請負印刷業からの脱却!

掲載日:2025年7月15日

DXで先行した印刷は、すでに過去のこと

印刷業界は長年、受注産業として機能してきた。

それは、顧客から求められた印刷物を大量かつ高品質に生産することが企業価値の源泉であり、安定したビジネスモデルとして確立してきたからだ。

歴史を振り返れば、作業者が活字を一字ずつ拾って組版していた時代から、アナログ製版による効率化を経て、CTP(Computer to Plate)の導入によって完全デジタル化が実現され、現在は無版のデジタル印刷へと進化させている。

これはまさに、印刷業界がDX(デジタルトランスフォーメーション)を先取りした成功例と言える。

技術革新による恩恵を享受しつつ、印刷会社は日本の産業基盤の一翼を担ってきて、「印刷できる」ことだけで受注産業として成り立っていたわけだ。

時代の変化に合わせた的確な対応

しかしながら、時代の流れとともに情報メディアの主役は紙メディアから電子メディアへと移り変わり、紙メディアは「無駄の象徴」「環境負荷の原因」として、縮小すべき対象にされるようになってしまった。

日本製紙連合会の近年の内需データからも、印刷・情報用紙の需要減少は明らかとなっており、「紙への印刷物の製造請負」に限定した狭義の“印刷ビジネス”の縮小傾向は避けられない。

そうした風向きの変化に対応すべく、多くの印刷会社は従来の「印刷を請けて納品するだけ」の枠を超え、印刷工程の前段階の企画やコンテンツを生み出す取り組みまで拡大したり、印刷技術をベースにした新たなサービスやソリューションの提供へと舵を切り始めている。

事業内容を拡大させていった結果、もはや印刷だけやっている会社ではない実態を反映して「印刷」という言葉を社名から外し、より広い価値創出を目指す企業も増えている。

これは、単なるブランディングの変更にとどまらず、印刷業界が自身の役割と可能性を再定義し、社会との新しい関係性を築こうとしている証しとも言える。

印刷ビジネスの変革にデジタルツール活用は必須

やみくもに印刷ビジネスを拡大させようと、これまでの延長線のアプローチではたかが知れている。

最近のIOT、ロボティクス、そしてAIなどのデジタルツールの技術革新は目覚ましく、これらを活用してデジタルオートメーションでスマートに運用して、印刷をコアにしたビジネス革新を、印刷技術でCTP・デジタル印刷とDXさせた次に起こす革新として、成し遂げるタイミングである。

そして、日本の印刷業界が、グローバルに見ても、先端のことをやっているという状況を作り出してこそ、日本の繁栄も続くものであろう。

 

7/29開催の「拡大!!印刷ビジネス」では、印刷ビジネスを拡大させてる事例と、印刷業界におけるAI活用の実際と可能性についても紹介していただく。