【マスター郡司のキーワード解説】「知覚的」よもやま話

掲載日:2023年10月26日

RGB・CMYK混在入稿への 挑戦

JAGATでは出版関連のデジタル印刷化を推進しており、単なるデジタル印刷化では100%のレベルにまで達したのだが、本稿が掲載されている『JAGAT info』はデジタル印刷化してから1年以上が経過して、次のレベルにアップしようと「RGB・CMYK混在入稿」のワークフローに挑戦し始めた。「混在入稿?」と疑問に思われるかもしれないが、世の中のメディアがスマートフォン中心になってくると、「ウェブ用のイラストやグラフをそのまま印刷に持ってくる」というケースも多くなってくることが予想される。その場合に「わざわざCMYKで再指定し直すか?」ということなのだ。

印刷会社は「色に関しては自社が責任を持ちます」と言うだろう。これに関しては紙幅が足りないので、今回は「流用する場合だってある(多い)でしょ?」という前提で話をさせていただく。少なくともJAGATでは、PowerPointで作ったデータはPhotoshopでCMYK変換のうえ入稿している。そのため、C23.7%・M59.4%・Y14.3%といういかにもRGB to CMYK変換しただけの混色もありなのだ。そして、これをCMYK入稿と呼んでいる(現実はRGB入稿ですよね)。この辺の詳細に関しては、page2024のセミナーで最終報告をさせていただこうと準備しているが、途中報告は12月15日の研究会セミナーで行う予定だ。

「黒点補正」あっての相対的

さて、今回こだわりたいのが、レンダリングインテントにおける「知覚的」「相対的」である。私は藝術学部で教えているので学生とはよく話をするのだが、ほとんどの学生は「RGBは得意だけれどもCMYKは苦手だ」と口をそろえる。それに対して面倒でもいちいち説明するのだが、理解する学生は正直25%以下だと思う。そして理解度も低い。RGBというのは加算混合なので、足せば足すほど色が薄くなるだけだ。うまくレタッチできるのはPhotoshopが「明度を保持」したり何したりと、レタッチしやすいようにお節介を焼いてくれるからなのだ。お化粧やお絵かきのようにアイシャドーをプラスしたりとレタッチできるのは、あくまで減算混合の世界である。

例えばカラマネでいわれるレンダリングインテントだが、検索してみると「実験したら相対的の方が良い結果が得られた」という記述が多いのではないだろうか? 最近、私の仲間たちもコメントし始めたので少し雰囲気は変わっているかもしれないが、相対的もアドビの「黒点補正」やその他機能で補正されてまともな結果になっているのであって、そのままではスカスカの結果になってしまうことも多い。「黒点補正」あっての相対的なのである。

10%明るくする

逆に言えば、相対的は「明るく」仕上がるし、知覚的は「暗く」仕上がってしまう(図1)。

図1 色域マッピングによる違い

ほとんどの人は明るい画像の方を好むハズ(スマホ時代はなおさら)なので、相対的が良いということなのだ。学生の場合は99%がそんな理由からだ。逆に、私のような印刷畑の人間にとって一番大事なのは(色の)調子再現保持である。そんなに大きくは掲載できないので分かりにくいかもしれないが、図2を見れば調子は知覚的の方が保持されているのが分かると思う。

図2 相対的は階調再現が弱い

従って、今回のRGB・CMYK混在入稿のワークフロー、特に表紙はトナータイプのデジタル印刷機で印刷しているので、デジタル印刷機の機能である「(10%)明るくする」を使用することにした。知覚的でCMYK変換した画像に対して印刷機側で10%明るくするのだが、問題になるどころか評判はすこぶる良い。もちろんCMYKでの入稿分も明るくなっているのだが、こちらも評判は悪くない。

(専務理事 郡司 秀明)

<注釈>
図1・図2は、2023年8月29日に実施した研究会での庄司氏のプレゼン資料より引用