフィックデザイン・印刷加工によるクリエイティブ表現が必要だ。また、DMを作るだけではなく、ユーザーの属性分析によるターゲットや配布タイミングも考えるべきだ。そのためには、顧客データの分析、MA、CRMツールの理解と活用スキルも求められる。また、顧客はDMだけではなく、Webサイト、メルマガ、動画など、デジタルメディアを駆使するため、それらとDMの棲み分け或いは連携を考えるべきであり、デジタルマーケティングの知識も必要になる。各々の分野に強い専門人材をすべて揃えることは難しいが、そうした知識を持ち、ディレクション或いは顧客や社外パートナーと話しができる人材がいるだけでも大きい。

デジタルネイティブ世代の意欲を印刷ビジネス&マーケティングへ

そのような人材を外部から採用することができれば理想的だが、給与面等のハードルは高く採用は容易ではない。一方で、新卒社員の採用については可能性が広がる。2021年4月に印刷会社へ入社した新入社員244名に「印刷会社へ入社した理由」を問いかけたところ、約15%が「マーケティングの仕事ができる」と回答した。そのうち、「デザインと紙加工」「デジタルと紙の連携」「地域活性支援」等、やりたい仕事も明確にしている新人も散見される。彼らは、デジタルネイティブ世代であり、他の世代にはない感覚を持っている。だからと言ってデジタル一辺倒ではなく、デジタル、紙それぞれの良さを理解しているが故に印刷会社へ入社している。そうした、新たな価値観とマーケティング志向を併せ持った若手人材を採用し育成することは、時間はかかるもののその後解き放たれるポテンシャルは面白い。ある印刷会社では、新たに立ち上げた印刷サービスのプロジェクトリーダーに、入社2年目の若手人材を抜擢している。研修の受講や専門書を読むといった勉強だけではなく、早い段階でマーケティング実務経験と一定の責任と権限を持たせることで、その成長スピードを加速度的に伸ばしているようだ。

JAGATは、コロナ禍がもたらした印刷会社の状況を踏まえ、今こそマーケティングが重要であることを、あらためて「JAGAT大会2021」を通して訴求していきたいと思う。また、印刷会社が実務に落とし込むために必要な、マーケティングの知識や具体的なノウハウ手法については、page2022のセミナーでも取り扱いマーケティング力を向上できる機会を作っていく所存である。

JAGAT 塚本 直樹

JAGAT大会2021~今こそマーケティング~
 開催日:2021年11月25日(木) 14:00~17:20  ※オンライン配信