印刷白書」カテゴリーアーカイブ

印刷技術を核とする34社をリストアップ

現在編集中の『印刷白書2019』の上場企業分析では、社名もしくは特色に「印刷」とある34社を対象としている。売上高構成比を見ると、出版印刷、商業印刷を主力とする企業は少数派となっている。(数字で読み解く印刷産業2019その6)

印刷産業2.6万社のうち上場企業は34社

印刷白書では2011年版から上場印刷企業の分析を行い、事業展開の特色と売上高構成比、個別業績による規模・収益性・生産性・安全性・成長性、連結業績による設備投資総額・研究開発費、キャッシュフローバランスなどを比較してきました。また、「印刷産業の経営比率と損益構成」のデータとして個別業績を利用しています。

2019年版に掲載する上場印刷企業は34社で、そのうち東証1部上場企業は、1949年5月上場の凸版印刷、大日本印刷、図書印刷の3社から2016年3月上場の中本パックスまで14社です。

東証2部上場企業は、1961年10月上場のアサガミから2005年10月上場のウイルコホールディングスまでの8社で、竹田印刷は名証2部にも上場していて、また福島印刷が名証2部に上場しています。

マザーズにはラクスルが2018年5月に上場し、JASDAQスタンダードには、1988年8月上場の光ビジネスフォームから2018年10月上場のプリントネットまでの10社が上場しています。

全産業の上場企業数を見ると、2019年7月29日現在の東証一部上場企業数は2151社で、東証二部やマザーズ、 JASDAQ 銘柄 など、他の上場銘柄なども合わせると3676社となります。全産業の企業数は385万6457企業(「平成28年経済センサス-活動調査」)なので、上場企業の割合は0.095%に過ぎません。一方、印刷産業は2万6065企業(活動調査)に対して、上場企業は34社なので0.13%となります。

印刷通販2社が加わった上場印刷企業リストで分析

印刷白書の上場印刷企業は、2011年版に30社でスタートしましたが、2015年7月のクレステック、2016年3月の中本パックスの上場や、2017年5月の三浦印刷の上場廃止などによって変化しています。

また、2005年創業のプリントネットと2009年創業のラクスルという印刷通販2社が上場印刷企業のリストに加わったことも大きな変化といえます。

印刷白書の関連資料「印刷産業の経営比率と損益構成」では、財務諸表(個別業績)から収益性、生産性、安全性等に関する財務指標を作成しています。今回は、個別業績に印刷事業が含まれない3社(アサガミ、日本創発グループ、ウイルコホールディングス)を除く31社の個別業績を利用する予定です。

『印刷白書2019』は、10月23日開催の「JAGAT大会2019」で発表予定です。

限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。ご意見、ご要望などもぜひお寄せください。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

2015年産業連関表、国内生産額は初めて1000兆円超え

「平成27年(2015年)産業連関表」が6月27日に公表されました。産業連関表は1年間に行われた全産業の取引を一つの表にまとめたもので、数値をそのまま読み取ることで、その年の産業構造などを把握できます。(数字で読み解く印刷産業2019その5)

印刷産業の国内生産額は約5兆円

産業連関表(全国表)は、1955年を対象にしたもの以降、5年ごとに作成されてきました。ただし、前回の「平成23年(2011年)産業連関表」は、重要な基礎資料となる「経済センサス-活動調査」が2011年を対象に実施されたことを受け、例外として2011年を対象年とし、2015年6月16日に公表されました。今回は、2015年を対象に活動調査が実施されたことから、産業連関表も2015年表が作成されました。

2015年の国内生産額は約1018兆円で、産業連関表の作成開始以降、初めて1000兆円を超えました。前回の2011年に比べて8.3%増で、輸入も22.9%増で、これらを合わせた総供給は9.5%増となりました。一方、総需要の内訳をみると、国内需要が8.7%増、輸出も19.7%増となりました。

同じ項目を印刷産業について見ると、2015年の国内生産額は約4兆9724億円で、2011年に比べて2.8%減、輸入は16.9%増で、これらを合わせた総供給は2.5%減となりました。一方、総需要の内訳をみると、国内需要が2.4%減、輸出も16.0%減となりました。

