会社組織に学習する風土を醸成するには

掲載日:2016年11月11日

人材育成の効果を高めるには、組織全体に学習する風土を根付かせることが不可欠である。その風土づくりに自己啓発制度の導入が有効である。

教育は受ける従業員の姿勢が重要

同じ教育機会を与えても、企業によって得られる効果に大きな差が出る。その差とは何だろうか。それは従業員の教育を受け入れる姿勢の差が大きく影響する。

勉強の習慣がない従業員は、根本的に勉強に対して肯定的ではない。上司からセミナー出席を促されても、何の目的で出席するのかわからず嫌々出席する。また普段勉強をしていないためセミナーの内容についていけず、さらに勉強が嫌いになるなど悪循環へ陥るケースは少なくない。逆に、勉強の習慣がある従業員は知識欲が旺盛で、セミナーへ前向きな姿勢で参加する。故に持ち帰る情報やスキルも多くなるため教育効果が大きくなるのは至極当然だ。
つまり、人材育成は非常に重要だが、その効果を最大限に高めるには従業員が自ら学ぶ姿勢や風土を醸成することから始める必要がある。そのためには、自己啓発制度の導入が有効である。

自己啓発制度導入に必要な「情報提供」と「費用負担」

自己啓発とは言葉の通り、仕事に関する知識、技能、経験などを向上するために“自主的”に学習することであり、読書、通信教育の受講や資格の取得が代表的だ。自己啓発の利点は、他人に強制されて勉強するのではなく、自主的に行うことで目的意識が強く働くため学習効果は高まる。
全ての従業員が自発的に自己啓発に励むのであれば企業としてベストであるが、現実はそうはいかない。そのため、企業は従業員の自発性に期待して待つだけではなく、側面サポートを行う必要がある。

側面サポートに必要な要素は大きく二つあり、それは情報提供と費用負担である。情報提供とは、従業員の実務に直結した教育コンテンツ情報の提供である。仕事に即活かせる学習は、企業にとっての直接的なメリットが大きいのは勿論だが、従業員にとっても、自身の仕事と結びつけながら学べるため、キャリアやモチベーションの早期向上につながる。そのため、企業は自社の従業員の自己啓発に向いた教育コンテンツを探し出し、情報提供することがポイントとなる。
次に費用負担が重要になる。企業が「費用面のサポートをする」その心意気を感じられるだけでも、従業員は勉強への一歩を踏み出しやすくなる。ちなみに、私が関わる印刷企業の多くは半額程度を負担している。費用負担を行うことは、企業の従業員に対する姿勢を見せるのに大きな役割を持つ。

■褒めて励ますことでプラスの連鎖をつくる

自己啓発制度の円滑な導入のために何をすべきか。まず、少人数の意識の高い従業員を起点として、時間をかけて意識の低い従業員を刺激し学習する風土を醸成すれば良い。そのためには、金銭以外の従業員の心に響くサポートを考える必要がある。例えば、朝礼や会議の場など複数の従業員が集まる場で、社長や上司から「よく勉強した!期待している!頑張れ!」の言葉を伝えるだけでも十分だ。奨励された従業員だけではなく、周りも「次は私も挑戦してみよう」という気持ちになる。
実際に、印刷会社が自己啓発制度を利用した従業員に対して、皆のまえで褒める機会を増やしただけで、自己啓発制度の利用者数が大きく増えた例もある。ポジティブな言葉にはそれだけ、人の気持ちを前向きにさせる大きな力がある。

立派な野菜を育てるには土が重要である。懇切丁寧に水や太陽光を与えても、土が悪ければ良い野菜は育たない。人材育成も同様で、まずは土台となる学習する風土を醸成することで、教育の効果は大きくなる。

CS部 塚本直樹

自己啓発制度に最適な通信教育