第47期DTPエキスパート認証試験 出題の意図と解答の傾向

掲載日:2017年5月12日
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2017年2月26日実施第47期試験の出題意図と採点結果を掲載する。

1.結果概要

学科試験と実技試験(課題制作)を併せた最終合格者は92名(合格率42.4%)

2.学科試験

2016年11月に2年に一度の定期改訂により発行したカリキュラム第12版に基づき、改訂時に新たに盛り込まれた項目およびアップデートした内容を含み出題した。
カリキュラム第12版発表
当日試験には217名が取り組み、うち115名が合格となった。(学科合格率53.0%)

3.実技試験

2月26日の学科試験時に配布される『課題制作要項』に基づき4週間で取り組んでいただく実技試験については、

  • 冊子課題(携帯電話マニュアル)
  • ペラ物課題(旅行チラシ)

を出題し、168名が期間内に制作物を提出した。

課題合格者:120名  (提出者ベースで71.4%)  

提出課題詳細

当試験の課題では、『課題制作の手引き』に記載している制作物の想定や制作条件の内容を必ず確かめ理解して取り組む必要がある。ただし、記載内容が実制作で必要なすべての項目を網羅しているものではない。あくまで概要想定や顧客の要望としてあげられる点として必ず満たさなければならない点であり、その要望を踏まえて適切な印刷物に展開し実現する力を制作者が備えているかどうかも重要となる。
それらをどのような点から見ているかが、試験取り組み時に読んでいただく『課題制作の手引き』にも記載している6つの採点項目となる。
実技試験の採点基準
冊子、ペラ物の両課題に共通の印刷適性や制作指示におけるディレクション力に加え、各課題で注意すべき点と提出物の傾向を以下に挙げる。

冊子課題の傾向

-冊子としての基本的体裁の常識
-文字情報に応じた組版
が主に問われる課題となっている。
多メディアへの展開に際し印刷物制作実績という強みを発揮して対応していくには、冊子体裁の原則に関する常識は印刷人として必須となる。
本冊子課題は文字情報が主となる課題だが、各情報ごとのまとまりやメリハリを意識した紙面設計や段落スタイル設定が求められる。
試験としては、示されている制作条件を備えていれば大きく減点はしない方向とはなっているが、実務展開に際しては。
-情報をグループ化してとらえ、行間や段落前後アキ設定を調節する
-情報の入れ子構造を文字スタイルで表現する
などのもうひと工夫が必要と思われる提出物が見受けられた。

ペラ物課題の傾向

冊子課題に比べると、画像の見せ方などのデザイン力が表れやすい課題だが、採点に際しては、2課題での基準が大きくことなることのないよう、デザインセンスはあくまで加点要素として扱うよう調整している。
とはいえ、「アイキャッチ画像を1点配置する」という要件がある場合、画像を指定点数配置していればよいというわけではなく、視線誘導に効果的に働くような画像選択、サイズ設定、トリミングや補正などの工夫は求められる。
要件として画像使用点数はみたしているものの、すべてをほぼ同列に扱っているかのような配置の提出物が何点かあり、減点の要因となった。

課題制作は、レイアウトソフトの取り扱いだけでも初めて取り掛かる方には負荷が大きく、かなりの割合の労力がオペレーションにかけられてしまう傾向はあるかと思うが、印刷物の制作目的である『効果的な情報伝達』を実現するような紙面設計が重要となる。
試験課題は市場に多く流通しているものから選定しているので、初めて制作課題に取り組む場合は身近な印刷物などにも多く触れ、実制作に臨みたい。

2017.4 DTPエキスパート認証委員会
文責:JAGAT資格制度事務局 丹羽 朋子