10月3日に刊行される「JAGAT印刷マネジメントブック2025」から、今後の投資意向について回答企業の声を中心に抜粋報告する。
「JAGAT印刷マネジメントブック2025」は、JAGAT会員の印刷会社向けに毎年実施している経営力調査の報告書である。
本調査は、中小印刷会社の経営実態と方向性について、財務、人員構成、経営戦略、保有設備、需要見込という広範囲の設問から探るものである。また、フリーコメントで経営者の生の声が多く寄せられるという特徴がある。本書の内容から投資意向について紹介する。
図1は今期(2025年4月から2026年3月)の設備投資予定である。「前期より大幅に増やす」は前回調査の12.4%から14.0%と、1.6pt増となった。「前期よりやや増やす」も20.0%から26.9%に増加した。両者を合わせると、回答企業の40.9%が前期よりも投資を増やすとしている(前回は32.4%)。前回の調査では3年連続の増加傾向からマイナスに転じたものの、今回は再び増加した。

一方で回答のコメントからはオフセット印刷への投資に消極的な声が上がっている。「オフセット印刷の仕事が急速に減少している。オフセット印刷機は廃棄し、外注で対応して社内はデジタル印刷がメインになっていく。製造工程を省力化したうえで、別の業界への進出を図りたい。」「設備の劣化が著しく保守費用がかさんでいるが、オフセット機への投資は『ハイリスク・ローリターン』とみている。補助金を活用してデジタル印刷機を導入したいと考えているが、賃金アップが条件となっており思案中」。設備投資を行うにしても、補助金活用が前提という考え方が多い。
事業の多角化を目指すも課題は多い
印刷にとらわれない事業の多角化という方向性は明確であるものの、回答者のコメントからは具体的に何をすべきか迷いが見られた。「設備投資を検討しているが、決定的な方向が見いだせず、次の一手がなかなか明確にならない。今後の会社の在り方、企業ドメインを熟慮していきたい」「印刷事業の見通しは厳しく、新規事業の立ち上げは必須であるが、それは同業他社も同じである。他社と同じ内容の取り組みでは結局、仕事の奪い合いにしかならない。ブルーオーシャンを求めて事業を模索している」。
さらに詳細は、「JAGAT印刷マネジメントブック2025」を参照ください。
(研究・教育部 花房 賢)