世界の印刷に関連する博物館を教えてください。

掲載日:2014年8月17日

※本記事の内容は掲載当時のものです。

ナンデモQ&A:その他

Q:世界の印刷に関連する博物館を教えてください。

A:世界各国にはいろんな博物館がたくさんありますが、その一部をご紹介します。 

★イギリス
【国立科学博物館】
  印刷と紙のギャラリーが設けられ、印刷と製紙に関する実物や解説が総合的に展示されている。印刷関連では、18世紀の印刷工房が再現されているほか、初期から現代までの印刷機、モノタイプ、タイプライター、複写機などの機器類、印刷見本などがある。モノタイプの実演も見ることができる。製紙関連では2台の大きな製紙機模型を中心に、手漉き紙から現代の工業製紙までの原料や工程、実物など、またさまざまな紙加工品の実物が展示されている。

 【オックスフォード大学出版局博物館】  URL http://www.oup.com/
 1478年から現代までのオックスフォード大学出版局の印刷の歴史をたどることができる。展示品としては、ジョン・フェルがオランダから持ち込んだ17世紀の活字、当時の印刷の作業台、19世紀の印刷機、オックスフォード年鑑の見本、オックスフォード英語辞典をはじめとする多数の書物などがある。また、過去に印刷所が使用していた大学構内の建物の詳細などが紹介されている。見学は、予約が必要。

 【セイントブライド印刷図書館】  URL http://stbride.org/
 1895年に開設された、蔵書・コレクションともに世界有数の印刷図書館。ウィリアム・ブレイズやタルボット・リードが収集した初期印刷時代の印刷物、活字見本帳、カタログ、商工名録などをはじめ、木版、活字、印刷機などの歴史的に貴重なコレクションが多数保有されている。蔵書数は約40,000冊、購入している逐次刊行物は200タイトルを数える。収集の分野は、印刷のほか紙、製本、グラフィックデザイン、タイポグラフィーなど広範に及んでいる。

 【活字博物館】
  グーテンベルク以来500年にわたって蓄積されてた欧文活字書体設計や組版技術など、タイポグラフィーに関する膨大な資料と機材が収集されている。主要なコレクションは、英国印刷史で特に重要な役割を占めたスティンブンソン・ブレイク、デリトル、モノタイプの3体系。また、単なる資料館ではなく人類思考言語伝達の大切なツールである文字を適切に扱う実技を学ぶための教育施設としての役割も担っている。 

★ ドイツ
【ドイツ出版印刷博物館】  URL http://www.ddb.de/
 15世紀から19世紀の稿本、印刷物や活字見本などを収蔵したクレムコレクション、20世紀の書物工芸を集めた工芸印刷コレクション、広告、活字、カリグラフィーなどのグラフィックコレクション、透かし模様やカラーペーパーを収めた製紙歴史コレクション、造本と製紙に関する原料や機材、道具を集めた文化史コレクションなどから構成されている。また、本の都市ライプチヒを解説する常設展示がある。

 【MAN博物館】 
  印刷機とディーゼル・エンジンのメーカーとして知られるマン社が1953年に設立した博物館。1846年製のラインヘンバッハ印刷機、1877年製のウェブ輪転機、1912年から1980年まで使用された平台ストップシリンダー印刷機など、歴史的な印刷機が展示され、併せて機械の使用方法が図解されている。また、19世紀から20世紀の印刷機や開発者に関する図版や写真などの歴史資料が紹介されている。

 【クリングスポール博物館】
  カール・クリングスポールとヴィルヘルム・クリングスポールのコレクションを母体に開設され、20世紀の書籍美術、タイポグラフィー、カリグラフィーを所蔵している。オッフェンバッハ派の手写本や装飾本、シュツットガルト派のカリグラフィー、製本職人イグナッツ・ヴィマーの100冊に及ぶ革装本など、豊富なコレクションを有している。また、製本術や印刷および文字の歴史、紙などに関する幅広い分野の専門書が収集されている。

 【ケーニッヒ・バウアー工芸博物館】  URL http://www.kba-print.de
 ケーニッヒ・バウアー社製の歴史的に貴重な印刷機が展示されている。代表的なコレクションとしては、版の上に円筒を転がして印刷するシリンダー印刷機を発明したフリードリッヒ・ケーニッヒが最初に作った機械式の手引き印刷機、ロンドンでアンドレアス・バウアーとともに製作した初の円圧印刷機、1814年に製作され「タイムズ」紙の印刷に使用された初の両面印刷機、ドイツに戻り製作した初の二回転機などがある。

