2018年の印刷産業出荷額(全事業所)は4兆9829億円(確報値)

掲載日:2020年8月25日

「2019年工業統計表」の確報版が公表された。全事業所(3人以下の事業所を含む)の印刷産業出荷額は、36年ぶりに5兆円割れとなった。(数字で読み解く印刷産業2020その8)

3人以下の事業所が半数以上を占める

2019年6月1日現在で実施された「2019年工業統計表」は、速報版が2020年2月28日、概要版が5月29日に公表になり、このコーナーでも2回取り上げました。
8月に入り、確報版になる産業別統計表が7日に公表され、品目別統計表と地域別統計表が本日公表されます。

JAGAT刊『印刷白書』では、確報版でなければわからない、推計による従業者3人以下の事業所に関する統計表も使って、全事業所の数値で印刷産業の変化を見ています。

2018年の全事業所の印刷産業出荷額は4兆9829億円(前年比4.9%減)、2019年6月1日現在の事業所数は2万1247事業所(同4.3%減)、従業者数は27万6505人(同2.1%減)となりました。
3人以下の事業所の出荷額は1548億円、従業者数は2万2840人と非常に小さい数字ですが、事業所数は1万1359事業所と半数以上を占めています。

1982年以来の5兆円割れでも高い生産性を維持

印刷産業出荷額は2012年から微減で推移してきましたが、今回は減少幅が大きく、1982年(4兆7441億円)以来36年ぶりに5兆円割れとなりました。ただし1人当たり出荷額は1982年の1154万円に対して1802万円、1事業所当たり出荷額114.8百万円に対して234.5百万円を確保しています。

出荷額が8.9兆円でピークだった1991年と比較してみても、1人当たり出荷額はピーク時と変わらない水準を確保し、1事業所当たり出荷額は上昇傾向にあります。事業所数の減少や省人化設備が寄与していることは確かですが、高い生産性を維持していることに印刷産業全体の健全性が表れています。

『印刷白書2020』は10月下旬発行を予定しています。限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。ご意見、ご要望などもぜひお寄せください。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)