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生産性向上は、改善活動と働き方改革のセットで効果を生み出す page2020セミナー「印刷工場の生産性向上」

生産性の向上における改善活動と多能工化は、印刷業においても重要な課題解決のテーマとして考えられる。page2020セミナーにおいても生産性向上は柱のひとつになっている。

日本生産性本部が公表した「労働生産性の国際比較」によると、経済協力開発機構(OECD、2018年)のデータに基づく日本の労働生産性は、就業1時間当たり46.8ドル(購買力平価換算4744円)でOECD加盟36カ国中21位だった。政府は「働き方改革」を重要課題として掲げ、生産性向上を目指すが、調査記録が残る1970年以降、先進7カ国(G7)諸国で断トツ最下位の状態が続いている。一方、働き方改革については、「働き方改革関連法」が2019年4月に施行されたが、一般財団法人日本情報経済社会推進協会が2019年に発表した調査結果によれば、現在「働き方改革が経営目標としてあげられている」と回答した企業の割合は、全体の42%で、働き方改革に伴うITシステムについては、300名未満の企業では導入済回答が10%に留まるなど、企業の規模が小さいほど導入に踏み切れない現状が浮き彫りになっている。

働き方改革は、利益と直結する工場改善と一体化で考える。

働き方改革は、「長時間労働の是正」、「同一労働同一賃金」、「柔軟な働き方」の実現が掲げている。これらが進まないのは、業績に対する懸念があるからだ。印刷会社がこれらの課題に取り組むとすれば業績も共に改善されなければ難しい。印刷工場では、生産効率アップによる利益を生み出すことが課題となる。企業が合理的に改善活動に取り組むにあたって課題となるのが「品質管理における標準化」と「多能工化」である。

印刷業における多能工化のメリットとデメリット

<メリット>

  • 作業の標準化が進む→品質の安定化と仕事量が平準化し、業務負荷が均等になる。
  • 幅広い印刷工程をカバーできる→変化に強い組織づくりにつながる
    • 柔軟性が高い組織、業務対応ができるようになる。
  • 各工程の理解者、品質管理が共有できる→チームワークが向上する。相互理解が進む

<デメリット>

  • 人員の育成に時間がかかる→業績にどうつながるのかを検討する必要がある。
  • 人事評価制度の整備が必要→社員のモチベーション管理をどうするか

※組織としての目標設定の仕方などの見直しが必要になることもがある

page2020セミナー「印刷工場の生産性向上実践」では、多能化と改善活動の2つテーマを開催する。

多能工化編では、印刷工場における働き方改革の視点で、改善活動をベースに生産効率を向上させる中で、品質管理における標準化や多能工化が如何に進んだかを2つ事例を通じて紹介する。水上印刷株式会社の事例では、「きれいな工場でしか良い印刷物は作れない」をスローガンに「4S」「機械設備の保全」「品質」「多能化」のー連の活動を通じて改善活動の中での多能工化と働き方改革への取り組みを紹介する。また、大東印刷工業株式会社の事例では、徹底した「見える化」への取り組み、業務管理システムの構築を通じて、徹底したコスト管理で利益を生み出し、複数の工程をカバーした多能工化について紹介する。一概に多能工化といってもそれぞれのビズネス形態や規模によっても様々であることが分かる。改善活動や多能工化、働き方改革に至っては、事例や型はありそうだ。しかし、実践としての在り方は、それぞれの会社の葛藤の中で個性的なものの様だ。page2020セミナーでは、実践することを念頭に参加するとより響くと思われる。

CS部 古谷芸文

関連情報 page2020セミナーhttps://page.jagat.or.jp/sessionList/seminar.html


【S2】印刷工場の生産性向上実践 ①~多能工化編~

 

【S4】印刷工場の生産性向上実践② ~品質管理と改善活動編~

 

【S7】トラブルを未然に防ぐ入稿データのチエックポイント~最新のAdobe CCにおける注意点~

 

 

【S14】印刷学会共催「色評価用LEDガイドライン」とカラマネ・照明の基本 ~LEDガイドラインセミナー~

 