産業連関表は、最もサイズの小さい統合大分類(37部門)でも、最大9桁の数字のセルが37×37並ぶ大きな表です。そして、印刷産業はそのほんの一部、具体的な数字で言えば、国内生産額の0.5%にすぎません。そのため、統合中分類(107部門)以上のサイズにならないとその数字は把握できません。

JAGAT刊『印刷白書』では産業連関表を使って、印刷産業とその取引先産業の動きを見ています。ただし、統合中分類では印刷産業とほとんど関連のない部門が多いことから、印刷産業は独立した部門とした55部門表を独自に作成しています。

現在『印刷白書2019』(10月23日発刊予定)の執筆準備を進めていますが、限られた誌面で伝えきれないことや、読者からの問い合わせなどに対しては、「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

2017年の印刷産業出荷額(4人以上の事業所)は5兆764億円(確報値)

「平成30年工業統計表」産業別統計表(概要版)が5月31日に公表された。4人以上の印刷産業出荷額は0.6%減となった。(数字で読み解く印刷産業2019その4)

出荷額は0.6%減で前年並みの5.1兆円に

2018年6月1日現在で実施された「平成30年工業統計表」産業別統計表(概要版)が5月31日に公表されました。調査期日が年末から変更されて2回目の調査結果です。

従業者4人以上の事業所に関して、製造業の2017年の製造品出荷額等は319兆1667億円(前年比5.7%増)で速報値より0.7ポイント増、印刷産業は5兆764億円(同0.6%減)で、前年並みとなりました。

2018年6月1日現在の製造業の事業所数は18万8249事業所(前年比1.6%減)、従業者数は769万7321人(同1.7%増)、印刷産業は1万245事業所(同3.2%減)、従業者数は25万8298人(同0.7%減)で、こちらも速報値より改善されました。

上の表でアンダーラインが引かれている調査年は「経済センサス-活動調査」による数値で、4人以上の事業所数は経済センサスの年には増加して、その反動で次の年の工業統計では大幅減となっています。この傾向は製造業全体でも同じような結果で、24産業分類のすべてで減少となりました。

出荷額は2015年の経済センサスでは製造業全体では前年比2.6%増で5産業が減少となっただけですが、2016年の工業統計確報値では同3.5%減となり、17産業が減少となっていて、経済センサスと工業統計とを単純に比較することはできないようです。

工業統計調査の結果は、速報→概要版→確報の順で公表されます。今回の産業別統計表(概要版)は、産業別、都道府県別に主要項目を集計したもので、8月末に公表予定の「産業別統計表」「地域別統計表」の数値が確定値になります。

『印刷白書2018』では印刷メディア産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にして分析しています。また、限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信しています。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

サービス産業を782種に分けた新分類、公的統計で適用へ

総務省は、サービス産業12大分類を782種に分けた「サービス分野の生産物分類」を4月25日に決定し、各種統計調査などに段階的に適用することを予定している。(数字で読み解く印刷産業2019その3)

新たな分類でサービス産業の実態を捉える

証拠に基づく政策立案(EBPM)の構築と、国民経済計算(GDP統計)を軸とした経済統計の改善が現在進められています。総務省は、2018年度末までに、サービス分野について用途の類似性による基準を指向した生産物分類を整備することとされています。
「サービス分野の生産物分類」は、日本標準産業分類(JSIC)のような統計法に基づく統計基準ではありませんが、GDP統計、産業連関表およびこれらの作成に使用する各種統計調査などにおいて段階的に適用される予定です。

生産物分類では、JSICの大分類でサービス産業に当たる「F 電気・ガス・熱供給・水道業」から「R サービス業(他に分類されないもの)」までの13大分類のうち、「I 卸売業、小売業」を除く12大分類の生産物を詳細分類で782、統合分類で394に分類しました。

