サブスクリプションで変わる真の価値提供

掲載日:2018年8月8日

今年の夏は、猛暑、大雨、台風上陸など天候に振り回されています。また、7月の西日本豪雨により被害に遭われました皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

サブスクリプションとは

サブスクリプション契約とは、製品やサービスなど一定期間の利用に対して、代金を支払う方式である。たとえば、新聞や定期購読雑誌は、購読期間ごとに契約が結ばれる。このサービスの典型といえば、携帯電話やスポーツクラブといった分野も有名だ。サブスクリプション(subscription)とは、申し込み、予約購読などの意味がある。
印刷業界でも、2013年アドビシステムズ社はそれまで主力製品であったパッケージ(箱入りソフト)販売から、サブスクリプション方式へ販売転換した。当初、ユーザー数は大幅増加したが収益面では苦労があった。しかし2015~2016年には利益水準も回復しサブスクリプション方式への転換成功例といえるだろう。

近年、飲食業界にもサブスクリプション方式のサービス提供が始まっている。たとえば、月額制飲み放題で新しいカフェの形に挑戦するカフェチェーン、ラーメン業界の定額サービス、フレンチワインバーなども出現した。これらのサービスは、価値提供という意味で成功できるか不安もある。
また、いま流行りのシェアリングサービスは、主に利用量に応じて課金する従量制をとっている。逆に言えば、利用しなければ料金を支払う必要がない。これに対し、映画の定額配信「ネットフリックス」、音楽の「アップルミュージック」などは一定期間一定額を課金する、いわゆる定額制である。この制度は登録後、サービスや商品を利用しなくても料金を支払わなければならない。しかし、頻繁に利用するユーザーにとっては、1回当たりの単価が安くなるというメリットがある。

ユーザーが求めるものは課題解決

このサブスクリプション代表モデル「ネットフリックス」や「アップルミュージック」など、○○放題を利用するユーザーは確実に増えている。ということは、CDやDVDを購入する人のほうがむしろ少数派になったということだ。とくに最近の若者は所有への興味は薄れ「所有」から「利用」にシフトしている。
要するに人間は必ずしも「モノ」が欲しいわけではなく、物事や課題を解決することを望んでいる。より良い解決方法があるならそれを選んでいくのだ。

しかし、単に課金形態をサブスクリプション契約のように定額にするだけでは顧客に響かない。顧客に新たな価値をどのように提供するかが重要だ。とくに、サブスクリプション契約は売り切りとは違い、契約後に顧客との関係性が生まれる。顧客側の満足度が低ければ契約を解除する可能性もある。したがって、多くの顧客に受け入れられるサービスを提供するには、AIやビッグデータを駆使する必要もある。前述の動画配信サービス企業では、コンテンツの充実はもちろん、レコメンド機能にも魅力がある。全会員の視聴履歴をデータベースとして、全世界の会員の視聴傾向と照合し興味を持ちそうなサービスを推奨する。

提供する側の企業と顧客の良い関係を築くには、受け身の対応ではなく、顧客にとって良い変化やより便利になることが重要である。それを実現するには、最新技術を駆使することはもちろん、必要があれば対面の対応を含め顧客が求めていることを見極め、その実現方法を提案し、それを継続する必要がある。
「所有」から「利用」への価値観のシフトに伴い、世の中に必要とされないサービスは淘汰される方向にある。あらゆる企業は顧客に対して課題解決の方向や提案を考え、提供し続けられるかが問われる厳しい時代になった。

(西部支社長 大沢昭博)

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