 

印刷工場の改善活動と人材育成を多能工化の視点で考える

多能工化は、改善活動や人材育成をしくみ化することで効果的に

印刷業の多くは受注型で多品種少量の傾向にある中、計画的な製造管理や受注管理が難しく、工程や個人のスキルによるムリ、ムダ、ムラによる生産性の低下が課題になっている。印刷工場における生産効率アップと働き方改革の課題解決策のひとつに多能工化がある。多能工とは、複数の異なる作業や工程に従事する技術や業務を身に付けたワーカーのことである。多能工化は、その多能工が組織の人材を教育・訓練する仕組みのことは周知のことであろう。肝心なことは、改善活動や人材育成をしくみ化する意識を持つことだ。

製造業に留まらない多能工化

多能工化の代表的な事例では、開発したのはトヨタ自動車と言われている。また、製造業にとどまらず、流通業やホテル業界でも取り入れられている。

<事例1>

多能工を生み出したトヨタ自動車では、複数の生産ラインで様々な工業用機械を扱うことに取り組む。作業員の少人数化に成功し、低コストで良質な自動車生産に成功した。

<事例2>

星野リゾートでは、社員は一人でフロント、客室、レストランサービス、調理(補助業務)の4つの業務を一日の中で担当している。業務にムラが無くなり、社員全体のチームワークの向上に繋がっている。

<事例3>

流通業のヤオコーやクイーンズ伊勢丹では、レジ担当、惣菜担当、品出し担当を業務の標準化により多能工化に取り組んで、効率アップと業績アップに繋げている。

多能工化のメリットとデメリット

<メリット>

  • 仕事量を平準化し、従業員への負荷を下げる業務負荷が均等になる。
  • 変化に強い組織づくりにつながる
  • 柔軟性が高い組織、業務対応ができるようになる。
  • チームワークが向上する。相互理解が進む

<デメリット>

  • 人員の育成に時間がかかる

→業績にどうつながるのかを検討する必要がある。

  • 人事評価制度の整備が必要。

→社員のモチベーション管理をどうするか

  • 組織としての目標設定の仕方などの見直しが必要になることもがある

<印刷技能者より印刷技術者育成を>

印刷工場における多能工化に取り組むことは、工場管理のPDCA(管理サークル)に取り組むことにもなる。なぜならば、個人ではなく組織での活動だからだ。組織力を活かすためには、作業の標準化や数値管理を含めた「みえる化」が必要になる。技能も必要だが技術を養う意識が重要だ。技能と技術の区別は曖昧な部分もあるが、同じものではない。技術と技能の違いは、広辞苑によれば「技術」は、科学を応用して自然の事物を改変・加工し、人間生活に役立てる技と記述してあり科学的思考がベースになっている。一方、「技能」は、技芸を行なう腕前で技量となっており勘や経験がベースとなってようだ。

例えば、過去の印刷技能者の育成では、経験や勘が中心で定性的な表現が多かったが、現在の印刷技術者の育成では、見た目は、濃度や色差を数値化するといったことで定量的な表現が必要になる。つまり、多能工化と品質管理・改善活動は、セットで効果が出せるのである。印刷工場の改善活動も多能工化に取り組むことで進むこともありそうだ。page2020セミナーでも印刷工場の改善活動と多能工化をテーマにした講座を開催予定。

CS部 古谷芸文

トラブル対処に知っておくべき印刷材料知識

印刷オペレーターが印刷機や現場の環境からインキ、用紙、湿し水などの材料まで正確な知識を持つことで、トラブル発生における迅速な対応や防止ができる。

 

