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【クロスメディアキーワード】マスメディアとコミュニケーション

「マスメディア(mass media)」は、「新聞社」「出版社」「放送局」など、特定の情報を発信する事業者から不特定多数の受信者へ向け、情報伝達手段となる「新聞」「雑誌」「ラジオ放送」「テレビ放送」などのメディア(媒体)を指す。また、マスメディアにより実現される情報の伝達(コミュニケーション)を「マスコミュニケーション」と呼ぶ。

マスメディアの歴史

15 世紀半ば、グーテンベルクによる活版印刷術の発明により、複数の受信者に対する情報の同時発信が可能になった。1660 年には世界初の日刊紙「ライプツィヒ新聞」が創刊され、その後ヨーロッパ各地で日刊新聞が創刊された。欧米や日本では、19 世紀の産業革命による都市人口の増加と、初等教育の普及による識字率の上昇に伴い、「書籍」や「新聞」の大衆化が進んだ。1895 年には、グリエルモ・マルコーニが電波による無線通信の実験に成功し、放送の手段が確立された。

ビジネスモデル

マスメディアの収入の源は、情報の発信を望む側から受け取る広告料と、受信者に「受信料」「購読料」などとして課金するものに大きく分類できる。
「新聞」や「雑誌」は双方に課金し、書籍は書籍料金として受信者からのみ徴収する。
放送事業者には、「新聞」や「雑誌」と異なり、さまざまな課金手段が存在する。「広告料」や「受信料」のほか、「政府交付金」を受ける放送事業者もある。また、「衛星放送」や「有線放送」の場合には、「ペイ・パー・ビュー方式」により視聴者に課金する事業者もある。
IT(Information Technology)とネットワークの発展により、マスメディアの収入源はインターネットを介し提供されるメディアと競合し、減少傾向にある。

主なマスメディア

主なマスメディアとして、電波によるメディアは、「テレビ放送」「ラジオ放送」などが挙げられる。また、紙によるメディアは、「新聞」「雑誌」「フリーペーパー」などが挙げられる。さらに、「映画」や「音楽」「出版(書籍)」全体をメディアに含む考え方もある。

デジタルメディアによる変化

「新聞」や「雑誌」「ラジオ放送」「テレビ放送」などのマスメディアは、社会的な地位を十分に示すことで発言力を持ち20 世紀に君臨していた。これらのマスメディアは、それぞれが独特の情報に関するシステムを編み出すことで、そのノウハウや影響力が資産となり、事業として大きく成長した。しかし、さまざまな情報がデジタル化され、メディア自体もデジタル化されることで、平準化された技術としてインターネットが頭角を現した。さらに、インターネットの通信速度が高速化し、マスメディアとの境界線がさらに弱まっている。
さまざまなメディアは、デジタル化の影響を受けることで、その役割や性質に変化が生まれ、特別なものとしてではなく、日常のコミュニケーション手段となる道具として扱われるようになっている。メディアのデジタル化によって企業にとってさまざまな事業と連携したメディアの登場や、コミュニティーの形成を重視したマーケティングが展開されるなど、従来のメディアが持つ世界とは異なる環境が、提供され続けることが考えられる。

パーソナル化するコミュニケーション

現代のテレビ放送では、個人視聴の傾向が強まっている。さらに、デジタル放送が普及することで、「見るだけのテレビ放送」だけでなく「利用するテレビ放送」や「参加するテレビ放送」「対話するテレビ放送」などと変化している。今後も、さまざまなデジタルに関する技術の発展により、マスメディアのインタラクティブ性(双方向性)が高まり、コンテンツの企画や制作が重要視されるようになると考えられる。

新しいメディア

1990 年代後半から普及したミドルメディアと呼ばれる「Web サイト」がマスメディアに近い影響力を持ち始めており、「ニュースサイト」「動画共有サイト」「BBS(Bulletin Board System:電子掲示板)」「ブログ」などをマスメディアとして捉える考え方もある。

