産業連関表を取り上げる理由

掲載日:2018年7月6日

印刷産業の生産にどれだけのモノ、サービス、ヒトが投入されているか。印刷産業の生産が国内の他産業へ及ぼす影響はどれくらいか。そのような疑問を解消するカギが「産業連関表」にある。(数字で読み解く印刷産業2018その5)

JAGAT刊『印刷白書』では印刷産業に関連するデータを網羅し、わかりやすい図表にすることで、印刷産業だけでなく、印刷産業とは直接関係のない業界の方々にも役立つものにしたいと考えています。また、印刷産業に関心をもつ研究者や学生などにも利用していただけるように心がけています。

印刷産業に関連するデータとしては、工業統計調査、印刷統計(経済産業省生産動態統計)がよく利用されますが、印刷白書では産業連関表も取り上げています。

産業連関表は1年間に行われた全産業の取引を一つの表にまとめたもので、数値をそのまま読み取ることで、その年の産業構造などを把握できます。ただし、最もサイズの小さい統合大分類(37部門)でも、最大9桁の数字のセルが37×37並ぶ大きな表です。

印刷産業はそのほんの一部、具体的な数字で言えば、国内生産額の0.5%にすぎません。そのため、統合中分類以上のサイズにならないとその数字は把握できません。

出典:JAGAT刊『印刷白書2017』

『印刷白書2017』では「平成26年延長産業連関表(平成23年基準)」を中心に、印刷産業とその取引先産業の動きを見ています。印刷産業は、延長表の大分類(54部門)では「31その他の製造工業製品」に含まれ、中分類(98部門)になると「014印刷・製版・製本」として独立しています。

産業連関表を見れば、「どの産業からどれだけ買ったか」と「どの産業へどれだけ売ったか」を一覧できるはずですが、中分類では細かすぎてわかりにくい部分もあります。そこで、印刷白書では「014印刷・製版・製本」を独立させ、55部門分類に組み替えています。

産業連関表の仕組みを利用して、ある産業に新たな需要が発生した場合にどのような形で生産が波及していくのかを計算するのが、経済波及効果の考え方です。

経済波及効果は逆行列係数×新規需要額で算出されます。55部門表で算出すると、100億円の印刷需要が発生した場合、印刷市場に106億円、国内経済に187億円の経済波及効果をもたらすことがわかります。

現在の「産業連関表(基本表)」は平成23年基準で、2019年度の第1四半期に「平成27年(2015年)産業連関表」が公表されます。平成23年基準の延長表は毎年作成されてきましたが、平成27年は基本表の公表を待てばいいので、今年は作成されません。

印刷産業の数字がわかる55部門表はJAGATが独自に作成したものです。詳細は『印刷白書2017』の産業連関表「経済波及効果で考える印刷需要」を参照してください。

現在『印刷白書2018』(10月25日発刊予定)の執筆準備を進めていますが、限られた誌面で伝えきれないことや、読者からの問い合わせなどに対しては、「数字で読み解く印刷産業」で順次発信していきます。

(JAGAT 吉村マチ子)