モチベーション ≒ 生産性(成果)

掲載日:2019年6月12日

近年いろいろな場面でモチベーション(motivation)という言葉を耳にする。人間が行動を起こし持続させるためには、心を動かすための何らかの理由が必要だ。モチベーションとは、「何かをするときの動機づけや目的意識(ヤル気)」を意味する。人が目標に向かって行動を起こすエネルギー(意欲、やる気)源であり、ビジネスやスポーツの行動シーンで使われることが多い。

ヤル気ある社員の生産性は高い

人間はやりたくないこと、面倒な仕事は辛いと感じ集中や注意力が途切れる。すると態度にも現れ、たとえばそのようなスタッフの飲食店は、活気のない暗い雰囲気になりがちだ。利用者は「人材教育のされていない店」という印象を受け、いくら料理がおいしくても顧客満足は上がらず売上にも影響する。
組織において社員がモチベーション高く仕事をこなすという目標は重要なことである。なぜなら、モチベーションが高まることで生産性やサービスの質が向上し、離職率低下、結果的に業績向上につながるからだ。ちなみに、仕事においてモチベーションが高い状態とは、自発的に業務を改善するなど業績を上げるために情熱を注いでいる状況のことである。

たとえば「ヤル気に溢れる」社員の生産性は、そうでない社員に比べ2~3倍以上の生産性になる、と報告されている(ベイン・アンド・カンパニー社、プレシデント社共同調査)。一方、「仕事に対してヤル気が出ない会社である」と回答する社員は残念ながら63%もあり、過半数を超える(ダイヤモンド・オンライン調査)。もっとも、モチベーションは、個人のなかに生じるもので、経営者や上司が上げろと言って、容易に上がるものではない。

モチベーションは心理的理由であり以下、動因(内発的動機づけ)、誘因(外発的動機づけ、インセンティブ)の2種類に大別される。
動因(内発的)とは、仕事に対する興味や関心から生まれるやりがいや達成感など、自身からなる動機づけである。仕事をすること自体が目的なので、高い集中力が発揮され、質の良い行動を続けることができる。自己成長や自己実現に対する動機づけが該当する。社員個人の意識を変える必要があるため方法などが明確ではなく、即効性が出にくい。
もう一つ、誘因(外発的)とは昇給や昇格など人事評価から生まれるやりがいや達成感など、外部からの働きかけにもとづく動機づけだ。「お金のために働く」「評価されたいから頑張る」などが該当する。これらを報酬として得るために行動するので目的が明確だ。しかし、他人から評価されたいなどの報酬は、他者判断に左右されるためストレスを感じやすい。一方、動因と異なり仕事に対し強い関心がない場合でも効果を発揮でき、実践方法がわかりやすい。
まとめると、動因は「行動そのものが目的」、誘因は「目的のために行動する」といえる。

モチベーション・マネジメント

モチベーション・マネジメントとは、社員が高いモチベーションを持って仕事に取り組むよう、企業が行う管理のことである。組織において理想は、社員一人ひとりが動因を高い位置で維持する状態だ。しかし、人間はたいへん敏感な生き物である。ひょんなことからモチベーションが上がることもあれば下がることもある。モチベーションを上げるだけではなく、維持し結果を出すためのモチベーション管理が、組織の重要な役割である。

また現実的にビジネス上では、動因だけで回していくことは不可能だ。よって、モチベーションをマネジメントするには、社員の動因を維持し、それを生み出すきっかけとして、誘因を利用することがポイントになる。
最後にネガティブ言動(悪影響)を打ち消すには、その3倍のポジティブな言動が必要とされる(ロサダの感情比)。組織に不機嫌な社員が1人いると、その3倍である3人のポジティブ社員が必要になる。また、モチベーションの高さを残業量と考えてしまうと、疲労を溜め込み組織全体のパフォーマンスが低下してしまうので注意が必要だ。

(西部支社長 大沢昭博)

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