口コミ情報

伝統的なマーケティングでは、生活者の商品購入が最終目的と考えた。アメリカのローランド・ホールが提唱した「AIDMA」や電通により提唱された「AISAS」などの生活者の消費行動モデルでは、なるべく多くの生活者に対し「注意」を促し、「関心」から「欲求」や「検索」へと意識が高まるような情報を発信する必要があるとされている。情報を発信し、多くの生活者を対象に「注意」を促すには、マスメディアの活用が効率的と考えられる。さらに、「関心」から「欲求」や「検索」へと意識を最大限に高めるため、専門家によるクリエイティブが重要視される「広告」が必要であった。
現在では、生活者によるインターネット上の口コミ情報が力を持ち、情報発信の方法として無視できない存在となった。生活者の行動は、マスメディアの情報と比べ、口コミ情報により強く影響を受ける傾向があるとされ、特に「映画」や「ファッション」などの嗜好性の強い商品にその傾向が強い。情報の受信者は主体性を持ち、メディアによるコミュニケーションをイニシアチブを持って行う。

マスメディアとクロスメディア

マスメディアとミドルメディアの組み合わせにより、生活者の商品の認知から始まるシナリオ(動線)を設計する必要がある。マスメディアではクリエイティブの専門家に依頼することで、インターネットへの情報発信と比べ、訴求力の高い「広告」配信の実現が期待できるが、宣伝色の強すぎる「ブログ」の展開は逆効果を誘引する可能性もある。インターネット上に存在する予測が難しい「発言力」の扱い方は、情報を発信したいと考える事業者にとって大きな課題となる。

JAGAT CS部
Jagat info 2015年3月号より転載

2016/10/28 JAGAT Webサイトサーバダウン お詫びと復旧のご案内

2016年10月28日(金)午前9時~9時45分頃、JAGAT Webサイトサーバダウンにより、JAGATサイトにアクセスできない状態が発生しました。
現在サイト全体において復旧しております。
ご不便をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。

JAGAT資格制度事務局

クロスメディアエキスパート認証試験、試験方式を一部改定

公益社団法人日本印刷技術協会(略称:JAGAT、本社:東京都杉並区、会長:塚田司郎)は、2016年10月28日、同協会クロスメディアエキスパート認証制度の試験方式を一部改定することを発表しました。

❏『クロスメディアエキスパート認証試験、試験方式を一部改定』

昨今、印刷メディアとWebやモバイル、SNSなどを効果的に利用するクロスメディアコミュニケーションが日常化しています。
しかし、従来の受注依存型の組織ではこのようなビジネスに柔軟に対応することは困難です。さまざまなメディアを活用する能力、論理的で説得性の高い提案能力が求められています。

そのような能力を磨くための手段として、同協会は2006年よりクロスメディアエキスパート認証試験を実施しています。累計で1,100人以上の方が合格しています。この試験は、デジタルメディア活用に必要な知識を問う学科試験と、実際に提案書を作成する記述試験から構成されています。
合格を目指して学習することで、デジタルメディア活用に必要な知識と提案能力を身に付けることが可能です。

このたび、より実践的でハイレベルな提案書を作成出来るよう、試験時間を変更することになりました。
従来の「学科試験(120分)、記述試験(120分)」を「学科試験(100分)、記述試験(140分)」 に変更します。

試験時間変更は、2017年2月26日(日)に実施する第23期試験より適用されます。

JAGAT エキスパート認証制度 Webサイト

❏ 次回エキスパート認証試験の実施予定

次回の第23期クロスメディアエキスパート認証試験は、2017年2月26日(日)に実施します。

受験申請期間は2016年12月13日(火)~2017年1月25日(水)となっており、同サイトの申請フォームから申込むことができます。

認証試験は年2回、実施しており、次々回は2017年8月を予定しています。


公益社団法人日本印刷技術協会 公益社団法人日本印刷技術協会(Japan Association of Graphic Arts Technology:JAGAT)は、印刷に関する技術の開発・向上により、印刷および関連産業の発展、貢献を目的として1967年に創立しました。

【本書の内容・リリースに関するお問合せ先】
〒166-8539 東京都杉並区和田1-29-11
公益社団法人 日本印刷技術協会 広報担当まで
TEL 03-3384-3113 FAX 03-3384-3168

