中小の企業イメージとは働く人の行動そのもの

掲載日:2017年11月8日

印刷需要は減少傾向にあり、顧客のコスト意識も厳しくなっている。よって、印刷会社による価格競争も激しさを増す傾向だ。しかし、単に低価格を売り物に受注を増やすことは企業にとっても業界にとってもマイナス面は大きい。最近では、商業施設の「ルミネ」が(セールではなく)定価販売を重視したり、「吉田カバン」は原則値下げをしないポリシーを貫くなど、商品を安易に値下げしない記事を目にするようになった。
われわれも今こそ価格以上、価格以外の価値を提供し、より優位な立場を築く必要がある。顧客にとって多くの選択肢があるなか、「選ばれる存在」になるためには、何らかの価値を生み出し、顧客に価値を伝え、提供し続けなくてはならない。

ブランドのもつ力

ブランド(brand)とは、商品やサービスを他のそれと区別するためのあらゆる概念(らしさ)のことである。結果として顧客自身に商品やサービスに対してでき上がるイメージ等も含まれる。現在、顧客は商品やサービスに対する豊富な(過ぎる?)情報を入手でき、自分に最適なサービスを選択することができる。現にわれわれも、そうした溢れる情報の中から、商品やサービスの取捨選択をしている。したがって、強力なブランドを持つ企業は、常にブランドの価値を意識した活動を行い顧客の心をつかもうとしている。

ブランディングとは、顧客に共通の価値あるイメージを持っていただくための活動の総称であり、そのために企画・計画するものがブランド戦略だ。
ブランドが顧客に提供できる価値を、「誰が」「誰に」「どのように」伝えるかを考え、顧客の志向とブランドのイメージをつなげることがブランディングの基本である。そして、その本質に基づき、戦略的にブランディングを推し進めていくことが重要なのだ。

イメージは高感度・信頼度から

ブランドによる差別化とは、マーケティング基本戦略のひとつであり、自社ブランドの優位性を強調することである。サービスや商品のレベルがほぼ同等のとき、他より優れた特徴を伝えることは難しい。顧客が常に特定のブランドを利用することを、ブランド・ロイヤリティと呼ぶが、実現することは容易ではない。現在のように、ブランドによる差別化がしづらい環境のなかで差別化を実現するには企業イメージがますます重要になっている。印刷業は、つくられる製品で差別化しづらい業種だ。そのような業界における中小の企業イメージとは、高感度や信頼度につながるであろう、働く人、ひとり一人の行動や対応そのものではないだろうか。

今だけ、ここだけ、あなただけ

みんなが満足するサービス提供を目指していると、結果的に満足いただくサービスは成立しづらくなってしまう。お客様を選別、絞り込み、より良いサービスを提供することによって、顧客満足を得られるのだ。それには、お客様を選別する以前に、お客さまに選んでいただけるだけの社員自らもレベルアップが必要だ。そのためには、常に自分自身の能力を高めること、それをお客さまに伝えることが今まで以上に重要である。そして価格に左右されない自社にとっての優良顧客を、いかに増やしていくことが何より大切になる。
一方、「いつでも、どこでも、誰にでも」は、対象が大きく総花的になりやすく、お客さまに提供できる感動は少なくなる。

JAGATにはCS部という部署がある。主にCustomer Satisfaction(service)、すなわちセミナーや通信教育、エキスパート試験などの教育商材を扱いつつ顧客満足を目指す職場である。どの企業においても、顧客満足は重点課題でろうと思われるが、お客さまが期待する以上のサービスを提供することが望ましい。

最後に、本当の意味のブランドの力とは、顧客が商品やサービスを気に入り、同じ企業の商品を繰り返し購入するうちに、次第に「この企業の商品なら大丈夫」、「高くてもこの企業の商品を買いたい」という気持ちになる状態のことだ。われわれもそのような企業に一歩でも近づきたい。

(西部支社長 大沢昭博)

【大阪・西部支社情報】

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