 【グーテンベルク博物館】  URL http://www.gutenberg.de
 グーテンベルグ生誕500年を記念して1901年に開館した博物館で、15世紀から20世紀の印刷に関する資料が展示されている。グーテンベルクに関する資料のほか、印刷機、植字及び鋳造機、写字、筆記用具、製本、紙に関する資料など展示内容は多彩。書物コレクションは特に評価が高く、2種類の「グーテンベルク聖書」を所蔵している。また、グーテンベルク時代を再現した工房では当時の印刷技術が実演されるなど、多角的な紹介が行われている。

 【ドイツ博物館】 URL http://www.DEUTSCHES-MUSEUM.DE
 印刷部門は「手工業的印刷技術」、「機械印刷技術」、「現代の印刷技術」などのコーナーが部屋ごとに分かれ、歴史的な印刷技術から現在の印刷技術までを見ることができる。展示は技術に重点が置かれ、18世紀の印刷工房を実物を用いて再現したコーナーのほか、ライノタイプなどの印刷機やフルセットのDTPシステムなどがある。製紙部門では、18世紀の製紙工程がジオラマなどにより紹介されている。

★ フランス
【国立工芸博物館】  URL http://www.cnam.fr/
 国立工芸学校の一部門として1975年に設立され、僧院を敷地として1986年から公開されている。道具や装備のコレクション、印刷技術などが展示され、18世紀末から19世紀初頭にかけての歴史的に貴重な印刷機が多く所蔵されている。代表的なコレクションとして、マリノニ輪転機、スタンホープ印刷機、ドラカンブルの組版機の5分の1縮尺模型などがある。2000年3月にリニューアルされた。

 【リヨン印刷博物館】 URL http://www.bm-lyon.fr/musee/imprimerie.htm
 マインツのグーテンンベルク博物館、アントウェルペンのプランタンーモレトゥス博物館と並び称でられている。1964年に設立されたが、当初は「印刷・銀行博物館」と呼ばれていた。ルネサンス建築の館内を一巡すると、印刷物の歴史をたどることができる。修復・復元品を含むが、歴史的な母型、道具類、印刷機、揺籃本時代の活字印刷機など、貴重な品々を数多く所蔵している。書物や版画の資料も豊富である。

  ★ ベルギー
【出版印刷博物館】 URL http://www.kbr.be
 ベルギ王国図書館の一画に、長い回廊と踊り場を使って展示されている。ベルギー印刷界の協力を得て、スタンホープ印刷機、マリノニ輪転機、ケルナーオフセット印刷機、ライノタイプなどの歴史的な印刷機や図版、書籍印刷用の刷版や印刷見本、製紙に関するコレクションのほか、活字や書体、凸版などを所蔵。同じ建物の中にある書籍博物館には、中世の写本や稀覯本などが展示されている。

 【プランタン-モレトゥス博物館】URL http://dma.be/cultuur/museum_plantlnmoretus/
 16世紀の印刷業者クリストファー・プランタンの居館「金のコンパス」が、アントウェルペン市に譲渡され1876年に開館した博物館。約1万5,000点の活字の母型、80種類に及ぶフォント、約3,000点の銅版、約1万4,000点の木版や1600年頃まで遡ると言われる印刷機などを所蔵している。約2万5,000冊の古書も有し、16~18世紀にアントウェルペンで印刷された書物のほか、インキュナブラた稿本も所蔵されている。

★ オランダ
【印刷博物館】
  小規模ではあるが、組版や印刷に関する充実したコレクションを有している。ヨハネスバーガー印刷機、ジュリアンシリンダー印刷機をはじめとして、活版植字機、ライノタイプ植字機、校正刷り機、木製手動印刷機、鉄製手動印刷機、鉄道切符専用の小型印刷機、レバー式断裁機、製本機などが展示されており、印刷の歴史に触れることができる。ほかに、リトグラフなどの印刷や写真なども紹介されている。