【DTPキーワード】デジタルカメラの撮影

デジタルカメラは、銀塩カメラと基本的には構造が同じで、アナログのフィルムの代わりにCCD またはC-MOS といった撮像素子を使う。
デジタルカメラは使用用途に区分すると、コンシューマ用のレンズ交換が不可能なコンパクトデジタルカメラ、レンズ交換が可能なデジタル一眼レフカメラ、それより大型な撮像素子をデジタルバックとして使う中判デジタルカメラなどがある。最近、ファインダーを除いてその構造上必要であったミラーを排したミラーレス一眼カメラも台頭してきた。ファインダーの代わりに本体背面に付いている液晶ディスプレイで画像の確認をする。
デジタルカメラの撮影は、光源の色温度に注意を払わなくてはならない。光源の色温度の変化に対して、ホワイトバランスを調整して白い被写体が白くなるようにする。
撮影の手法として、メインの被写体にピントをしっかり合わせて、不要な部分はぼかすということも必要である。これにはレンズの被写界深度特性を利用する。
デジタルカメラの被写界深度は、一般に、レンズの焦点距離、絞り、許容錯乱円の大きさに依存する。
コンパクトデジタルカメラの場合、小型で気軽に失敗しない撮影を前提に設計されているのでレンズ焦点距離が短いレンズを使用している。そのため全体にピントが合うため、被写界深度が深く、奥行き感やボケを生かしにくい。撮像素子のサイズによって被写界深度が変わるのではなく、同一画角を得るために使用するレンズの焦点距離が撮像素子のサイズにより変わるため被写界深度に違いが出る。
デジタルカメラでは、一般的に撮像素子の画素数が多いほど、解像度が高いきめ細やかな画像を得ることができる。同じ画素数であれば、大きな撮像素子の方が1 画素当たりの面積(ピクセルサイズ)が大きいのでその表現力は優位である。
撮像素子が小さければ、1 画素当たりの光を取り込める量は少なくなり、感度は低くなる。また、画素数が多くなれば多くなるほど1 画素当たりの光を取り込める量は少なくなり感度は低くなるので、「画素数が多い=高画質」というわけではない。そのため画素数の多さと同様に撮像素子の大きさも画質を決める上で重要になる。
大きな撮像素子のメリットは、ダイナミックレンジが広いので、取り込む情報量の多さから白飛びや黒潰れが抑えられ、表現の豊かな撮影が可能である。
受光面積が広いので感度を上げてもノイズが少なく画質劣化が少ない。また、ぼけを利用した撮影が可能
である。

CCD(シーシーディー)[Charge Coupled Device]

光の情報を電気信号に変換する半導体素子。この変換を光電変換と呼ぶ。デジタルカメラ、スキャナー、ファクシミリなどに使用されており、光を電気に変換する受光素子(画素)を複数個並べ、光の変化を画素ごとに独立して電気信号に変換する。そのため、CCDの画素数が多いほど画像は精密になる。

C-MOS(シーモス)

[Complementary Metal-Oxide Semiconductor]
相補型金属酸化膜半導体。2 種類のMOS FET と呼ばれるトランジスタをペアで使用する。MOS とは、金属と酸化物、半導体という3 種類の物質を重ね合わせた構造を持つ素子。CCD とCMOS では画像データを読み出す方式が異なり、CCD は電気信号を順次送りだし最後に増幅するのに対して、CMOS は1 画素ごとにアンプ(電荷を電気信号に変える変換器)が付いており、画素ごとに信号を増幅して読み取るため、素早い読み出しと省電力化、小型化が可能である。

ミラーレス一眼カメラ[Mirrorless interchangeable-lens camera]

2008 年10 月にパナソニックが世界初のミラーレス一眼「LUMIX DCM-G1」を発売。反射鏡を用いた光学式ファインダーを使わずに、電子ビューファインダーや液晶ディスプレイを通して像を確認する仕組み。反射鏡のタイプは実像を直接見ているためシャッターチャンスの反応性が良い。被写界深度のプレビューはファインダー像が暗くなり実際の撮影画像とボケ具合には差が生じる。ミラーレスタイプは実像を画像処理をしているため多少時間がかかる。一方被写界深度の確認は正確にできる。また、物理的な鏡がないためボディは薄型化が可能である。

被写界深度[depth of field]

