印刷白書」カテゴリーアーカイブ

2015年産業連関表、国内生産額は初めて1000兆円超え

「平成27年(2015年)産業連関表」が6月27日に公表されました。産業連関表は1年間に行われた全産業の取引を一つの表にまとめたもので、数値をそのまま読み取ることで、その年の産業構造などを把握できます。(数字で読み解く印刷産業2019その5)

印刷産業の国内生産額は約5兆円

産業連関表(全国表)は、1955年を対象にしたもの以降、5年ごとに作成されてきました。ただし、前回の「平成23年(2011年)産業連関表」は、重要な基礎資料となる「経済センサス-活動調査」が2011年を対象に実施されたことを受け、例外として2011年を対象年とし、2015年6月16日に公表されました。今回は、2015年を対象に活動調査が実施されたことから、産業連関表も2015年表が作成されました。

2015年の国内生産額は約1018兆円で、産業連関表の作成開始以降、初めて1000兆円を超えました。前回の2011年に比べて8.3%増で、輸入も22.9%増で、これらを合わせた総供給は9.5%増となりました。一方、総需要の内訳をみると、国内需要が8.7%増、輸出も19.7%増となりました。

同じ項目を印刷産業について見ると、2015年の国内生産額は約4兆9724億円で、2011年に比べて2.8%減、輸入は16.9%増で、これらを合わせた総供給は2.5%減となりました。一方、総需要の内訳をみると、国内需要が2.4%減、輸出も16.0%減となりました。

産業連関表は、最もサイズの小さい統合大分類(37部門)でも、最大9桁の数字のセルが37×37並ぶ大きな表です。そして、印刷産業はそのほんの一部、具体的な数字で言えば、国内生産額の0.5%にすぎません。そのため、統合中分類(107部門)以上のサイズにならないとその数字は把握できません。

JAGAT刊『印刷白書』では産業連関表を使って、印刷産業とその取引先産業の動きを見ています。ただし、統合中分類では印刷産業とほとんど関連のない部門が多いことから、印刷産業は独立した部門とした55部門表を独自に作成しています。

現在『印刷白書2019』(10月23日発刊予定)の執筆準備を進めていますが、限られた誌面で伝えきれないことや、読者からの問い合わせなどに対しては、「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

2017年の印刷産業出荷額(4人以上の事業所)は5兆764億円(確報値)

「平成30年工業統計表」産業別統計表(概要版)が5月31日に公表された。4人以上の印刷産業出荷額は0.6%減となった。(数字で読み解く印刷産業2019その4)

出荷額は0.6%減で前年並みの5.1兆円に

2018年6月1日現在で実施された「平成30年工業統計表」産業別統計表(概要版)が5月31日に公表されました。調査期日が年末から変更されて2回目の調査結果です。

従業者4人以上の事業所に関して、製造業の2017年の製造品出荷額等は319兆1667億円(前年比5.7%増)で速報値より0.7ポイント増、印刷産業は5兆764億円(同0.6%減)で、前年並みとなりました。

2018年6月1日現在の製造業の事業所数は18万8249事業所(前年比1.6%減)、従業者数は769万7321人(同1.7%増)、印刷産業は1万245事業所(同3.2%減)、従業者数は25万8298人(同0.7%減)で、こちらも速報値より改善されました。

上の表でアンダーラインが引かれている調査年は「経済センサス-活動調査」による数値で、4人以上の事業所数は経済センサスの年には増加して、その反動で次の年の工業統計では大幅減となっています。この傾向は製造業全体でも同じような結果で、24産業分類のすべてで減少となりました。

出荷額は2015年の経済センサスでは製造業全体では前年比2.6%増で5産業が減少となっただけですが、2016年の工業統計確報値では同3.5%減となり、17産業が減少となっていて、経済センサスと工業統計とを単純に比較することはできないようです。

工業統計調査の結果は、速報→概要版→確報の順で公表されます。今回の産業別統計表(概要版)は、産業別、都道府県別に主要項目を集計したもので、8月末に公表予定の「産業別統計表」「地域別統計表」の数値が確定値になります。

『印刷白書2018』では印刷メディア産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にして分析しています。また、限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信しています。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

サービス産業を782種に分けた新分類、公的統計で適用へ

総務省は、サービス産業12大分類を782種に分けた「サービス分野の生産物分類」を4月25日に決定し、各種統計調査などに段階的に適用することを予定している。(数字で読み解く印刷産業2019その3)

新たな分類でサービス産業の実態を捉える

証拠に基づく政策立案(EBPM)の構築と、国民経済計算(GDP統計)を軸とした経済統計の改善が現在進められています。総務省は、2018年度末までに、サービス分野について用途の類似性による基準を指向した生産物分類を整備することとされています。
「サービス分野の生産物分類」は、日本標準産業分類(JSIC)のような統計法に基づく統計基準ではありませんが、GDP統計、産業連関表およびこれらの作成に使用する各種統計調査などにおいて段階的に適用される予定です。

