品質管理と現場改善への取り組み

掲載日:2015年5月18日

印刷会社は、日々多くの異なる仕様の印刷物などを製造し、その製造工程も多岐にわたり多くの人が関わるということもあり、ミスや事故発生のリスクが常につきまとう業種といえる。そのため「品質管理」と「事故防止」は、徹底的に取り組むべき大きな課題である。


例えば近年、食品への異物混入事故がたびたびメディアを賑わすようになった。特にネットメディアが普及したことで、かつてならあまり注目されそうにないレベルの事故でもネット上では瞬く間に知れ渡り、事故を起こした企業は大きなダメージを受けることも増えている。これらの例では一部の商品が不良でも、そのほかの製品も含めて廃棄されるケ―スがあり、一部だけの不良だとしても、結果的に多くの無駄が発生し、大きなコストを支払うことになる。さらに対応の仕方によっては信用も失うことになり大きな損失を被る。

このように発注者や消費者の求める製品に対する要求レベルは高くなり、かつてなら許容されたようなことが、今では許されなくなっている。例えば以前は書籍の奥付に、「落丁・乱丁はお取替えいたします」と当たり前のように記載されていた。不良品が出ることが前提だったわけである。ところが、今では不良品が流出するようなことは許されないのであり、そのためには品質管理を徹底していく必要があるのだ。

page2015では、セミナー「印刷会社の品質管理と現場改善」では、実際の印刷会社の取り組みについて凸版印刷の加藤晴久氏と水上印刷の松崎良樹氏に講演いただいた。JAGAT info5月号の特集では、この講演概要を紹介している。

2社の品質管理と現場改善について紹介しているが、その取り組みから分かるのは、対症療法的な施策では根本的な解決には結びつかないので、求められるのは人材育成まで含めた大きな意味での現場改善の取り組みであり、それが結局は解決への近道となるということである。本誌では実際に2社が具体的にどのような考え方や手法で取り組みをして成果を上げているのかを紹介する。会社の規模に関わらずに実践できる考え方と手法もあるので参考にしていただきたい。

また5月号では、海外レポートとしてPRINT CHINA2015とデジタルメディア、クロスメディアビジネスに移行しつつあるオランダのフォーム印刷会社を紹介する。急成長を遂げた中国経済も「新常態」が言われ、中国の印刷事情にも変化が見られ、PRINT CHINA2015はそれを反映したような展示会になっているとのことである。

このほか経営者インタビューは、エコ―インテックの尾頭豊氏に登場いただき、2000年代に入って以降に異業種からDTPビジネスに参入したにもかかわらず、いかにビジネスを成功させているのかその強み、これからの展開についてお話しいただいた。デジタル印刷最前線では、超大型インクジェット機などインクジェット印刷機を30台以上設置して横断幕や大型ビルボードなどのサイン・屋外広告事業を展開するサインアーテックを紹介する。

(JAGAT info編集担当 小野寺仁志)
5月号の目次はこちら