人材育成に不可欠「社会人の基礎力」

掲載日:2017年3月8日

IT化の進展に伴い機械化や自動化、処理の高速化が進み、若年社員に対しても当初から比較的難易度の高い仕事を期待、要求するようになった。

若年社員の育成方法

新たな人材が自社に入社した際、その育成にもたいへんな労力が必要になる。入社式はもちろん、複数の入社であれば集団研修を行なったり、JAGATなど外部研修に派遣することもある。新入社員側も人生最大の環境変化のなか、そのギャップに困惑する時期である。
日本の離職率は、大学卒3割、高校・短大卒4割にのぼる(3年以内、厚生労働省調べ)。企業規模が小さいほど離職率は増加する。業界では中小規模が多いので離職率はより高くなる。
経営者の方に伺うと、定期採用は近年なかなか継続せず中途採用が多い傾向だ。また、採用難はもちろん、入社後の離職の多さにも頭を抱えている。
入社後、企業にとって欠かすことはできない新人研修は、時間とお金を要するが自社教育できる貴重な機会だ。どんな人材でも、最初は新人、素人だということを念頭に、自社に合った戦力化への工夫が必要だ。新人研修の担当や方法を誤ると、新人社員のなかに、自分と会社とのギャップがより大きくなる。
携帯やゲーム機が子供の頃から手元にある世代では、「Face to Faceのコミュニケーションが苦手」と言われる。どのような方法で新人を育てるのか、すべての企業に知恵と工夫が求められる。

まず社会人としての基礎力養成を

社会人の基礎力とは、職場において仕事をしていく上で重要となる基本的な能力を指す(主体性や課題発見力など、経済産業省)。業界、職種によって仕事内容は異なるが、どの仕事でも最低限持つべき能力こそが社会人の基礎力だ。
社会を見渡すと、学力は高いのに仕事の成果が上がっていない人もいる。また、悪い人ではないのに、一緒に仕事をしたくない人もいる。そうした人は、どこか社会人としての基礎力が欠けているのだろうか。一方、学力は高くなくても、周囲と調和を取りながら顕著な活躍をする人も大勢いる。
企業では、さまざまな人と共に日々仕事を行うため、社会人としての基礎力が重要だ。この基礎力は講義や練習さえすればすぐ習得できるものではない。この力はこれまでの人生経験を通して身についてきたものである。基礎力のなかにある各能力を認識した上で日々少しずつ身に付けていくものだ。つまり、できるだけ早く各能力の意味を理解し、それを意識しながら考え行動することも重要だ。
若手社員が会社の戦力として成長していく過程は、主にOJTによって専門知識や技術、スキルを習得していくことが多い。しかし、これらは、基礎力が備わっていないとなかなか身につかない。まずはこの基礎力を意識してから教育をはじめることが近道だ。まして昨今の若年層は人との関わりが希薄であり、組織のなかで成長することは、より難しくなっているからだ。

(西部支社長 大沢 昭博)

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