インフォグラフィックス制作の考え方と手法

掲載日:2017年11月30日

2017年9月13日に開催したJAGAT印刷総合研究会「デザインで情報を可視化する〜インフォグラフィックスの動向」から、株式会社チューブグラフィックス代表取締役・木村博之氏による講演の要旨を紹介する。

現在グラフィックデザインの仕事をメインにしながら、企業や学校などさまざまな場所で、講演やワークショップを行っている。 最近特に力を入れているのは教育分野だ。

宮城県石巻市の鮎川小学校では、先生方と意気投合し、空間認知能力、可視化能力を高める教育を実践している。
昨年学期末には、グループワーク形式で、紙を組み立てて、自立するタワーを作る授業を行った。
生徒たちはまず、タワーのアイデアを紙に描いて、ほかのグループに説明する。
プランに沿って実際に作ってみたら、その結果を話し合う。
このように、自分で考えたことを絵で表し、他人に分かりやすく伝えることを「見える化」と呼んでいる。
「見える化」は、算数や国語など学科別の縦割りになっている授業を、横方向に繋いでいく力となる。

こうした実践を中学校などでもやっていきたい。

インフォグラフィックスとは

インフォグラフィックスとは、ことばだけでは伝わりにくいものを分かりやすい形で表現する手法である。例えば匂いや味、理念なども表すことができる。

1枚の図で完結するのが基本で、起承転結でいえば結の部分を表現する。プレゼンテーションの場に例えてみると、資料の表紙に印象的な図を用いて結論をはっきり示せば、クライアントの興味を引き付けることができる。

インフォグラフィックスの制作で重要なことは、膨大な情報の中から価値ある要素を選び出すことだ。更に要素を複数結び付けることで相乗効果が生まれ、より理解を深める表現となる。

インフォグラフィックス実践のポイント

コンセプト+軸+スパイス

コンセプト

クライアントが最も伝えたいこと、伝えたい相手など、いちばん重要な要素である。これを正しく把握しないと道を誤ってしまう。コンセプトを確立するためには、クライアントのサービスを実際に使うエンドユーザーの立場に立って考えることが大切だ。

データを構造化して分析し、伝えるための軸を決める。時間軸、対象軸、自分軸と相手軸などに当てはめて考える。 

スパイス

コンセプトと軸で伝わり方の80%が決まるが、そこにClear(伝えたいことをハッキリ)、Attractive(目と心をひきつける)などの要素を付け加えることで、更に魅力あるグラフィックスとなる。

捨てる

あらゆる要素を盛り込むのではなく、コンセプトと軸に照らして何をいちばん伝えたいのか考え、優先順位の低いものを捨てる勇気を持たなくてはならない。

データビジュアライゼーションとインフォグラフィックスの違い

データビジュアライゼーションとインフォグラフィックス

データビジュアライゼーションはデータにフィルタをかけずに見やすい形に加工する。たとえゼロでも意味があると考え、データの価値判断を使う側に委ねている。
参加型のインタラクティブなコンテンツにおいて有効である。
それに対しインフォグラフィックスでは、伝える目的に沿ってデータの数を絞り、メインの要素を強調するなど編集がなされる。作り手のメッセージを伝える手段として有効である。


インフォグラフィックスを理解するには座学だけでは不十分であり、実際に考え、手を動かすことが必要だ。
普段から場所の移動、時間の移動、視点の移動などを意識し、あらゆる角度から身の回りを観察する習慣を身に付けてほしい。

会員誌「JAGAT info」2017年10月号より抜粋・加筆
図版出展:木村博之氏講演「インフォグラフィックス制作の考え方と手法」配布資料

関連記事

情報を視覚化する仕事