 【エンスヘデ博物館】
  18世紀に設立された活字鋳造所と印刷所を経営する企業が所有する博物館。エンスヘデの著書に書かれている母型コレクションや、現存する最古のものといわれているオレンダの母型(1491年頃のレターシュナイダー活字)など、活字に関するコレクションが多い。ほかに、印刷に関する機械や道具、書体見本、紙幣、切手や、この企業の歴史を物語る古文書なども所蔵されている。見学は予約が必要。

★ イタリア
【書物損傷中央研究所博物館】
  書物が印刷所や製本所を離れて世の中に出た後、どのような損傷をうけるかを研究、その修復も進めている。戦火による損傷、地震、火事などの自然災害による損傷、湿度や光・熱による損傷、酸性インキなどの化学反応による損傷、虫による損傷など、書物が被る数々の損傷が対象になっている。2001年には、啓蒙的な配慮を加えリニューアルされたスペースで展示された。見学は予約が必要。

 【ボドニ博物館】 URL http://www.bibpal.unlpr.it
 パルマ王立図書館の一室に、1963年に開設された博物館。父型彫刻工であり印刷工であったジアンバッティスタ・ボニドの約80,000点の作品コピーを所蔵し、ボドニが使用した彫刻や鋳造用の道具、型押し機と紙型、活字見本、手稿や活字デザイン、再現された印刷機などが展示されている。ボドニの業績の全体像が示されていると同じに、パルマやイタリア全体の印刷史を示す資料も展示されている。

★ スイス
【バーゼル製紙印刷博物館】 URL http://www.papiermuseum.ch
 製紙、印刷、製本、に関する歴史的な資料の展示とともに、実演が行われていたり、来館者による体験が可能となっている。展示は木製印刷機、シリンダー印刷機、オフセット・凹版・石版の図版印刷機などのほか、活字、製本、装幀などがある。修復・再現された製紙工房では、18世紀後期の紙漉きの様子をみることができる。また、金属活字鋳造の実演も行われている。来館者が紙漉きや、図版印刷機による印刷を体験することができる。

 【グーテンゲルク博物館】 URL http://www.gutenbergmuseum.ch
 ベルンからフリブールに移転し、2000年11月に開館した。さまざまな時代の印刷機や当時の様子を伝える蝋人形のほか、ヨーロッパにおける印刷術の発達が展示されている。工房では、組版、印刷、製本の実演を見ることができる。言語と文字の歴史をテーマにしたマルチメディアショー、企画展示、レクチャーなどが行われ、印刷に関する幅広い知識を得ることができる。図書館も併設されている。

★ スウェーデン 【スカンセン野外博物館】 URL http://www.skansen.se
 世界初の野外博物館として知られる1891年に設立されたスカンセン野外博物館には、広大な敷地にスウェーデンの各地から運ばれたさまざまな伝統的建造物が点在し、歴史を偲ばせている。そのうちのひとつに、再現された19世紀の印刷工房がある。組版室や印刷室、製本室などがしつらえており、当時のストックホルムの印刷工房の様子を伝える印刷機をはじめとした機械類や道具類をみることができる。

★ デンマーク
【デンマーク印刷博物館】 URL http://mediemuseum.dk
 印刷業に携わる経営者団体や労働組合に支えられている博物館、現在でも十分な仕事のできる歴史的な印刷や製本に関する機械、道具が揃えられ、長い経験をもつ現役を引退した印刷職人たちにより、昔ながらの技術が伝えられている。石版や銅版の版作りから印刷まで、活字鋳造や植字、装幀のためのマーブルペーパー作りから手製本まで、手漉き製紙など、多岐にわたる技術の実演を見ることができる。

★ アメリカ
【スミソニアン、アメリカ歴史博物館】
   URL http://americanhistory.si.edu/youmus/ex25prgr.htm
 スミソニアン協会が経営する複合的施設の一つ、アメリカ歴史博物館の3階に「印刷とグラフィック・アーツ」のコーナーばある。1865年頃の印刷所、1880年代の新聞印刷所などを再現、道具や設備が展示されている。ベンジャミン・フランクリン時代の木製印刷機、19世紀の蒸気エンジンによるホー型輪転機、19世紀のライノタイプをはじめとする18世紀から20世紀にいたる印刷機や活字鋳造機などのほか、木版、銅版、や写真などのグラフィックアートがある。

