経営危機を乗り越えた社長の経営戦略とは

掲載日:2018年11月19日

長く続く企業の歴史では、その成長過程で大波・小波に見舞われることは、それほど珍しいことではない。しかし、中には大波にのみこまれてしまって衰退する企業もあるが、一方でいくつもの危機を乗り越えて成長を続ける企業も少なくない。そういった企業は消えていく企業とはどこか違うのか。

JAGATの夏フェス2018の特別講演で登壇したオーダースーツSADA 代表取締役社長 佐田展隆氏の「創業95年オーダースーツメーカー4代目社長による企業再生戦略」はいろいろと示唆に富んだ講演となった。

同社は、経営破たんに近い状態になり、一度は創業家である佐田家は経営から手を引くことになる。しかし、創業家4代目になる佐田展隆氏が復帰して会社は劇的に復活し、成長路線に乗る。
同社が復活した幾つかの要因を見ると、一つは変化を厭わずに、新しいことに挑戦してきたことである。

歴代の経営者は服飾という軸を中心に扱う商材や業態を変化させている。創業家4代目になる佐田展隆氏が打ち出したのが工場直販によるオーダースーツの製造販売である。その仕組みはオーダースーツ業界ではありそうでなかったもので、既存のビジネスのやり方を組み合わせることによって、イノベーションを起こしたとも言えるようなビジネスモデルになったといえよう。

また、ス―ツ業界の課題が何かを明確にして、それを受けていかにして課題を解決するかという視点で同社のミッションが策定されていることだ。

さらに、成長するために克服するべき同社の3つの課題を設定して、それに対して挑戦している。

しかし、いくら課題抽出が的確で、ミッションが明確で、斬新なビジネスモデルであったとして、それを実現する戦略、経営者のリーダーシップが必要である。講演では佐田氏自らが挑む動画を活用したプロモーションを含め、さまざま販促手法が披露された。『JAGAT info』11月号では、その講演内容を紹介している。逆境から会社を復活させた経営者の姿勢からは学ぶことが多い。

このほか、11月号では高級果物ギフト「水菓子肥後庵」代表の黒坂岳央氏の講演「斜陽産業とデジタルが交わる時、大きなビジネスチャスが生まれる」で、コストをかけずに行うネットマーケティングの手法や情報発信手法を紹介している。

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