可食性インキとはどういうものでしょうか。

掲載日:2014年8月17日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:その他

Q:可食性インキとはどういうものでしょうか。

A:可食性のインキとは食品衛生法に基づいて食用色素(通常のインキでいうと顔料にあたる)を色材として使用し、原材料はすべて食品または食品添加物だけで構成・製造されたインキです。可食性インキの構成は以下のようになっています。

☆着色料(天然色素系)
   赤色系:紅花赤、赤ビート、赤麹、アントシアニン
 黄色系:クチナシ、紅花黄、ウコン、アナトー
  茶色系:カカオ、コウリャン
 青色系:クチナシ青
  緑色系:クチナシ青+クチナシ黄調色、クロロフィル
 黒色系:イカ墨
  着色料としてはユーザーや用途によって合成着色料を使用する場合もあります。
☆樹脂他
  食品用シェラック樹脂、多糖類、安定剤、乳化材、強化剤 他
☆溶剤
  水、エチルアルコール、プロピレングリコール、食用油脂 他

  印刷方法は被印刷体や用途によって違ってきますが、グラビア印刷、パッド印刷、スクリーン印刷等あります。またタマゴに賞味期限やトレサビリティ用のコードを印字しているのはコンティニアスタイプのインクジェットシステムです。タマゴへの賞味期限を印字するインキの着色料にはイカ墨が使われています。

  印刷設備は被印刷体が食品の場合には、当該食品メーカーが自社の工場の中に設置されていることがほとんどです。
  食品に印刷される場合には食品衛生法という法律に合致した食品メーカーの工場内に印刷設備が設置され、衛生環境が守られているところで印刷されています。ですから印刷機も可食性インキ印刷の用途のみという環境のもとで使われているようです。またインキも食品と同様に、保管方法や使用方法に十分留意しなければなりません。
  最近は食品以外のものに印刷したいというご要望も増えてきています。このような場合、可食性インキの使用方法や表示について法律に明記されているわけではないため、インキメーカーとしては現状は保健所や官公庁へひとつひとつ確認し、指導を受けながら製品開発が進められています。
  インキの乾燥は基本的に常温乾燥です。速乾性は比較的ありますが、被印刷体や印刷方法によって乾燥工程を入れている場合もあります。印刷を行う会社が独自で使いやすいようカスタマイズされていることが多いです。

  用途目的は、お煎餅やチョコレート、ガムなどの食品に文字や図柄などを印刷されていることが多いです。健康食品のカプセルにも可食性インキが使われており、他社品と差別化するためにブランドの名前を入れたり識別やトレサビリティのためにコードを入れたりしたいという目的で印字されています。この場合、薬事法に規制されている医療用薬品へ印字するインキとは違います。
  また、コーヒーや紅茶のティーバッグなどへの印字にも使われています。これは直接口の中に入ってしまうわけではありませんが、食品と直接触れたり、食品の中に溶け出してしまう可能性もあるということで可食性インキが使われています。
  日用品では、無くなりかけたときに線のついたものが出てくるティッシュペーパーがあります。青やピンクなどの色がついていますが、その部分に可食性のインキを使っています。それまでは蛍光染料等を使っていたようですが、子供の口や肌を拭いたり、場合によっては口の中に直接入る可能性もありますので安全なインキをということで使われています。

   取材協力:東洋インキ製造㈱グリーンケミカル事業推進部
        http://www.toyoink.co.jp/products/eco2005/natural.html

 

(2006年6月26日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)