生産物分類では、JSICの大分類でサービス産業に当たる「F 電気・ガス・熱供給・水道業」から「R サービス業(他に分類されないもの)」までの13大分類のうち、「I 卸売業、小売業」を除く12大分類の生産物を詳細分類で782、統合分類で394に分類しました。

「G 情報通信業」はJSICの細分類では45に分かれていますが、生産物分類では「移動音声伝送サービス」「テレビ番組の制作サービス」「システム等管理運営サービス」など98種まで細かく分けられました。そのほか「学術研究、専門・技術サービス業」は140種、「金融業、保険業」は79種に分類されました。

新聞業は7種、出版業は11種に分類

「新聞業」「出版業」は、「G 情報通信業」の中分類「41 映像・音声・文字情報制作業」の小分類に当たり、細分類でもそれ以上細かく分かれていませんが、生産物分類では7種と11種に分けられました。
紙媒体とオンライン、購読料収入と広告収入などで分けられたほか、著作権の使用許諾サービス、オリジナルなど、新聞・出版業界の現状を反映したものとなっています。

生産物分類の適用方法として、統計の作成目的に応じて、分類表の一部の分類項目のみを使用したり、詳細分類の下に分類項目を設定したり、分類項目の集約または分割を行うことができます。
なお、「I 卸売業、小売業」や製造業などの生産物分類は、2023年度末までに策定される予定です。

JAGAT刊『印刷白書』では多くの公的統計データを利用して、印刷メディア産業の現状を捉えています。また、限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

2017年の印刷産業出荷額(4人以上の事業所)は5兆202億円(速報値)

「平成30年工業統計速報」が2月28日に公表された。4人以上の印刷産業出荷額は1.7%減となった。(数字で読み解く印刷産業2019その2)

速報値では出荷額は1.7%減

2018年6月1日現在で実施された「平成30年工業統計速報」が2月28日に公表されました。調査期日が年末から6月に変更されて2回目の調査結果で、前回は「平成28年経済センサス-活動調査」との比較でしたが、速報値では出荷額が前年比5.6%減(確報値では4.7%減)と大幅な減少を記録しました。今回は工業統計同士の比較で、大きなブレがないことが期待されます。

従業者4人以上の事業所に関して、製造業の2017年の製造品出荷額等は317兆2473億円(前年比5.0%増)、印刷産業は5兆202億円(同1.7%減)となりました。

2018年6月1日現在の製造業の事業所数は18万7000事業所(前年比2.3%減)、従業者数は763万5444人(同0.8%増)、印刷産業は1万184事業所(同3.8%減)、従業者数は25万5523人(同1.8%減)となりました。

上の表でアンダーラインが引かれている調査年は「経済センサス-活動調査」による数値で、工業統計と単純には比較できないことに留意する必要があります。

印刷産業の出荷額・事業所は東京が1位

産業別構成比の上位3産業を見ると、 製造品出荷額等は輸送用機械器具製造業、食料品製造業、化学工業の順、事業所数は金属製品製造業、食料品製造業、生産用機械器具製造業の順、従業者数は食料品製造業、輸送用機械器具製造業、生産用機械器具製造業の順になっています。

印刷産業は、 製造品出荷額等は18位、事業所数では6位、従業者数は10位となっています。

都道府県別構成比を見ると、製造業全体では、 製造品出荷額等は愛知、神奈川、大阪の順、事業所数は大阪、愛知、埼玉の順になっています。

印刷産業では、 製造品出荷額等は東京、埼玉、大阪、愛知の順 、事業所数は東京、大阪、埼玉、愛知の順で、印刷産業が東京の地場産業であることがよくわかります。

工業統計は、主要な調査項目を集計してとりまとめた産業別統計表(概要版)が2019年5月までに、その後、産業別統計表、品目別統計表、地域別統計表が順次公表される予定です。

『印刷白書2018』では印刷メディア産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にして分析しています。また、限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信しています。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

『印刷白書2018』発刊記念特別セミナー

印刷業界動向、産業連関表、上場企業分析、輸出入、ワークフロー、MAと印刷など『印刷白書2018』からトピックを解説します。「デジタル×紙×マーケティング」で印刷ビジネスがどのように変わるのかを探ります。【『印刷白書2018』発刊記念】 続きを読む

印刷白書2018

印刷白書2018
印刷産業の現在とこれからを知るために必携の白書『印刷白書2018』
第1部「特集 デジタル×紙×マーケティング」
第2部「印刷産業の動向」「印刷トレンド」「関連産業の動向」
第3部「印刷産業の経営課題」
ご注文はこちら発行日:2018年10月25日
ページ数:152ページ
判型:A4判
発行:公益社団法人日本印刷技術協会
定価:9,167円+税
JAGAT会員特別定価:7,685円+税

