コロナ禍でも堅調な印刷会社に共通する戦略-インバウンドマーケティングの手法と有効性-

掲載日:2021年2月6日

コロナ禍によって対面営業が難しくなった。多くの印刷会社が困難な状況にあるにも関わらず、状況の悪くない印刷会社がある。

 

「コロナ禍で変わる印刷営業」

本稿で紹介するのは、page2021に登壇する企業の事例であり、共通するのはデジタルや工場を使い、引き付けるタイプの営業、つまりインバウンドマーケティングに取り組んでいる点である。

ウェブサイト

ある印刷会社は、コロナ禍以降に自社ウェブサイト(WS)のアクセス数が急増、積極的な新規開拓をしていないのに受注が堅調だ。実はコロナ前からWSの制作・運用を見直していた。その過程で、自社のサービスを棚卸して、WS上にすべて展開、そしてアクセスを分析、弱みを削ぎ落していく作業を進めていたのが功を奏したのである。分析からは、自分たちでも気づかなかった強みが明らかになった。そして全国の潜在的な顧客からの電話やメールでの引き合いが目に見えて増えた。印刷発注者としては、営業に来られても困るが、発注はしたい。

コロナ禍で生まれた、検索してヒットした、信頼できそうな印刷会社にとりあえず問い合わせる、そんな図式が追い風になった。経験者はわかると思うが、WS制作は意外に難しい。上述のように、まず自社サービスの客観的な把握と整理が簡単ではない。業績の堅調なもう1社によると、サービスの棚卸と言っても印刷会社の事業領域は膨大で途方に暮れてしまう。そこでベテラン営業担当者に同行し、営業トークを分析してWSの記載内容との乖離を分析して差を縮めていったという。

工場見学

WSの目的はあくまでも関心喚起に過ぎない。潜在顧客にとって気になる存在になり、問い合せたくなり、話を聞きたくさせるまでが役割だ。次の段階は直接の接点を持つこと。工場見学に招き、WSで見たものを実地に体験させてあげれば不安や疑問は安心に変わる。こうしたデジタルとリアルの連携という意味で、WSと工場見学は印刷会社のマーケティング戦略において連続的に考えるべきものだ。コロナ禍では動画を活用した相当に楽しいオンライン工場見学も生まれた。印刷産業に限らず、工場見学は地域活性化と結びついて相乗効果を高める場合も多い。動画の活用も含め工場のマーケティングにおける役割は相当に広がってきている。

オンライン校正

コロナ禍ではオンライン校正の顧客側での受け入れも進んだ。印刷会社からは活用の巧拙が受注の明暗を分けるとの声も聞かれる。顧客にとって画面上での校正指示は紙より面倒な面もある。しかし感染防止メリットとテレワークとの相性が、面倒さ・煩雑さによるデメリットを上回るケースが増えてきた。ただし画面上での操作習熟には多少の時間と手間を要するし、操作者の方のスキル差もある。したがって普及ではここをいかに手厚くサポートするかである。

これからのマーケティング

本稿で取り上げたウェブサイト・工場見学・オンライン校正は、現代印刷会社におけるインバウンドマーケティングの重要な構成要素といえる。これらオフラインとオンラインをどのように組合せて顧客獲得から顧客維持までの導線を作るか。下記のpage2021オンラインカンファレンスを通して、実際の事例発表と今後の展開を議論する。          (研究調査部 藤井建人)

2 /17(水) 14:00~15:30
〔C5〕Webと地域活性化で顧客を創る
   ~実践! インバウンドマーケティング~

2 /19(金) 14:00~15:30
〔C6〕営業と生産の溝をどう埋める?
   ~ものづくりコミュニケーションの改善手法~

2 /24(水) 14:00~15:30
〔C8〕デジタル時代のローカルマーケティング
   ~withコロナ時代のクロスメディア~

2月はまるまるpage月間!!
2/8~2/28 <オンライン展示会>
2/8~2/26 <オンラインカンファレンス>