●コスト削減のためのトラブル対策
生産調整による用紙の値上げや、輸入原材料のコスト上昇によるインキの値上げなど、資材コストの上昇にともない、印刷現場の改善によるコスト削減が重要になる。
印刷トラブル発生による、資材のロスや本来必要のない残業による労務費がかかり製造費用が上昇する。印刷製造コストの構造として用紙等の資材や労務費が大きなウエイトを占めるため、トラブルが発生したら迅速な解決や予防保全ができれば、ムダなコストを削減することができる。
オフセット印刷は印刷機のメンテナンスの不足や、インキ、用紙、湿し水などの材料を適切に使用できないとトラブルが生じやすい。材料を原因としたトラブルも多く、例えば「ピッキング」の原因は紙の表面強度不足・インキのタック値が高い・印圧が高い、「地汚れ」の原因は湿し水の量やインキのph値が不適切・インキの乳化・機械の調整不足、よくある「乾燥不良」の原因は水負けによるインキの過剰乳化や湿し水に印刷用紙の成分が溶出しph変動することなど、その原因は多様にある。

●材料の性質と特長の正確な理解が大切
そこで必要なのは印刷オペレーターが、材料に関する性質や特長などの基本的な知識を正確にもつことだ。そうすれば、トラブルが発生してもインキのタック値やエッチ液の調整、どの助剤をどれだけインキへ添加したらいいかなど多方面に応用ができる。熟練オペレーターの減少と若手オペレーターへ技術が継承できていなくトラブルが増えているともいわれている。印刷機の構造的な仕組みとともに材料について体系的な知識をもって機能を理解し、現場の標準印刷の体制が確立されていれば、トラブルが起きても速やかに対応できるようになる。
さらに、定期的に現場の勉強会を開催してその間に合ったトラブルやクレーム、営業からの要望などを議題にあげて、その原因や対処方法を報告し議論する。そうすれば現場の今の問題点も共有でき、オペレーターにとっては同じトラブルを起こさないよう注意をしながら作業できるという相乗効果も期待できる。

JAGATでは、印刷オペレーターのための技術セミナー「品質向上のための印刷材料知識」を開催する。ここでは印刷品質に影響を及ぼす印刷材料(インキ・用紙・湿し水)に焦点をあて、印刷用紙(種類と印刷適性)、インキの性質、湿し水(望まれる性質と添加剤)の材料知識を再確認して印刷材料に関連するトラブル事例を紹介する。
普段の作業の中で材料に関する疑問をもっている方、材料の知識をもっと深めたい方など、是非ご聴講ください。 
                               (CS部 伊藤禎昭)

品質向上のための印刷材料知識
開催日:2019年11月9日(土)10:00~17:00
場所:JAGATセミナールーム 東京都杉並区和田1-29-11

印刷製品開発、マーケットインとプロダクトアウト

印刷製品は多種多様だ。市場規模の縮小傾向の中、新しい印刷製品やビジネスチャンスをつくり出すことは大きな課題である。現在、JAGATのセミナーでも「印刷製品のアイデア道場」を企画している。印刷加工製品の価値を広げるためのセミナーだ。製品の価値やビジネスチャンスを広げる上では、マーケティングが重要だ。捉え方としては、サービス(商品)としてのマーケティングと経営戦略での自社のマーケティングでの二つの視点を意識する必要がある。。
周知のとおり、サービス商品としては、顧客のプロモーションやマーケティング支援などが上げられる。一方、自社のマーケティングは、自社の経営理念、自社の強み、市場ドメインなどを確立し、組織的にビジネスに取り組むである。印刷会社のビジネス展開では、その業態も様々である。

<プロダクトアウトが古いわけではない>

少し前までは、印刷会社は自社の設備に合わせたプロダクトアウトではダメで、顧客志向のマーケットインの発想が重要との議論もあった。そもそも二元論が無意味ということもある。両方の視点を持つことが大切だ。例えば、「ロボット掃除機」「iPhone」「ウォークマン」「電子レンジ」などの革新的な商品は、プロダクトアウトで開発されたものだ。印刷業でも自社の設備を活かした商品開発でのプロモーションツールや建材、文具などの様々事例がある。
・マーケットイン:「ニーズ志向」
※顧客に価値を合わせる
・プロダクトアウト:「シーズ志向」
※顧客に価値を気づかせる
モノづくりに強み持つ印刷業では、マーケットインとプロダクトアウトの両方を取り入れた発想も重要だ。

