協会情報」カテゴリーアーカイブ

オンラインでのコミュニケーションと課題

新型コロナウイルス感染拡大防止の影響でオンラインによるコミュニケーション活動への対応が加速している。例えば、Web会議システムを利用すれば、遠隔での会議や打合せは簡単にできるし、他にも、顧客との面談やプレゼンテーション、講習会などへの対応も可能だ。しかし、コミュニケーションの質となるとツールやシステムを使うだけの話ではない。コンテンツが大切だ。受け手側の欲求は、文字や言葉によるものだけではない。音の響き、声のトーンや映像、顔の表情などの感性に響くところが大きい。

視聴者の関心度合いとメラビアンの法則

1971年にアメリカの心理学者アルバート・メラビアンが提唱したメラビアンの法則では、話し手が聞き手に与える影響は「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」の3つから構成され、それぞれの情報の影響力は下記の割合になっている。「3Vの法則」や「7・38・55ルール」と呼ばれる事もある。

【言語情報】

言葉そのものの意味や、言葉で構成される話の内容

【聴覚情報】

話し手が発する声のトーンや大きさ、また、話し方(口調)や話すテンポなど

【視覚情報】

話し手の表情や目線、そして態度や仕草、また見た目など。

※身体言語(ボディーランゲージ)

•言語情報(Verbal)…7%

•聴覚情報(Vocal)…38%

•視覚情報(Visual)…55%

つまり、言語以外の行動である「非言語的コミュニケーション」による影響が大きいとされる。例えば、面談においては、身振りや手振り、表情、声の出し方や間の取り方などの言語情報以外の対応がより重要だということだ。これは、オンラインでも同様だ。新型コロナウイルス感染拡大防止の中、オフラインでの面談が難しくなり、電話やメールだけでは事足らずで、急速にWeb(動画)会議システムの利用が広がった。聴覚情報に加え視覚情報へのニーズが高いことが伺える。システムやツールを効果的に使うには、非言語的コミュニケーションを意識することが肝心だ。単にツールの機能を覚えるのではなく、感性に訴えるためにどう使いこなすかがポイントになる。

ただし、メラビアンの法則に触れると「話す内容より演出が大事」と誤った解釈をする場合がある。そもそも元となる言語情報がおろそかであれば信頼性が失われ、コンテンツが成り立たない。誤解のないように注意したい。

CS部 古谷芸文

JAGATのセミナー<オンライン化推進中>https://www.jagat.or.jp/cat3

ビジネス×マンガの最新動向 ~コロナ時代に活きる対面不要の広告、採用、教育戦略~

 

新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の影響により、対面でのビジネス活動が見直されている。直に訪ねる営業手法は難しくなり、コンテンツを活用したプル型の営業手法や非接触のフリーマガジン、DMが注目されている。教育分野でも、自宅学習に力を入れる企業が増えた。 続きを読む

オンライン配信イベント開催のお知らせ

JAGATでは7月以降、複数のオンライン配信イベントの開催と、刊行物(JAGATinfo別冊)の発行を行うことになりました。


「『テレワーク特集号』(仮称)」発行特別研究会( 7月30日(木) )


JAGATでは、2020年3月~5月にかけて、新型コロナウイルス感染拡大による印刷業界における様々な影響についての調査を実施した。その結果、「テレワーク時代」における新しい仕事のやり方が見えてきた。今回、反響の大きかった調査結果に加え、新たな提言を加えたレポートを発行する。その発行を記念したオンラインセミナーを7月30日に開催する。


「最新技術トレンドセミナー」 (8月下旬開催予定)

drupa2020の開催が、2021年4月に延期になったが、いかなる状況においても、技術革新の歩みが止まることはなく、そのトレンドをしっかりと押さえておくことは重要である。「幻のdrupa2020」として必見のセミナーです。


JAGAT地域大会オンライン (9月下旬開催予定)

JAGATが、地域会員との交流を目的に2012年から実施してきた「JAGAT地域大会(通称:JUMP)」に代わるオンライン配信のイベントです。あたらしい時代における働き方、地域とのつながり方を考えます。


また先日10月8日、9日開催とお伝えしておりました「秋フェス2020」ですが、 日程が10月15日(木)、16日(金)となりました。(場所は変わらずJAGAT本社)

(CS部 堀雄亮)

印刷業界向け生産性向上支援訓練のご報告

新型コロナウイルス禍の影響もあり、働き方改革が改めて注目されているが、中小企業が改革と同時に事業を継続的に発展させていくためには、自社の労働生産性を高めていくことが必須であり、そのベースとなるのは社員教育である。
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新型コロナ感染拡大を背景にオンラインセミナーに必要な動機づけ

新型コロナウィルスの感染拡大を背景に印刷業界にも多大な影響を与え、ビジネス環境も大きく変化している。例えば、営業活動は、在宅勤務や顧客との直接的な接点が難しい中、Web等を利用した非接触型のコミュニケーション活動への対応に迫られている。社員教育の在り方も同様だ。東京商工会議所2020年4月8日発表した会員企業に対するアンケート調査によれば、「新型コロナウィルス感染症への対応について」は、テレワークを実施している企業は全体で26%。そのうち従業員数300人以上では57.1%と実施率が高い反面、従業員数50人未満では実施率は14.4%と全体平均を大きく下回る結果となっている。緊急に対応すべき課題のひとつだ。政府(国)や自治体では、テレワークを新規で導入する中小企業に対して、助成金制度や補助金制度によるサポートをおこなっている。積極的に活用すべきだ。