ある距離の被写体にピントを合わせた場合、その前後の被写体についても鮮鋭な像を結ぶ範囲。レンズの焦点距離が短いほど、また絞りを絞り込むほど被写界深度は深くなる。

焦点距離[focal length ; distance]

レンズの中心からその焦点までの距離。焦点距離はf(小文字)値で表す。小学校の理科の実験で虫めがねに太陽光を入射させると、光軸の先で光の束が一点に集光する点がある。この光の集まる点に黒い紙を持っていくと紙が焦げてしまい、この” 焦げる点” が文字通り” 焦点” ということになる。焦点はカメラでいうところのCCD 面に当たりレンズからCCD までの距離を焦点距離(focal length)と呼ぶ。つまりレンズのf 値とは焦点距離“focal length” の頭文字「f」をとってf 値○○mm と呼ぶ。

絞り[aperture ; diaphragm]

絞りとはレンズに入ってくる光の穴の大きさを開いたり閉じたり調整すること。絞りには値があり、F(大文字)値やFナンバーと呼ばれる。

絞り値[F-number]

計算しやすいようにF 値を√ 2 の2 乗ずつ増やしていくと(段)F1.4(√ 2)、F2(√ 4)、F2.8(√ 8)、…となり、光量は1/2 倍、1/4 倍、1/8倍、と暗くなっていく。絞りとシャッター速度は相反する絞り込むと暗くなりシャッター速度を遅くすることで光を取り込む時間を長くする。逆に開くと明るくなり、シャッター速度を速めて光を取り込む時間を少なくする。この組み合わせで被写界深度などが異なる。

許容錯乱円[Permissible circle of confusion]

ピントが合っている位置にある「点」は、撮像素子上で「点」に写る。しかしピントの合う前後では撮像素子上ではボケて円になる。この円を錯乱円という。
しかし極小円は人の目には点に見える可能性があるため、ぎりぎり点に見えるときの錯乱円の大きさ(直径)を、許容錯乱円径といい、単位をmmで表す。

有限会社 セネカ
代表取締役
野尻 研一
(Jagat info 2015年月7号より転載)

【クロスメディアキーワード】メディアリテラシーとフィルタリング

現代のような高度情報化社会では、多くのメディアに接触する生活者にメディアリテラシーの向上が求められる。情報発信側にもメディアリテラシーへの理解が欠かせない。以前も取り上げたが、改めて解説する。

メディアリテラシー

メディアリテラシーとは、メディアを介した情報の受信者が、主体的に内容を読み解いた上でメディアを活用する能力を指す。リテラシーとは読み書きに関する能力を指すが、さまざまなメディアの持つ個別の様式にはメッセージ性があることから、マーシャル・マクルーハンは「メディアはメッセージである」とし、メディアリテラシーの重要性を喚起した。現在ではメディア特性を踏まえた情報に対する判断と活用が受信者に求められるため、メディアリテラシーの重要性が高まっている。メディアの多様化により、マスメディアだけでなくミドルメディア(インターネットメディア)やパーソナルメディアなど、さまざまなメディアから情報を取捨選択する能力が受信者には必要になる。
受信者は主体的かつ批判的にメディアに接触する能力が求められるが、発信者はさまざまなメディア特性を理解した上で情報を展開する能力が求められる。

情報の信憑性

テレビ放送の情報なら「正確」で「事実」という安易な判断は、メディアリテラシーに欠ける。発信された情報については、作成された意図を酌み取る必要がある。広告としての情報に関する表現は、利害関係や編集意図が介在することで、中立的な情報が必ずしも発信されているとは限らない。しかしながら、メディアリテラシー向上の目的は、広告を否定するものではない。広告の信憑性は、情報を正確に捉えるためにその役割やバイアス(偏り)を認識する必要がある。

メディア特性

情報技術の発展により、パソコンやスマホ(スマートフォン)、タブレットなどのさまざまな端末が生活者に普及した。テレビ放送や新聞、雑誌などの直感的に理解しやすいメディアと比べ、インターネットに接続することで閲覧できるさまざまなメディアは、そのメディアごとの特性を捉えることに困難が伴う。
ブログとSNS(Social Networking Service)のように、使用法が異なるものの機能は共通点が多い場合、技術やサービスの名称によりメディア特性を区分することに意味を持たないことがある。メディアが、すべて同質のメディアであるとは限らない。それぞれのメディアに対する情報の受発信の特徴を考察し、その役割と評価などの特性を熟考することが必要になる。