<商品開発の決め手はアイデア>

決め手は、アイデアだ。モノや情報が溢れた時代では、ユーザーの想定を超えた製品やサービスが必要になる。一方、自社の強みを理解し、新鮮なアイデアは簡単に出せるものでもない。指示や命令だけで良いアイデアを出すことは難しい。教育や訓練が必要だ。知識のバリエーションを「型」として学びつつ、実際にアイデアを生むために取り組むべきことは何かを知る必要がある。近々にセミナー「印刷製品のアイデア道場」として開講する。

(CS部 古谷芸文)

印刷製品開発、マーケットインとプロダクトアウト

印刷製品は多種多様だ。市場規模の縮小傾向の中、新しい印刷製品やビジネスチャンスをつくり出すことは、課題のひとつだ。現在、JAGATのセミナーでも「印刷製品のアイデア道場」を企画している。ビジネスチャンスを広げる上では、マーケティングが重要だ。捉え方としては、サービス(商品)としてのマーケティングと経営戦略での自社のマーケティングがある。
周知のとおり、サービス商品としては、顧客のプロモーションやマーケティング支援などが上げられる。一方、自社のマーケティングは、自社の経営理念、自社の強み、市場ドメインなどを確立し、組織的にビジネスに取り組むである。印刷会社のビジネス展開では、その業態も様々である。

<プロダクトアウトが古いわけではない>

少し前までは、印刷会社は自社の設備に合わせたプロダクトアウトではダメで、顧客志向のマーケットインの発想が重要との議論もあった。そもそも二元論が無意味ということもある。両方の視点を持つことが大切だ。例えば、「ロボット掃除機」「iPhone」「ウォークマン」「電子レンジ」などの革新的な商品は、プロダクトアウトで開発されたものだ。印刷業でも自社の設備を活かした商品開発でのプロモーションツールや建材、文具などの様々事例がある。
・マーケットイン:「ニーズ志向」
※顧客に価値を合わせる
・プロダクトアウト:「シーズ志向」
※顧客に価値を気づかせる
モノづくりに強み持つ印刷業では、マーケットインとプロダクトアウトの両方を取り入れた発想も重要だ。

<商品開発の決め手はアイデア>

決め手は、アイデアだ。モノや情報が溢れた時代では、ユーザーの想定を超えた製品やサービスが必要になる。一方、自社の強みを理解し、新鮮なアイデアは簡単に出せるものでもない。指示や命令だけで良いアイデアを出すことは難しい。教育や訓練が必要だ。知識のバリエーションを「型」として学びつつ、実際にアイデアを生むために取り組むべきことは何かを知る必要がある。近々にセミナー「印刷製品のアイデア道場」として開講する。

(CS部 古谷芸文)J

印刷現場を強くする継続できる改善活動手法

JAGATは「独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構」が実施する企業の労働生産性の向上を目的とした「生産性向上支援訓練」の事業取組団体として選定を受け、その一環として、印刷現場における生産性向上に役立てて頂けるセミナーを提供します。

ねらい

印刷現場の改善目的を明確にし、現状における問題点を分析しつつ、継続して実践できる手法を習得する。

開催日時 

研修は2日間の構成で開催いたします。
1日目:2020年8月4日(火) 11:00~18:00
2日目:2020年8月5日(水) 10:00~17:00

定員 満員御礼!

15名  

詳細

カリキュラム

■生産活動の基本
・改善活動の目的 
・生産管理の基礎知識  
・改善手法の習得          

■現状分析とムダの発見
・ムダの発見、品質・生産性分析
【演習】現状分析:グループディスカッションと分析評価

■生産現場の改善
・改善活動の実践
 ・改善活動の維持継続 
【演習】手法の習得:課題をもとに改善の方向性を検討する

 