解説

印刷産業のこれからを知るために必携の白書『印刷白書2018』。
印刷・同関連業界だけでなく広く産業界全体に役立つ年鑑とするために、「印刷白書」は3部構成となっています。
印刷業界で唯一の白書として1993年以来毎年発行してきましたが、2018年版では創刊の1993-1994年版から2018年版までのキーワードと印刷産業の概況・環境変化・課題の推移を一覧表にしました。
印刷関連ならびに情報・メディア産業の経営者、経営企画・戦略、新規事業、営業・マーケティングの方、調査、研究に携わる方、産業・企業支援に携わる方、大学図書館・研究室・公共図書館などの蔵書として、幅広い用途にご利用いただけます。

第1部「特集」では「デジタル×紙×マーケティング」をテーマとしています。
デジタルと紙を組み合わせてコミュニケーションを行うこと、デジタルマーケティングで生きる紙メディアのあり方などの現状分析と課題解決に取り組んでいます。
第2部「印刷・関連産業の動向」、第3部「印刷産業の経営課題」では、社会、技術、産業全体、周辺産業という様々な観点から、ビジョンを描き込み、今後の印刷メディア産業の方向性を探りました。
印刷メディア産業に関連するデータを網羅、UD書体を使った見やすくわかりやすい図版を多数掲載し、他誌には見られない経営比率に関する調査比較などのオリジナルの図版も充実させました。


CONTENTS

第1部
第1章 特集 デジタル×紙×マーケティング
[プロローグ]「デジタル×紙×マーケティング」で新規ビジネスモデルを創出する
[特集1]デジタル化された印刷メディアの再定義
[特集2]デジタルマーケティングにおける紙メディアの特性
[特集3]「情報のデジタル化」と「情報処理の高度化」で進化するマーケティング
[関連資料]情報流通量/DTP・デジタル年表
[コラム]情報デザインで相手にわかりやすく伝える

第2部
第2章 印刷産業の動向
[産業構造]印刷ビジネスの可能性はどこまで広がるか
[産業連関表]ビッグデータで印刷需要を考える
[市場規模]印刷業の強みを生かした需要創造へのロードマップ
[上場企業]経営強化で収益改善を達成した上場印刷企業
[関連資料]産業構造/産業分類・商品分類/規模/産出事業所数(上位品目)/産出事業所数・出荷額/調達先と販売先/産業全体への影響力と感応度/最終需要と生産誘発/印刷物の輸出入額と差引額/印刷製品別輸出入額/印刷物の地域別輸出入額/印刷物の輸出相手国・輸入相手国/経営動向/上場企業/生産金額(製品別)/生産金額(印刷方式別)/売上高前期比・景況DI/設備投資・研究開発/生産能力/紙・プラスチック/印刷インキ/M&A

第3章 印刷トレンド
[デザイン]デザインの力で印刷・加工技術とマーケティングを結びつける
[ワークフロー]社外とつながる開かれたシステムで全体最適化の実現を目指す
[オフセット印刷]多品種小ロット対応から全体最適化に向けた挑戦へ
[デジタル印刷]デジタル印刷の有効性訴求で市場拡大へ
[包装印刷]水性フレキソ印刷とデジタル印刷の活用が進む
[後加工]本格的なスマート化で進展する印刷と後加工の連携
[関連資料]デジタル印刷/フォーム印刷業界

第4章 関連産業の動向
[出版業界]出版流通の多様化と出版ビジネスの多様化
[電子出版]独自のビジネスモデルで成長する電子コミック
[新聞業界]新聞メディアのデジタルトランスフォーメーションの進展
[広告業界]紙とデジタルの協同で広告メディアはさらに深化する
[DM業界]行動喚起力と顧客データベースの進展による新たな動き
[折込広告他]活用シーンの変わる折込広告と地域接点としてのフリーペーパー
[通信販売業界]依然としてネット通販が強く市場は7兆円規模へ成長
[関連資料]出版市場/電子出版市場/コンテンツ市場/新聞市場/広告市場/通販市場

第3部
第5章 印刷産業の経営課題
[地域活性化]人口減少と高齢化を見据えた政策動向と地域活性ビジネスの方向性
[経営管理]「見える化」で数字を共有し意識改革と収益の改善を図る
[クロスメディア]コミュニケーション手段としての動画利用の進展と付加価値
[デジタルマーケティング]個人による情報発信とマイクロインフルエンサーが影響力をもつ時代へ
[デジタルイノベーション]ビジネス、メディア、ソーシャルの3方向に進化するAI・SNS・VR
[人材1]採用案内ツールと体験型インターンシップで企業のブランドを伝える
[人材2]印刷業のビジネスビジョンを実現する「越境人材」
[関連資料]地域活性化/クロスメディア/人材
[コラム]”見えない世界”を克服する学びと気づき/進化を続けるICT活用のビジネスモデル

巻末資料
年表/『印刷白書』年表/主な統計調査の概要/印刷産業&関連団体アドレス/図表インデックス