「デジタル×紙×マーケティングfor Business」を深掘りしたJAGAT大会2019

掲載日:2019年12月16日

JAGATは2019年10月23日(水)、ホテル椿山荘東京でJAGAT 大会2019を開催した。大会テーマは「デジタル×紙×マーケティングfor Business」で、来る2月に開催されるpage2020と同じである。JAGATは、この数年マーケティングの重要性を訴えてきたが、それを具体的な果実に結び付けるのが、「デジタル×紙×マーケティング」の実践であり、印刷物に新たな価値を生み出すことにつながるという思いが込められている。

JAGAT 大会2019では、「実践!デジタル×紙×マーケティング+AI 」をテーマにアウトブレイン ジャパン株式会社 顧問/アビームコンサルティング株式会社 顧問の本間充氏と、SENSY株式会社代表取締役CEO渡辺 祐樹氏、JAGAT専務理事郡司秀明の3人でディスカッションを行った。

議論に入る前に、本間氏と渡辺氏がそれぞれにマーケティングの変化とAIについてプレゼンを行った。

本間氏は1980年代にニューヨークのマンハッタン島が馬車の増加によって馬の排泄物で島が埋め尽くされるという予測があったが、実際にはそれが避けられた。馬車が2頭立て、6頭立てになって輸送量が増える馬車技術の変化、さらにT型フォードも登場してマンハッタンの破綻を回避した。

われわれは売り上げはずっと伸びるというように、物事の延長線上で未来を描いてしまうが、人類の歴史には必ず不連続点が発生し、そのときに新しい景色が見えて、これがビジネスの分岐点になるかもしれない。つまり、印刷でいえば、大量生産を前提にしたオフセット印刷からデジタル機、バリアブル印刷の登場が新しい景色なのではないかと指摘した。

さらにマーケティングの変化に言及し、第二次産業革命によって登場したマス向けのマーケティングから、デジタル活用によってOne to Oneのマーケティングにシフトしていくので、そこに印刷も対応していけばビジネスは広がることを訴えた。

渡辺氏はAIの概要を解説した後、自社でAIを活用してどのような取り組みをしているのかについてマーケティングにかかわる事例から紹介した。渡辺氏の会社では感性工学の分野でAIを活用、例えばさまざまデータからAIで消費行動を分析して、折込チラシの最適化やDM、カタログの配布選択、クーポンの最適化を行っている。

ある紳士服チェーン店では、毎月100万枚のDMをAIで運用している。従来は男・女、年齢層などいくつかのセグメントで3~5パターンだったものを、現在は一人一人の顧客に、好みそうなタイプ5~6点の商品を変えて送っており、1年の実証実験で従来のDMの2.2倍の効果を上げているなどの事例が紹介された。

2人のプレゼンの後はJAGATの郡司を入れて、マーケティングにどのようにAIを活用できるか、それをいかに印刷ビジネスに結び付けるのか、さらにマーケティングに関わるどのようなところでAIが活用できる可能性があるのか、そのために印刷会社がやるべきこと何かといった白熱の議論が展開された。その議論も模様は、JAGAT info12月号で紹介しているので、ぜひご一読指定ください。

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