受講対象

・生産現場の改善活動を担う方、現場のリーダー、管理職

受講資格

印刷会社及び関連業界企業に属している社員の方はすべて対象


講師

yoshikawa.jpg(株)サンエー印刷 常務執行役員 研究開発部長
吉川 昭二

1957年東京生まれ。株式会社文祥堂印刷取締役を経て、2007年株式会社サンエー印刷入社。印刷会社に37年余勤務しプリプレス~印刷の品質管理やISO運用、製造工程の管理を行う。
JAGAT専任講師として、セミナーや全国印刷会社の企業診断・指導に携わり、分かりやすく歯切れのよい解説により、セミナー等では毎回好評を博している。また業界誌にも執筆を続けている。

会場

公益社団法人 日本印刷技術協会セミナールーム
東京都杉並和田1-29-11
東京メトロ 丸の内線 中野富士見町駅下車 
徒歩5分

参加費(税込)

1名 5,500円

お申込み 

定員に達した為、お申し込みを締め切りました

Webからのお申込み
Web申込フォーム に必要事項をご記入のうえ、お申込みください。

■FAXでのお申込み

annai-2

お申込書をプリントアウトし必要事項をご記入のうえ、
03-3384-3168
までFAXにてお送りください。

◆申込締切 : 各コース開催日の10日前まで
※但し定員になり次第締め切ります。

お申込みが確認され次第、参加証をお送りさせていただきます。

内容に関して問い合わせ先
内容に関するお問い合わせはお気軽に下記までお寄せください。
CS部 セミナー担当 電話:03-3384-3411

お申し込み及びお支払に関して
管理部(販売管理担当)   電話:03-5385-7185(直通)

公益社団法人 日本印刷技術協会

印刷現場の秩序を維持するために必要な作業標準

印刷工場では作業標準が設けられており、オペレータは勝手な判断で作業をしてはならない。作業標準を定めておくことは作業のムダの排除し、社員教育に役立ち、工場内の秩序を保つことにつながる。

作業標準とは、技術標準の要求条件を満足させると同時に、作業の安全・品質・能率・原価などの見地から作業ごとに使用材料、使用設備、作業者、作業条件、作業の管理、異常時のなどを規定したものをいう。無駄のない作業手順で、同じ条件で誰が作業しても同じものができるようにしなければならず、実際の作業に即したものである必要がある。

作業標準の必要性

現場で発生する事故は、決められた方法や手順で作業を行っていないことが多い。その原因として「作業標準が無かった」「あっても大事なところが抜けていた」「作業標準を守らなかった」などが挙げられる。
それぞれの設備や環境に合った適切な作業と方法を決めておけば、事故が発生してもその経緯と原因をいち早く究明できる。同じ過ちを起こさないためにも作業標準は必要であり、オペレータひとりひとりが遵守しなければならない。
また、工場内の安全教育を行うときにも、作業標準が整備されていなければ正しい作業方法を教えることはできない。さらに、新入社員や配置転換者に対する教育や各オペレータによる作業の個人差を無くするためにも役立つ。

JAGATでは7月20日に「上級印刷管理者講座」を開催する。このセミナーでは作業標準をはじめ監督者に求められる管理知識や人材育成・技術継承のための技術知識など現場管理者が知っておかないといけない事項を解説する。工場の管理者およびこれから管理者になるオペレータの方にとって必修の内容となっている。奮ってご参加ください。

(CS部 伊藤 禎昭 )

関連講座
7月20日(土)10:00~17:00
工場長・機長のための印刷管理講座
「上級印刷管理者講座」

「品質向上と印刷機械メンテナンス・印刷環境」編 <「実践!トラブル解決から予防・品質向上へ」 第1回>

<ねらい>
高い印刷品質レベルに加え、多品種小ロットや短納期への対応など、現在の印刷技術者には様々なものが要求されています。こうした中でのトラブル発生は、品質の低下や納期の延長に加え、お客様の信頼喪失につながりかねません。印刷機械や材料をそれぞれに見ているだけでは、トラブル要因の特定が難しいのが現状です。 本講座では、印刷機と印刷現場の状況、材料(インキ・用紙・湿し水)など印刷工程全体の視点から要因を探り、今あるトラブルを解決するとともに、調整やメンテナンス、材料知識を身に付けることによって、印刷品質の向上やトラブルの未然防止を目指します。 印刷機械の自動化が進むほど、トラブルの早期解決や品質向上は、日々のメンテナンスが重要な鍵となります。 また、忘れがちなアナログ部分と室内環境のポイントを理解し、より良い印刷品質を目指します。