高度情報化社会

メディアリテラシーが向上することで、高度情報化社会を正確に捉え、充実したコミュニケーションを図るきっかけを得ることが期待できる。ビデオカメラとインターネットによる市民チャンネルのようなインターネット放送が一般化し、情報の受信者が発信者でもある社会が到来している。

フィルタリングサービス

メディアリテラシーが未発達の可能性がある未成年者を対象とし、健全な育成を目的とするフィルタリングサービスが提供されている。ケータイ(フィーチャーフォン)やスマホの未成年者による利用が拡大したことから、配信される情報への規制が求められている。インターネット上には、犯罪につながる情報や未成年者に有害な情報も存在する。したがって、それらのコンテンツやコミュニティーサイトに対する接続を制限する「フィルタリング」が実施されている。日本の「フィルタリング」は、総務省の要請により移動体通信事業者が実施するサービスである。「フィルタリング」は利用者ごとに、有効や無効の切り替えが可能で、一般的には、保護者が未成年者の利用する端末の設定について判断するので、移動体通信事業者は保護者に対し「フィルタリング」に関する意思の確認を行う。

フィルタリングの種類

「フィルタリング」には、「ホワイトリスト方式」と「ブラックリスト方式」の2 種類がある。

・ブラックリスト方式
特定のカテゴリーに属するWeb コンテンツやWebサイトをリスト化し、接続を制限する方式。一律でカテゴリーの分類を行うため、健全なWeb コンテンツやWebサイトに接続できない可能性もある。
・ホワイトリスト方式
一定の基準を満たしたWeb コンテンツやWeb サイトのみをリスト化し、リストに入っていない場合に接続を制限する方式。無数に存在するWeb コンテンツやWebサイトの極めて部分的なものとなるため、利便性が損なわれる傾向がある。

フィルタリングの課題

「フィルタリング」用のリストは、その提供事業者がWeb コンテンツやWeb サイトの情報を収集し、移動体通信事業者へ提供している。リストの内容は、詳細な解析が行われた上で分類されているとは限らない。正確な「フィルタリング」が行われない可能性が残っている。有用な情報を提供しているにも関わらず、接続が制限されてしまう事象もあり、コンテンツ提供事業者から問題視されることもある。

フィルタリングの動向

現在では、未成年者が利用する端末に対するフィルタリング使用の原則化が完了している。今後は更なる普及促進とともに、機能のカスタマイズ化といった画一的な現行モデルの改善策の検討も進められている。一部の地方自治体では、未成年者に対する「フィルタリング」を実質的に義務化する動きもある。

メディアリテラシーとフィルタリング

「フィルタリング」はメディアリテラシーの向上に対する阻害要因となる可能性もある。未成年者も情報の選別ができるように、メディアリテラシーの向上を考慮した取り組みが必要になる。

JAGAT CS部
Jagat info 2015年2月号より転載

2016年8月21日実施試験合格発表掲載予定日

第46期DTPエキスパート/第22期クロスメディアエキスパートの合格者の受験番号は、

2016年10月28日(金) 9:00

に掲載予定です。

発表まで今しばらくお待ちください。

JAGAT資格制度事務局

【クロスメディアキーワード】カウンセリングとコーチング

カウンセリング(Counseling)とは、相談者の抱える「問題」や「悩み」などに対し、専門的な知識や技術を用いて行われる「相談援助」を指す。

一般的な定義

一般的に、カウンセリングを行う者を「カウンセラー(Counselor)」と呼び、カウンセリングを受ける者を「クライアント(Client)」「カウンセリー(Counselee)」などと呼ぶ。カウンセリングでは、「援助的対人間関係」「行動変容」「クライアントの自律性尊重」が重要視される。問題を抱えている「クライアント」に対し「カウンセラー」がコミュニケーションを重ねることで人間関係を形成し、「クライアント」自身の自律性により行動変容を促す。これがカウンセリングの概要となり、さまざまな理論や技法が提唱されている。