 【国際印刷博物館】 URL http://www.printmuseum.org/
 歴史的な印刷機などが多数所蔵されている。ベンジャミン・フランクリンの時代の印刷工房の再現があり実演も行われているのをはじめ、アメリカで3番目に古い印刷機、1813年製のコロンビア印刷機、1890年製のライノタイプ組版機などがある。見学には予約が必要で、ガイドツアーに参加することができる。

 【ヘンリー・フォード博物館】 URL http://www.hfmgv.org./village/crafts/print.html
 自動車王として知られるへんりー・フォードが1929年に設立した、化学技術や工業の歴史に関するさまざまなコレクションを有する博物館の一部門として印刷工房が設けられている。1800年代から1900年代初頭にかけてのアメリカの新聞、名刺、チラシなどの印刷物があるほか、手動印刷機、手動や機械式の組版機、電動印刷機などの実演をみることができる。また、ポスターや商品カタログなどのコレクションも豊富である。

 【フランクリン科学博物館】 URL http://www.fi.edu/franklin/printer/index.html
 ベンジャミン・フランクリンの遺産を守ることを目的に活動するフランクリン協会が、フランクリンの科学技術に関する数々の業績の紹介を中心に、科学の啓蒙活動を行っている。印刷については、18~19世紀の印刷工房が再現され、当時の印刷や製本の実演を見ることができる。また、フランクリンの印刷機のレプリカや、フランクリンが発行した新聞「オーロラ」などが展示されている。

 【コロニアル・ウィリアムズバーグ】 URL http://www.history.org/
 コロニアル・ウィリアムズバーグ(歴史地図)は、18世紀のウィリアムズバーグの町やその生活の様子が再現されている。印刷に関しては、この地で最初の印刷業者であり、「ヴァージニア・ガゼット」紙を発行したウィリアム・パークスの印刷工房が再現され、手動印刷機による印刷や製本の実演が行われている。また、「ステッチ・ブック」と呼ばれた小さく、安価な書物の印刷から製本までの製作工程なども紹介されている。

 【印刷博物館、マサチューセッツ】 URL http://www.museumofprinting.org/
 豊富な所蔵品を有し、印刷関連機器、印刷技術、グラフィックアートの歴史が紹介されている。所蔵品は、歴史的な印刷機。製本機からマッキントッシュのパソコンまで多岐にわたっている。校正刷り用印刷機やステロタイプ新聞印刷機、ホー型輪転機、製本機などが展示されているほか、モノタイプ、ライノタイプ、写真植字機、グラビア印刷機、断裁機などを所蔵。また、さまざまな印刷物や印刷の歴史に関する蔵書も多い。

 【ハミルトン木活字・印刷博物館】 URL http://www.woodtype.org/
 ツーリバーズ歴史協会のボランティアにより、印刷産業の遺産である印刷機や印刷物、印刷技術の保存を目的に運営されている博物館。木活字を中心とした展示がされており、木活字を製作するための機械類、ナンシー・ニールコレクションやレオ・カプランコレクションから成る木活字がある。また、ライノタイプを含む印刷機や、20世紀初頭の木活字を用いて製作されたサーカスのポスターなどが紹介されている。

★ カナダ
【カナダ科学技術博物館】
  印刷と製本が、幅広い科学技術のテーマのひとつになっており、カナダにおける250年に及ぶ印刷と製本の歴史を知ることができる。新聞や書物の印刷に用いられたレタープレス印刷やレリーフ印刷、またリトグラフ印刷や写真製版、グラビア印刷などさまざまな印刷技術が紹介されている。また、製本に関しては断裁、折り、綴じ、パンチング、糊づけなどの工程のほか、ブックカバーの装飾やマーブルペーパーの作り方などが紹介されている。

  ★ 中国
 【中国印刷博物館】
  3,000㎡の敷地に、4階建て、総床面積5,000㎡の規模で展開する博物館。中国の印刷技術について、誕生から発明、発展したすがたまでを系統的に再現している。紙、墨などの材料や印刷技術発明の社会的背景をテーマにした源頭館、唐以降の離版や活字印刷の発展を展示した古代館、西洋印刷術の摂取をテーマにした近代館、現代印刷技術をテーマにした現代館などで構成されている。各年代にわたる多彩な展示が行われている。

