印刷機の技術革新とそれに合わせてオペレータの役割はどうなりますか。

掲載日:2014年8月11日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:オフセット印刷

Q:印刷機の技術革新とそれに合わせてオペレータの役割はどうなりますか。

A:ここ数年の間に各印刷機メーカーからいろいろな機械が発表され印刷機の技術も飛躍的に進化しています。したがって、どれが一番良いという見方ではなく、それぞれの印刷会社の要求に合ったものかどうかを判断することが経営者に求められてきます。 

  枚葉機はユニットの数が4色以上のものが多く出ています。これは4色以上の色数を使いより色域の広いカラー印刷をしたりインラインで両面4色印刷したりインラインである程度の表面加工をしさらにデザイン性を持たせた加工も可能になりました。 
  従来、こうしたことはオフラインで行い時間がかかっていた事がワンパスで低コスト短納期での生産が可能になりました。また準備時間短縮のためのコンピュータ制御により機構的な改良がなされてオペレータの負担も軽減されました。

  オフ輪も技術革新がなされ、特に各ユニットの単独駆動はもう一般化されています。従来、ユニット間はギアで繋がれてすべてのユニットが同時に動くため準備時間にもそれなりの時間を要していました。これがサーボモータの技術が発達したことによりユニットの単独駆動が可能となり準備時間も短縮されました。
  これにより、従来のオフ輪が7万部以上という大量生産型の機械という概念から脱却し、3万部からのロットで印刷しても採算が取れる機械が出ています。印刷会社の現場では1万部からの仕事もこなしていると聞きます。もちろんコンピュータ制御によりオペレータの負担は軽減されました。

  CTPシステムが一般的になりデジタルデータをやり取りすることにより工程がコンピュータ管理されている今日では印刷機の設定をあまり動かす必要もなくなりました。オペレータがボタンを押せば自動的に版替えからローラ洗浄、インキ濃度調節などをやってくれます。生産効率向上、準備時間短縮のために印刷機が進化するにつれてオペレータのスキルの性質も変わり経験がなくても印刷機を動かせるようになってきました。昔のように腕に技術をもった職人がいた時代とは違ってきています。非常に便利になりましたが、一方で機械が故障したりメンテナンスが必要になったときに、オペレータがどこまで対応できるかという不安要素もあります。これは大きな問題です。
  このためには印刷機の基本を理解し最良の状態を把握してこれを基にして材料の相性を確認しておくことが大切です。そして、胴仕立てやローラー交換、ブラン交換などの点検、調整し判断できるようになる必要があります。
  この解決策としては、印刷機械メーカーが勧める講習に定期的に積極的に参加して、コンユータ化された印刷機のどこまでをオペレータが調整し、どこからがメーカーに頼まなければならないのかを判断できる能力を身につけていくことが大事です。

 

(2008年3月10日)
(印刷情報サイトPrint-betterより転載)