●開催日時
2020年7月4日(土) 10:00~17:00

<内容>
①トラブル予防に向けたメンテナンスと調整 フィーダ、デリバリ、インキング、ダンプニング 各機構と調整、爪の保守、 点検 胴仕立て・ブランケット知識と調整、 爪の保守・点検、胴仕立て・ブランケットの知識
②印刷機や印刷環境に関連するトラブル事例
③主なトラブル要因
④トラブル解決 ⑤品質向上と印刷の標準化・安定化のポイント(印刷機械・環境編)

<講師>
 小林 啓吾   プリンティングアドバイザー/JAGAT 専任講師
(プロフィール) 静岡市内の印刷出版社に入社。印刷課、製版課に所属し、印刷機のオペレータを担当しつつ、製版部門のレタッチを学ぶ。その後、県内の印刷会社数社にて、特色の調色やベタ印刷のノウハウ、特殊インキ、UV印刷の適正を習得。 1996年富士フイルム株式会社吉田南工場研究部に入社。テクニカルアドバイザーとして各社メーカーの枚葉機、オフ輪印刷機の印刷条件テスト、品質テストの評価に従事。 2002年富士フイルムグラフィックシステムズ株式会社入社。プリンテイングアドバイザーとして日本全国の印刷トラブル現場に赴き、印刷の品質安定化と工場内の環境を検証、改善に向けての勉強会等を担当後、定年退職。 現在、プリンテイングアドバイザーとして全国の印刷会社にて「印刷工場の環境、品質アップ勉強会」を開催し、品質安定化に協力するとともに、JAGATの専任講師として活躍中。(枚葉油性印刷の速乾性高品質印刷での元祖開発指導者)


★受講生の声★


【関連講座】
2020年7月11日(土) 10:00-17:00
「品質向上のための印刷材料知識」編

※2講座一括でのお申込みも可能です(FAX申込のみ)


●対象
オフセット印刷オペレーター 定員 30名

●参加費(税込)
JAGAT会員 1講座ご参加 1名 19,800円 /2講座ご参加 1名 39,600円
一 般 1講座ご参加 1名 24,200円 /2講座ご参加 1名 48,400円

 

■お申込み

Webからのお申込み
Web申込フォーム に必要事項をご記入のうえ、お申込みください。

●FAXでのお申込み


お申込書に必要事項をご記入のうえ、
03-3384-3216
までFAXにてお送りください。
お申し込みが確認され次第、参加証を送付いたします。

参加費振込先
参加費は、下記口座に開催日の2日前までに振り込み願います。
なお、お申し込み後の取り消しはお受けできません。代理の方のご出席をお願いします。

口座名:シャ)ニホンインサツギジュツキョウカイ
口座番号:みずほ銀行中野支店(普)202430

内容に関して問い合わせ先
内容に関するお問い合わせはお気軽に下記までお寄せください。
CS部 セミナー担当 電話:03-3384-3411

お申し込み及びお支払に関して
管理部(販売管理担当)   電話:03-5385-7185(直通)

公益社団法人 日本印刷技術協会

 

重要な湿し水の温度コントロール

湿し水はインキとのバランスを一定に保つために冷却しておくことが大切だ。

多くの会社がアルコールを使用していない

現在オフセット印刷機の湿し水装置は連続給水タイプが主流だ。この装置はアルコールを使用することが前提になっていたが、今では使用しないで印刷する会社が多数を占めている。
 アルコールを添加すると湿し水の比重が軽くなり、表面張力が低下して版面の濡れが良くなる。さらに、湿し水を粘らせて水ローラー間のニップを通る水の膜を厚くして、版面に安定した湿し水を供給できる。しかし、オフセット印刷の現場で働くオペレーターの中でアルコールが原因で健康を害する報告が多数出たことから、作業環境を改善するためにアルコールを使用する会社は少なくなった。
現在ではアルコールに代替するエッチ液が市販されている。この中には水を粘らす材料と界面活性剤が少量加えられている。アルコール不要となったが、湿し水には温度コントロールが重要だ。