カウンセラーの条件

適切なメディアによるコミュニケーションを目指すメディアのコーディネートでは、情報の受発信を行う主体となる人物をカウンセリングする心構えが必要であり、その知識と能力は重要なものとなる。
カウンセラーには「自己一致」「共感的理解」「無条件の肯定的尊重(受容)」といった3 つの条件が必要であると、アメリカの臨床心理学者であるカール・ロジャーズが提唱している。「自己一致」とは、クライアントの前で自身が感じていることや経験していることを否定したり歪めてはならないといった態度を指す。「共感的理解」では、クライアントの私的な世界を自身のことであるかのように感じ取る性質を指す。「無条件の肯定的尊重」では、「あいづち」といった単純な行為ではなく、相手の深層に対する受容である。

コーディネーターとして

メディアのコーディネーターは、コンサルティング能力が求められる。
コンサルティングには、カウンセリング能力のほか、自発的行動を促すコーチング能力や精神的な支えとなるメンタリング能力も必要となる。

カウンセリングの技法

カウンセリングの技法は、さまざまな理論に基づき、理論の種類分けが存在する。「精神分析療法」や「来談者中心療法」「ゲシュタルト療法」「論理療法」「行動療法」などが代表的な技法である。カウンセリングでは、クライアントの「考え」や「思い」が最も重要視される。クライアント自身も分析に参加し、理解し、認知する必要がある。しかしながら全ての問題に対し、カウンセリングにより十分な満足感が期待できる解決方法や解答があるわけではない。カウンセリングはさまざまな理論と技法を用いることで、クライアントの「安心感」や「安全感」を誘発するための一つのアプローチであると考えられる。

コーチングとカウンセリング

コーチングとは比較的新しい概念であり、主に一対一の状況で「モデリング」「問題解決」「カウンセリング」などにより、さまざまな技術を教えることを指す傾向がある。特定分野において能力の向上を期待する人物を対象として、コーチングは実施する。将来志向を強く持ち、目標を達成するための道筋を示し、クライアントが求める成果を実現するサポートを行う。
一方カウンセリングでは、問題を抱えているクライアントが対象の中心となる。やや治療的な意味合いもあることから、カウンセラーはパートナーと一致せず、過去から将来といった広範囲に及ぶ内面変化による行動変容を実現する。

コーチングの技術

コーチング技術は複数存在するが、「傾聴」「承認」「質問」「要約」「フィードバッグ」は代表的な技術となる。

・傾聴
特に相手との関係性を確立する段階で重要視される技術は、「傾聴」である。「傾聴」はカウンセリングでも使用されるが、クライアントの「話したいこと」や「伝えたいこと」を「受容的」かつ「共感的」な態度で聴く技術である。意識的に耳を傾ける状態で、偏見や先入観、固定観念を排除し、客観的な姿勢で聴く。さらに、「はげまし」や「うなずき」を加え積極的な姿勢で、クライアントのためにクライアントの立場を考慮して聴くことが重要である。「傾聴」は、「心構え」が必要になり、受容的な態度が最も重要視される。
・質問
コーチングは、「質問」によりクライアントが関心を持つように促す過程を指すこともあり、「質問」技術が重要視される。「質問」は「ポジティブな質問」や「ネガティブな質問」で構成される。「ポジティブな質問」とは、「正解が複数ある質問」や「将来のことに対する質問」「否定形のことばを含まない質問」であり、クライアントの能力を最大限に発揮できるよう使用され、コーチングの本質として重要視されている。
・要約
「要約」技術は、クライアントの抱える課題を整理する「チャンクダウン」を指す。「要約」により解決すべき「問題」と「原因」を明確にすることで、解決へ向かう大きなステップとなる。「要約」技術は、自身の解釈を押し付けず、クライアントが答えを持たせることが注意点となる。
・フィードバック
「フィードバック」とは、クライアントに対し「反応」や「感想」「意見」を率直に伝える技術である。自身の「考え」であることがクライアントに伝わることが大切であり、自身をマネジメントする技術も求められる。あくまでもクライアントの立場を重要視することが求められる。

JAGAT CS部
Jagat info 2015年1月号より転載