情報デザインで相手にわかりやすく伝える

掲載日:2018年4月5日

20年以上前から言われている「情報デザイン」という言葉を、最近またよく耳にする。この言葉の本質は、あらゆるコミュニケーションの場に通用する重要な考え方だ。

情報デザインの目的とは何か

情報デザインとは、必要な情報が効果的に受け手に届くように、情報をわかりやすく整理する手段のことである。そのためには、情報の「収集」「整理」「考察」「表現」「伝達」がポイントになる。

優れた情報としてまとめて見せるには、それなりの下準備、情報整理、相互関係、要件の抽出などの作業が伴う。それには相互関係を的確に把握し、構造化する能力が求められる。
つまり、相手が理解しやすいように、情報を整理して、変換(翻訳あるいは編集)して表現する。その際に、一番大切なことは相手目線ということである。

視覚的にきれいに見せることが目的ではなく、相手に理解してもらうにはどのようなデザインが最もいいのかを考える。つまり何らかの情報を他人に伝達しようとする際には、必ず情報をデザインして視覚化する行為が必要になる。

そういう意味では、情報デザインはとても重要で、JAGATでも「インフォグラフィックス」をテーマに研究会やワークショップなども開催している。

「究極の5個の帽子掛け」の必要性

認知心理学者のドナルド・ノーマン『誰のためのデザイン?』には、世の中にあるデザインのほとんどが使い勝手が悪いとある。ドアノブの話が事例として挙げられている。「引いて開けるドアを押してしまったり、押して開けるドアを引いてしまったり、横に滑って開くドアに正面から突っ込んでいってしまったりする」。

ほかにもオフィスの電話機、水道の蛇口、ガスコンロなど生活のあらゆる道具の不備を指摘し、使う人に合わせてデザインをすることをユーザー中心のデザインであるとしている。これが本来のユニバーサルデザインになるのであろう。
使い勝手の悪さや、何らかの事故につながるのは、使う人が悪いのではなく、道具のデザインがユーザービリティに欠けていることを指摘している。

情報建築家のリチャード・S・ワーマンによると、動きのない情報や知識は情報ではなく、動的な転換をしてこそ威力を発揮するという。つまり、蓄積したデータそのものは「情報」ではなく、ただのデータである。誰もが理解しやすいかたちで表わすことによって初めて「情報」となる。行動履歴や購買履歴、個人の属性、Webの閲覧履歴など、膨大な他の複数のデータとつながることで、初めて理解可能な「情報」になる。

またワーマンは「情報の組織化(分類化)は5つの基準しかない」とする。これはワーマンが提唱した情報を整理する基準のことで、「究極の5個の帽子掛け」と表現している。

それによると世の中に無数に存在する情報は、
・「場所(Location)」
・「アルファベット(Alphabet)」
・「時間(Time)」
・「カテゴリー(Category)」
・「階層(Hierarchy)」
の5つに分けることができるとして、頭文字を取って「LATCH(ラチ)」と呼んでいる。この5つだけで十分だという。

「究極の5個の帽子掛け」を言い出したのは、インターネットが世の中に広まる前のことだが、これは現在のデジタルマーケティングの世界でも通用する話だと思う。情報整理の方法を考える際には参考にしたい。

ワーマンは、また特にIT業界などで使われている言葉にも批判的である。われわれもつい便利なので使ってしまう「ソリューション」という表現もあいまいさを批判して、「それは情報ではない」と言い切っている。

どうすれば情報が伝わりやすくなるのか。コミュニケーションの基本はお互いを理解することであり、コミュニケーションロスをなくすことである。急がば回れで、じっくり時間をかけて情報をわかりやすく設計していくことが結局は近道になるのであろう。

(JAGAT 研究調査部 上野寿)