「インフォグラフィックスの基礎と活用法(page2018ワークショップ)」レポート

掲載日:2018年4月23日

page2018では、インフォグラフィックスの第一人者である木村博之氏を講師に迎えてワークショップを行い、参加者から好評を得た。セッションの概略をレポートする。

2018年2月8日に開催したpage2018ワークショップ「インフォグラフィックスの基礎と活用法」では、株式会社チューブグラフィックス 代表取締役の木村博之氏を講師に迎え、視覚表現を通じて読者に分かりやすく伝えるための考え方と手法を学んだ。
短時間の座学の後、個人ワーク、グループワークを通じて、参加者が実際に頭と手を動かし意見を共有しながら、一つのプレゼンテーションにまとめていくワークショップが行われた。

座学(コンセプト+軸+スパイス)

インフォグラフィックスとはインフォメーションとグラフィックスを合わせた造語であり、言葉で伝わりにくい事柄を図によって伝える手法である。代表的なインフォグラフィックスに、グラフ、地図、ダイヤグラム、表、チャート、ピクトグラムなどがある。 インフォグラフィックスに必要な要素は「コンセプト」「軸」「スパイス」だ。

「コンセプト」「軸」「スパイス」

ワークショップ(個人ワークとグループワーク)

■課題
身近なベストセラー商品を選び、自分がその開発者と仮定する。まだ世の中に存在しないその商品が実際に製品化し販売までこぎ着けるよう、会社の役員を説得するつもりになってアピールポイントを考え、プレゼンテーションにまとめる。

■個人ワーク…練る
テーマとなる商品を選ぶポイントは、全国的に良く知られ、その販売会社に利益を継続的に与えられていると思われるもの、スーパーやコンビニ、自宅にある1000円以内で買える日用品や食品関連をいろいろ想像すること。
A3用紙にサインペンとカラーペンでコンセプトスケッチを描いていく。

■グループワーク…集約→作成
グループを作り、各自が個人ワークでのコンセプトスケッチをもとに、熱く語る。
見る、聴く、話すの姿勢を大切に、意見やアドバイスを共有しながらグループの一押し案を決定する。
座学で学んだ「コンセプトや軸」「捨てる」「スパイス」を意識し、模造紙を用いてプレゼンテーションの図解を展開。発表のシナリオも同時に用意する。

■グループワーク…プレゼンテーション
模造紙のプレゼンテーションを貼り出し、各グループからプレゼンテーターを選んでアピールする。その後参加者からのアドバイスを受ける。

■振り返り〜総括

page2018ワークショップの様子

(左)個人ワーク。木村氏が各自にアドバイスを加え、コンセプトが明確になっていく
(中)グループワーク。各自がコンセプトスケッチを元にアピールした後、一押し案を検討。ほぼ初対面同士とは思えないほど会話が弾んだ
(右)グループワーク。一押し案のコンセプトを展開。模造紙に直接書き込むだけでなく、分担して別紙でパーツを作って重ねる手法も取られた

参考までにワークショップで使用した文具を紹介する。

page2018ワークショップの文具

●無地の模造紙
最終プレゼンテーションに使用。
●A3の用紙
コピー用紙を使用。個人ワークでアイデアを書き出すため、またグループワークでプレゼンテーションをまとめる際、ビジュアルのパーツ作りに活躍。
●黒のサインペン・カラーマーカー
太字用、細字用と両方あるとよい。
●付箋
75mm角の強粘着タイプ。グループワークで使用。
●養生テープ・マスキングテープ
模造紙を壁に貼るために使用。養生テープの方が粘着力が強いが、短時間であればマスキングテープでもOK。
●ハサミ
プレゼンテーションをまとめる際、ビジュアルのパーツ作りに活躍。

今回は使用しなかったが、場合によってはマグネット、カッター、カッターマット、定規などがあってもよいだろう。

参加者の意識の高さと表現力を実感

本セッションは座学、ワークショップを含めて2時間というハードなスケジュールで行われ、特にワークショップは個人ワークからグループワークの集約まで約1時間しかなかった。その制約のなかでも全参加者が課題の意図を理解し、全力で取り組んでいた。

個人ワークでは全員がコンセプトを打ち出し、グループワークでは、お互いの意見を尊重し合った上で一推し案を決め、プレゼンテーションに展開する際には、役割分担が自然になされて作業がスピーディに進んだ。

プレゼンテーションでは、各グループともコンセプトを熱く語った。ビフォー・アフターを示す対称軸、数値を使った説得力のある表現など、座学での学びを取り入れた工夫も見られた。

何よりも、参加者の誰もが生き生きと作業を進めていたことが印象的で、伝えること、表現することの楽しさが伝わる一時であった。 セッション終了後も、講師への個別相談や参加者同士の名刺交換が活発に行われ、インフォグラフィックスに対する関心の高さがうかがえた。参加者のみなさんが、今回の成果をそれぞれの仕事に役立て、さらに同僚や顧客に広げていただければ幸いである。

情報があふれるなかで、必要な情報を的確に伝えるため、また多様な人々のコミュニケーションを円滑に進めるために、インフォグラフィックスはますます重要になるだろう。

JAGATとしても今後、基礎から応用までさまざまな形のワークショップを企画し、インフォグラフィックスを実践できる人材の育成に努めていく。


[木村博之氏について]
長野オリンピック委員会「長野オリンピック公式ガイドブック」「公式ガイドマップ」「デイリープログラム」など公式出版物の企画デザイン制作をはじめとして豊富な実績を持つ。現在は本業のデザインワークのほか、デザインコンサルティングやワークショップに力を入れ、昨年はJAGATの印刷総合研究会「デザインで情報を可視化する~インフォグラフィックスの動向」の講師も務めた。最近ではDNPと協業してインフォグラフィックスとユニバーサルデザインを融合したデザインメソッド「IGUD」を構築した。

※会員誌「JAGAT info」2018年3月号掲載記事を加筆・修正

(研究調査部 石島 暁子)