主な3つ課題は、

①社内体制の整備(仕事の管理、労務管理・評価など)

②パソコンやスマホ等の機器やネットワーク環境(LAN等)の設備

③セキュリティ上の不安

一方、新入社員を受け入れた印刷会社の研修においては、新しい教育手段へのニーズが高まっている。2020年度JAGAT新入社員研修(セミナー)は、4月開催分はすべて6月開催へシフトし、遠隔での受講システムの運用も試みている。通信教育での受講者が増える一方でセミナーの遠隔受講についての問い合わせもあったからだ。

<オンラインセミナーでも欠かせない動機づけ>

セミナーに求められる重要な要素に気づきや動機づけが上げれる。心理学者エドワード・L・デシのモチベーション理論で「内発的動機づけ」の研究では、動機付けには、内発的動機づけと外発的動機づけがあるという。人材育成においては、内発的な動機付けが重要な鍵を握る。

<内発的動機づけとは>

怒られないためでもない、その活動がしたいからするという動機。例えば、一銭の得にもならない趣味の活動も含まれる。

<外発的動機づけとは>

活動それ自体を楽しむのではなく、何かのために活動する動機。組織のためや上司の顔色をうかがうなど。

内発的動機づけは、ご褒美を得るためのものでもなく、罰を避けるためのものでもない。自主性が重要で、有能感や関係性が大切な要素になる。セミナーの役割は、内発的動機づけのために心を掴むことが肝心だ。知識だけなら書籍や通信教育等だけでも十分だからだ。講師には、受講者に問いかけ、引き出し、腹落ちさせる能力が求められ、 感情にも訴えかけることでセミナーの魅力となる。オンラインセミナーでも欠かせない要素だ。ライブ感を大切に、感情に訴え、動機づけすることで学びの習慣をつくることがセミナー受講の大きな価値になるからだ。

(CS部 古谷芸文)

2020年度 JAGAT新入社員研修

アフターコロナのビジネスの変化に備えよう

新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に伴って発出された政府の緊急事態宣言も全面解除された。緊急事態宣言によって経済活動は大きな打撃を受けたが、宣言が解除されたといはいえ、コロナウイルス感染が終息したわけではなく、通常の経済活動ができるようになるにはまだ時間がかかりそうだ。

感染対策の一つとして、新しい生活様式の定着が求められており、今後の生活で取り入れてほしいものとして、厚生労働省から実践例が公表されている。そのなかで、働き方の新しいスタイルとして、テレワークやローテーション勤務、時差勤務でゆったりと、オフィスはひろびろと、会議はオンライン、名刺交換はオンライン、対面での打ち合わせは換気とマスク、ということが挙げられている。

テレワークについては、働き方改革の取り組みの一つとして取り上げられることはあったが、このコロナ禍でにわかに注目度が上がった。JAGAT info6月号では印刷会社のリモートについて特集している。

印刷会社がテレワークに取り組む場合には、それに向く職種と向かない、そもそもできない職種があることは自明のことだろう。営業がノートパソコンを持ち出すことはできても、印刷オペレーターが印刷機を持ち出すことは不可能だし、リモートでオペレートできたとしても、実際の印刷物の仕上がりをモニターで確認することなど現実的ではない。

従って、印刷会社のリモートワークは営業や企画制作、一部のDTP制作部門が現実的なところだろう。JAGATが行ったアンケート結果でも、そういう傾向が出ている。また、リモートワークに取り組んだ部門でも通常業務がこなせているところと、現実にはあまりうまく機能せずにかたちだけになっているところがある。これは新型コロナ感染が問題になってからの準備では、十分な検討時間や環境整備が難しかったということがあるだろう。

これから求められるのは、一時的な取り組みで終わりにすることなく、本格的にリモートワークや新しい働き方を真剣に検討し、対応していくことだろう。もともと働き方改革が推進され、いかにワークライフバランスを実現していくかという課題があったわけで、これをきっかにして環境を整備していくことが必要だ。

大手企業の一部にはリモートワークへ本格的に取り組み、常態化していこうという動きが出ている。この傾向が広がると印刷業のお客様の働き方が変わるわけで、企画を提案したり、商談したりしようとオフィスを訪問しても、担当者がリモートワークで不在ということも出てくるかもしれない。さらに社会の仕組みも変化するわけで、そうなればマーケティング施策の戦略にも変化が出てくるだろう。

こういった取り組みを行うときに課題になるのが、JAGATが行ったアンケートの回答にも散見されたが、在宅勤務する社員と出社する社員で不公平にならないか、社員間の不平不満への対応ということと、社員間のコミュケーションをどうするかということだ。

後者に関してはうまくリモートワークツールを活用できれば、それほど問題にならないだろう。前者はある意味難しい問題ではあるが、社員評価の方法や旧来の「仕事は共同空間としてのオフィスで行うもの」というある種の仕事観の転換を促していくことしかないだろう。

こういった変化や状況に応じた新たな営業戦略や組織のあり方を構築していく必要があるわけで、それに対応できる人材活用や教育がますます重要になる。コロナ禍で経営的に大変な状況ではあるが、この苦難を乗り切って次の成長につなげていきたい。

JAGATinfo6月号(6月15日発行予定)では全国印刷会社82社から回答を得たリモートワークへの取り組みについてのアンケート結果と考察を特集している。印刷会社に緊急調査した5月号「コロナショックが与える印刷業界への影響と対応」とともに有料となるが会員以外にも特別に頒布するので、ぜひお読みいただきたい。

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※JAGAT info 5月号の緊急一般販売についてはこちら