★ 韓国
 【清洲古印刷博物館】 URL http://www.jikji.or.kr
 1377年に、世界最古の金属活字本『白雲和尚抄録仏祖直指心体要節(略称、直指)』を印刷したという清洲興寺址に設立され、1992年に開館した古印刷に関する専門博物館。古書、印刷器具、興徳寺から出土した遺物など1,100点余りを所蔵している。地下1階、地上2階の建物には、興徳寺址の出土遺物や『直指』に関する遺物が展示されたり、印刷機器室、古印刷図書館、印刷文化室、映像館、古印刷の体験室、東西印刷文化室などが設けられている。

 【三省出版博物館】
  出版社付設の私設博物館。国宝を含む歴史的書物が展示されている。1階には、宝物758号指定で1239年刊行の金属活字復刻本『南明泉和尚頌證道歌』、同じく877号指定で1357年刊行の木版巻子『金剛般若波羅蜜経』、745号指定で15世紀に刊行された木版『月印釋譜』などのほか、木版、木活字、鉛活字、硯、筆、紙など、2階には1914年に京城斯道館が刊行した『朝鮮風俗集』などの出版物が展示されている。

 【誠庵古書博物館】
  趙炳舜が1974年に設立した、韓国の活字印刷物を最も多く所蔵する博物館。蔵書約2万冊、古簡牘及び古文書約2万点、印類、金属活字、木活字、陶活字などを所蔵している。高麗初雕本『大方広仏華厳経』、癸未字本『東莢先生校正北史詳節』などの国宝のほか、木版印刷物では751年に新羅で刊行された『金剛般若波羅蜜経』など、数多くの貴重な資料が揃えられている。

★ 日本
 【お札と切手の博物館(印刷局記念館)】
  財務省印刷局の主要印刷物である紙幣や切手を中心に、印刷技術やその歴史が紹介されている。展示は、製紙、製版、印刷などの製造工程で使用される原材料や機械(模型を含む)、紙幣や切手、政府刊行物などの製造工程を紹介するビデオ、カラースライド、太政官札から始まる代表的な紙幣、紙幣の原版及び原版刷り、紙幣の偽造防止技術など。紙幣や印刷局の歴史的な技術などをテーマにした企画展示も行われる。

 【財務省印刷局王子展示室】 
  財務省印刷局の印刷物である紙幣、切手が、歴史、印刷技術を中心に紹介されている。印刷技術に関しては、ドライオフセット凹版印刷機の動くミニチュア模型、グラビアシリンダー、凹版彫刻の用具やその原版、原版刷り、彩紋彫刻、紙の原料(みつまた)、印刷インキなどのほか、国内外の紙幣の主な偽造防止技術などが展示されている。また、明治以来の旧紙幣や現行紙幣の下図、原版刷りなどもある。

 【ミズノ・プリンティング・ミュージアム】 URL http://mizunopritech.co.jp
 ミズノプリテック社長の水野雅生のプライベート・コレクションを母体に開かれた、日本の印刷博物館の先駆的存在。スタンホープ印刷機をはじめとする印刷機、李朝活字など古活字、浮世絵や西洋木版の版木、国内外の貴重な印刷物などが収集、展示されている。印刷物としては『グーテンベルク聖書』、『百万塔陀羅尼』、ダヴス・プレス『英訳聖書』、アシェンデン・プレス版『ダンテ著作集』などが並ぶ。見学は予約が必要。

 【印刷博物館】 URL http://www.printing-museum.org/
 凸版印刷㈱が、2000年10月に開館した博物館。「印刷文化学」を揚げ、コミュニケーションメディアである印刷が果たした社会や文化、歴史、文明への役割と、情報技術との融合で開かれる未来への可能性を調査、研究し、展示公開している。ディドロ『百貨全集』、ケルムスコット・プレス刊本『チョーサー著作集』、ヨンストン『禽獣魚介蟲図譜』、『鯰絵』などの印刷物、ケリー自動高速輪転印刷機などの機器類をはじめとするコレクションを有している。

 【うらわ美術館】 URL http://www.uam.urawa.saitama.jp/
 「本をめぐるアート」を収集方針の一つに掲げ、美術作品としての「本」に関わる展覧会を積極的に開催している。

   参考資料:凸版印刷株式会社発行(2001.7)「印刷博物誌」より抜粋

 

(2003年9月22日)

(印刷情報サイトPrint-betterより転載)