ポイントは水舟内の温度を7~10℃で維持

インキの表面に湿し水が付着し、ローラーのニップを通過していくうちに湿し水が微細化され,インキの中に分散化するようになる現象を乳化という。印刷には15~17%の乳化率が良いとされているが、高速で印刷されるとインキローラーの熱が上がって、インキは熱のためタックが低下して柔らかくなる。そこで通常温度の湿し水(15~18℃)に付着すると必要以上にインキの中に混入されてトラブル(乾燥不良、裏移り等)が生じてしまうので、湿し水を冷却する必要がある。
湿し水の温度コントロールには冷却強制循環装置が使用されており、通常は水舟内で7~10℃になるように設定されている。その理由は、冷却された湿し水は常に版面に接触して版の表面温度は低くなる。そして、版面上の冷たい湿し水がインキと接触すると、インキローラーを通過して温まったインキが瞬間に固まろうとし、同時に湿し水を取り込まないように作用する。そのためインキは過剰な乳化を起こさず、網点が素抜けしないで印刷される。インキの乾燥も遅れることはない。
また、湿し水を冷却しておくことによりドットゲインを小さく抑えられる。普通の温度(15~18℃)の湿し水とのドットゲインの差は4~5%程度の差があるといわれている。
このように湿し水の管理は品質安定のためには大切な要素であり、温度とともに湿し水循環装置を点検しながら作業する必要がある。

(CS部 伊藤 禎昭 )

関連講座
6月15日(土)10:00~17:00
実践!トラブル解決から予防・品質向上へ②
「品質向上のための印刷材料知識」編

印刷技術をより早く習得できる実技研修会

新入社員にとって、専門用語が多い印刷技術知識は座学だけでは容易に理解できるものではないが、実際にDTPソフトや印刷機械の操作をすることにより、理解を助け印刷に対する興味をより深めることができる。

DTPソフトを実際に体験

JAGATでは毎年、新入社員を対象にした印刷製作入門講座(実技編)を開催している。この研修会は3日間にわたって行われる。1・2日目はMacを使用した製作の実習だ。Illustratorで図版を製作し、Photoshopで写真の画像補正を行う。こうして制作したパーツをInDesginで組版作業をし、旅行用チラシの印刷用データを作成してPDFで保存する。

オフセット印刷機を操作

印刷実習では最初にデータを面付けし、RIP処理をしてプレートセッターでCMYK4版を出力する。そして、印刷作業の一連の流れを確認する。
自社の印刷機でも現場関係者以外の人は操作できないが、実習では直に印刷機に触って操作できることが貴重な体験だ。例えば紙積作業で参加者は用紙をフィーダーにうまく積めず四苦八苦する。この作業だけでもスキルを要することを実感できる。印刷工程には細かい作業がたくさんあり、どれかひとつでも不完全な状態にしていると印刷機がストップする。印刷作業は高いスキルをもったオペレーターに支えられていることを理解してもらえる。

参加者に望むこと

オフセット印刷機は鉄の塊であり頑丈な機械ではあるが、印刷物の仕上りに影響を与えるいろいろな変動要素があり素人が扱えるものではない。印刷現場に配属される人はこの実習で体験したことを基礎に印刷機に関わるスキルを積んで印刷オペレーターとしてのプロになってもらいたい。企画・デザイン・制作・営業に配属される人は直接印刷機を操作することはないが、自分が進行させているものが現場でどのように印刷されていくかを頭の中で思い浮かべながら仕事ができるようになってもらいたい。また、総務や事務職に配属された人は自社の工場にはどういう印刷機があり現場の人間にはどういう作業をしているかを理解してもらいたい。
印刷会社としては新入社員にこの実技研修を受講してもらうことにより印刷技術への理解を深めて今後の成長につながることが期待できる。

関連講座
5月8~10日 10:00~17:00
「印刷製作入門講座(実技編)」