DTPエキスパート四半世紀・・・資格制度事務局奮戦記(4)

掲載日:2017年7月18日
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「DTPエキスパートカリキュラム」は初版を公表してから24年が経過し、JAGAT50年の歴史の中で最も長期にわたって発行し続けている出版物と言える。事務局奮戦記の最後は2年ごとのカリキュラム改訂を取り上げ、2回にわたって四半世紀を振り返ってみたい。

 

「DTPエキスパートカリキュラム」の初版は1993年に発表した。以降、技術革新や業界のトレンドに対応すべく2年毎に改訂をし続けており、最新版は2016年11月に発表した第12版である。
過去のカリキュラムの内容構成をたどると、日本におけるDTPの導入期から普及、展開といったフェイズに応じて変化してきたその時代に求められるDTPエキスパートの人物像、役割などが伺えて興味深い。

◆カリキュラム初版~第2版(1993~1998年)
DTPを使いこなすには、DTPというオープンシステムに相応しい、オープンな情報を基にした教育が必要であるという認識のもと、JAGATでは印刷物制作にかかわる立場の異なるさまざまな人々がスムースに共同作業ができるように、1992年から共通の知識体系を作る作業に入り、それを1993年に「DTPエキスパートになるためのカリキュラム」として公開した。
そして、カリキュラム初版を出題範囲として、1994年に第1期試験を実施した。
その時点では、DTPは実用的になったとはいえ未熟であり至らぬ点は多々あったが、取り巻くハード・ソフト、通信などの環境は急速なテンポで進歩しつつあり、1996年に第2版を発行する頃には完全カラーDTPが可能となった。

そのため、第2版では従来の「写植」「製版」という分類はなくして「グラフィックアーツ」としてまとめるという大きな改訂を行った。本文もほぼ全面書き直している。
この間、第1期から10期までの試験を行ったが、初年度326人だった受験者は1998年には3082人と10倍近くに増加した。初期のDTPエキスパート取得者は平均年齢も35歳を超えており、社内にあってはDTPの推進者であると同時に、その頃よく起きたトラブルの解決人という役割を担っていたように思う。

◆カリキュラム第3版~第4版(1998年~2000年)
1998年の第3版ではマルチメディア/Webやオンデマンド印刷への業務拡大範囲の動向を反映させた。
DTPでデジタル化した先の展開を意識して、プリプレスに閉じこもるのではなく、両者のデジタル化をうまくつなげて、共に負担を減らして印刷物を作り、さらに電子媒体を活用するDTPエキスパートの姿を描いたためである。ある意味、クロスメディアエキスパートの先取りであった。
また、その頃大きなうねりとなったWindowsにより、企業内データベースが原稿となることを想定し「Windows」に関する項目も増やしている。

2000年に発行した第4版では「グラフィックアーツ」において、印刷のクオリティを維持できる知識という面を強調した。
かつてのグラフィックアーツの常識を身に着けずに作業に携わる人が増えるにつれ、さまざまな面で紙面の品質低下を招く状況があったためである。
ここはもともと印刷物の設計制作の知識を問う分野であるが、それまでのカリキュラムではあまりにも常識的な事柄、例えば明朝体とはどのようなものであるとか、レイアウト、色名、配色などの基本はカリキュラムでは取り上げていなかった。
しかし、不合格となった課題試験の提出物から、写植・製版を知らずに最初からDTPというレールが敷かれてからこの世界に入った若い人たちが、かつての常識やよい印刷物とはどのようなものかわからずに作業していることが読み取れたからである。
受験者はさらに増え続け1999年は年間3608人、2000年には4291人となった。事務局奮戦記(3)に書いたようにスクールを中心とした業界外からの受験者が増えた時期で、上記のことを裏付けている。

◆カリキュラム第5版(2002年)
この間、DTPを取り巻く環境であるコンピュータや通信の進歩は急テンポとなり、DTPエキスパートにはそれらインフラの変化に対応することも求められうようになった。
つまり、古いDTPモデルである紙面制作に終始する知識だけではなく、インフラも含めた中期的ロードマップをもって現場をリードしていくことがDTPエキスパートの使命になったと考えられる。
一方で、変化を追うことだけが使命ではなく、もともと印刷物を何のために作ろうとしていたのかを探り、よい印刷物とはどういうものかを理解し、それを最も効率よくつくり出す制作環境を計画できる能力がDTPエキスパーとの基本であると考え、カリキュラムは「よいコミュニケーション」「よい印刷物」「よい制作環境」の3つをキーワードとして編成されてきた。
2002年の第5版では、電子メディアの制作パフォーマンスが向上するするのに比して印刷物制作が効率化しないと、印刷需要そのものの低減につながるので、DTPでもパフォーマンス向上のために制作管理能力と、個別知識でも科学的なアプローチができることを主眼に見直しを行った。
以降、カリキュラムの表紙には上記の3つのキーワードに加えて「高いパフォーマンス」が4つ目のキーワードとして掲げられた。
この年、受験者は年間4525人に達しピークを迎えた。(つづく)

(CS部 橋本 和弥)

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