「G 情報通信業」はJSICの細分類では45に分かれていますが、生産物分類では「移動音声伝送サービス」「テレビ番組の制作サービス」「システム等管理運営サービス」など98種まで細かく分けられました。そのほか「学術研究、専門・技術サービス業」は140種、「金融業、保険業」は79種に分類されました。

新聞業は7種、出版業は11種に分類

「新聞業」「出版業」は、「G 情報通信業」の中分類「41 映像・音声・文字情報制作業」の小分類に当たり、細分類でもそれ以上細かく分かれていませんが、生産物分類では7種と11種に分けられました。
紙媒体とオンライン、購読料収入と広告収入などで分けられたほか、著作権の使用許諾サービス、オリジナルなど、新聞・出版業界の現状を反映したものとなっています。

生産物分類の適用方法として、統計の作成目的に応じて、分類表の一部の分類項目のみを使用したり、詳細分類の下に分類項目を設定したり、分類項目の集約または分割を行うことができます。
なお、「I 卸売業、小売業」や製造業などの生産物分類は、2023年度末までに策定される予定です。

JAGAT刊『印刷白書』では多くの公的統計データを利用して、印刷メディア産業の現状を捉えています。また、限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

2017年の印刷産業出荷額(4人以上の事業所)は5兆202億円(速報値)

「平成30年工業統計速報」が2月28日に公表された。4人以上の印刷産業出荷額は1.7%減となった。(数字で読み解く印刷産業2019その2)

速報値では出荷額は1.7%減

2018年6月1日現在で実施された「平成30年工業統計速報」が2月28日に公表されました。調査期日が年末から6月に変更されて2回目の調査結果で、前回は「平成28年経済センサス-活動調査」との比較でしたが、速報値では出荷額が前年比5.6%減(確報値では4.7%減)と大幅な減少を記録しました。今回は工業統計同士の比較で、大きなブレがないことが期待されます。

従業者4人以上の事業所に関して、製造業の2017年の製造品出荷額等は317兆2473億円(前年比5.0%増)、印刷産業は5兆202億円(同1.7%減)となりました。

2018年6月1日現在の製造業の事業所数は18万7000事業所(前年比2.3%減)、従業者数は763万5444人(同0.8%増)、印刷産業は1万184事業所(同3.8%減)、従業者数は25万5523人(同1.8%減)となりました。

上の表でアンダーラインが引かれている調査年は「経済センサス-活動調査」による数値で、工業統計と単純には比較できないことに留意する必要があります。

印刷産業の出荷額・事業所は東京が1位

産業別構成比の上位3産業を見ると、 製造品出荷額等は輸送用機械器具製造業、食料品製造業、化学工業の順、事業所数は金属製品製造業、食料品製造業、生産用機械器具製造業の順、従業者数は食料品製造業、輸送用機械器具製造業、生産用機械器具製造業の順になっています。

印刷産業は、 製造品出荷額等は18位、事業所数では6位、従業者数は10位となっています。

都道府県別構成比を見ると、製造業全体では、 製造品出荷額等は愛知、神奈川、大阪の順、事業所数は大阪、愛知、埼玉の順になっています。

印刷産業では、 製造品出荷額等は東京、埼玉、大阪、愛知の順 、事業所数は東京、大阪、埼玉、愛知の順で、印刷産業が東京の地場産業であることがよくわかります。

工業統計は、主要な調査項目を集計してとりまとめた産業別統計表(概要版)が2019年5月までに、その後、産業別統計表、品目別統計表、地域別統計表が順次公表される予定です。

『印刷白書2018』では印刷メディア産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にして分析しています。また、限られた誌面で伝えきれないことや、今後の大きな変更点は「数字で読み解く印刷産業」で順次発信しています。

(JAGAT CS部 吉村マチ子)

『印刷白書2018』発刊記念特別セミナー

印刷業界動向、産業連関表、上場企業分析、輸出入、ワークフロー、MAと印刷など『印刷白書2018』からトピックを解説します。「デジタル×紙×マーケティング」で印刷ビジネスがどのように変わるのかを探ります。【『印刷白書2018』発刊記念】 続きを読む