色がもつ心理効果、役割をデザインに活かす

掲載日:2017年7月11日

色には、人間の感情と結びつき、一瞬で人の心をつかむ力がある。色と色が出会うことによって生まれる視覚効果を利用すれば、販促効果は大きくなる。

■イメージを喚起させる色彩の力

さまざまな食材や飲食店の広告・看板には赤やオレンジなどの暖色系が多く使われている。暖色系は食欲を刺激する色とされ、食欲を減退させる色とされる寒色系や無彩色は使われることは少ない。五感に直接訴えかける「色」の使い方しだいで、人間はある情報に引き寄せられることもあれば、その逆もありえる。

色づかいには、長年にわたって、さまざまな場面で蓄積されてきた共通のイメージがある。社会の慣習や伝統、あるいは個人の経験や記憶などと結びつきながら、人々の共感を呼び起こしやすい色づかいのルールが形づくられてきた。

デザインはクライアントが伝えたい情報を視覚化し、消費者にメッセージを届けるための手段である。色は、「文字」や「情報」とともに、デザインの重要な要素だが、ダイレクトに感情に伝わる分、ひとつ間違えば、逆効果にもなりかねない。同じレイアウトでも色づかいによって印象が大きく変わってしまう。

■色がもつ心理効果、役割をデザインに活かす

クライアントがデザインを通して、誰にどんなイメージや情報を伝えたいのか。 デザインに託されたメッセージをより正確に伝えようとするならば、色が人間にもたらす心理的側面や役割、機能を理解し、用途に応じた使い方をすることが求められる。

さらに複数の色を組み合わせることによって、さまざまな連想がもたらされ、多様なイメージが湧きあがる。色と色が出会うことによって生まれる視覚効果を利用すれば、販促効果はより大きくなる。

たとえば、調和する配色技法においては、同色系で明度を変える、多色配色でトーンを揃えるなどさまざまな方法から異なるイメージが生まれ、逆に強調する配色では、コントラストをつけることでより対象を目立たせることができる。「男性らしさ」「女性らしさ」「清潔感」「信頼感」「季節感」・・絶妙に配された色彩表現から、さまざまな情報を人々は読み取る。

色づかいのルールを熟知することによって、デザインの完成度は高まり、その視覚効果を商品イメージの構築から販促活動にいたるまで、幅広い場面で戦略的に応用することができるようになるだろう。

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講師:大里浩二氏
7月21日(金)開催