貿易統計で印刷物を見ると、2024年は輸出大幅増・輸入大幅減だが、14年連続の輸入超過となった。輸出入ともに中国が1位で3割を占めている。(数字で読み解く印刷産業2025その4)
輸出入の1位は中国、インドからの輸出が拡大
財務省「貿易統計」によれば、2024年の印刷物の輸出額は413億円(前年比32.2%増)、輸入額は517億円(同28.2%減)と大幅な増減を記録しました。輸出量は1.4%増、輸入量は14.5%減ですが、歴史的な円安が輸出額を押し上げました。
輸出額から輸入額を差し引いた差引額は104億円で、前年の408億円から大幅に縮小したものの、14年連続の輸入超過となりました。
アジアが最大の取引先で、2024年の輸出額は286億40百万円(同37.4%増)、輸入額は338億72百万円(同29.3%減)で、輸出入ともに総額の約7割を占めています。西欧は輸出40億57百万円(同40.4%増)、輸入96億12百万円(同34.0%減)、北米は輸出59億21百万円(同17.7%増)、輸入75億71百万円(同14.3%減)となりました。
輸出先のトップ10は、中国、アメリカ、インド、香港、ベトナム、韓国、台湾、ドイツ、メキシコ、タイです。中国は不動の1位でシェアは32.5%を占め、インドは前年の15位から3位となりました。
輸入先のトップ10は、中国、シンガポール、アメリカ、韓国、ドイツ、フランス、マレーシア、イタリア、ベトナム、台湾です。10年連続1位のシンガポールを抜いて、中国が2年連続の1位となり、輸入総額の33.3%を占めています。
下図は2004~2024年の印刷物の輸出入額とその差引額の推移です。2004年の時点ではほとんど同額でしたが、2005~2010年の6年間は輸出超過となり、2011年以降の14年間は逆に輸入超過となっています。

『印刷白書』では、印刷物の輸出入相手国上位10カ国の推移表や、アジア・西欧・北米などの地域別の構成比の推移なども、わかりやすいグラフで紹介しています。
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(JAGAT 研究・教育部 吉村マチ子)