産業連関表で印刷需要の変化を見る

掲載日:2016年9月13日

現在編集中の『印刷白書2016』では、延長産業連関表と接続産業連関表によって印刷需要や様々な産業との関係をみています。(数字で読み解く印刷産業2016その11)

産業連関表って何だろう

産業連関表は、国内で1年間に行われたすべての生産活動と取引を対象にして作成する加工統計で、産業間の取引活動の大きさを金額で評価して「商品×アクティビティ(または商品)」の行列(マトリックス)にしたものです。つまり、日本国内の生産活動(アクティビティ)のすべてを「購入→生産→販売」の連鎖として金額で捉えることで、需要を押し上げる要因や波及効果を見ることができます。
産業連関表の作成にあたっては、まず産業別の国内生産額を確定し、その内訳として投入額(原材料等の購入額)や産出額(各産業への販売額)が決まります。

産業連関表の分類の変更から産業構造の変化がわかる

産業連関表は10府省庁が共同で5年ごとに作成しています。原則として西暦末尾0と5を対象年としていますが、最新の「平成23年(2011年)産業連関表」は、重要な基礎資料となる「経済センサス – 活動調査」が2011年を対象に実施されたことから、前回の「平成17年(2005年)産業連関表」から6年の間隔となりました。
産業連関表の分類は作成年度によって異なり、年度による違いを見ることで、その間の産業構造の変化がわかります。2005年表では「郵便・信書便」「インターネット附随サービス」「真空装置・真空機器」「社会福祉(産業)」が新設されました。2011年表ではそれまで「小売」に含まれていた「持ち帰り・配達飲食サービス」が「飲食サービス」に統合され、国内生産額1兆円超となった「警備業」が「その他の対事業所サービス」から分割特掲されました。また、「郵便・信書便」を統合大分類「情報通信」から同「運輸」に移し、統合大分類の名称を「運輸・郵便」に変更しています。
印刷産業に関係する産業分類の大きな変更点は、2005年表において、中分類「出版・印刷・同関連産業」が「印刷・同関連業」に変更されて、新聞業と出版業は製造業の分野から情報通信業に移行したことです。出版物の印刷業務は「製造業」、発行・出版業務は「情報通信業」に位置づけられたわけで、これも産業の実態に即した変更といえます。

2016年度公表の延長表と接続表

経済産業省は、政府全体で作成する産業連関表(基本表)の作成にも携わっていますが、それとは別に5年間隔の隙間を埋めるために、毎年この基本表から各年の産業連関表を延長推計した延長産業連関表を作成しています。2016年4月には「平成25・24年延長産業連関表(2011年基準)」が公表されました。
産業連関表の基本的な枠組みはどの年次でも同じですが、上記のような産業分類の変更などがあることから、時系列分析を容易に行えるよう、最新年次を基準とした接続産業連関表が10府省庁の共同で作成されています。2016年5月には10回目となる「平成12-17-23年接続産業連関表」が公表されました。

印刷白書では2010年版から産業連関表による印刷需要の分析を行っています。2010年時点では2000年基本表を延長した2008年簡易延長表が最新のもので、印刷産業は「出版・印刷」部門に統合分類されていました。そこで、基本分類表の国内生産額の比率を基に分割して「印刷・製版・製本」単独の数値を算出・作成しました。
印刷白書2011年版からは、2005年基本表とその延長表による分析が可能になり、「印刷・製版・製本」単独の数字が把握できるようになりました。毎年1年ずつ追加されたデータを基に推移を見て、2014年版では2005年基本表と、その延長版の2008~2012年を比較しています。そして、2015年版では公表されたばかりの2011年基本表と2005年基本表との比較を行いました。
『印刷白書2016』では、2016年公表の「平成25・24年延長産業連関表(2011年基準)」と「平成12-17-23年接続産業連関表」を利用して、2011年と2012年、2013年の変化を見るとともに、2000年、2005年からの変化も見ています。
毎年少しでもわかりやすく、役立つようにと努めていますが、今年度発表の資料が多く揃ったことから、より充実した分析となっています。数字をきちんと把握することで印刷需要や産業全体との関わりをわかりやすく提示できればと考えています。

印刷白書2016』は10月7日開催の「JAGAT大会2016」でお披露目となります。現在の形になって7回目の刊行で、どこまで新機軸を出せるのか、ご期待ください。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

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