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エキスパート更新試験申請受付期間延長のご案内

第46期DTPエキスパート/第22期クロスメディアエキスパート認証更新試験につきまして、7/21(木)を申請受付期限とご案内しておりましたが、申請受付期間を延長いたします。

最終申請受付期限
7/29(金)まで

上記期限までに、受験料のお振込みと、エキスパート基本台帳からの申請手続きを完了していただけますようお願いします。

申請方法詳細は、下記よりご覧いただけます。

第46期DTPエキスパート認証更新試験の申請・受験方法

第22期クロスメディアエキスパート認証更新試験の申請・受験方法

【クロスメディアキーワード】コミュニケーション手段の変革

インターネット広告が台頭したことで、マスメディアによる広告がシフトするといった発想は成立しない。テレビコマーシャル用に制作された映像をイ ンターネットで配信するといった、マスメディアによる広告と同様の情報発信は、認知度の向上には寄与するが、コミュニケーション手段の変化に対応している とは限らない。

コミュニケーション手段の変革

事業を拡大させるために、広告だけに頼ることは考え難いが、インターネットだけを頼る行為も不完全である。IT(Information Technology)の発達が、事業活動に及ぼす影響を理解することが重要である。

クロスメディアエキスパート認証制度のカリキュラムでは、ITによる経営や商取引などの変化を取り上げているが、単なるWebサイト構築や販促物の制作にとって、直接的な関係性を感じにくい。

クロスメディアエキスパートの人物像は、「メディア戦略のコーディネーター」となるディレクターやプロデューサーを想定しているが、「メディア戦略のコー ディネーター」は、事業展開の核心と強い関係性を持つと考えている。下図の左側は事業主である顧客や自社であり、事業主の中には経営革新を推進する人物が おり、その人物はメディア戦略に着目している。

事業の変化に伴い、メディア活用に助言することが、クロスメディアエキスパート認証制度で示すディレクターやプロデューサーの役割である。

事業構造の変化は様々であり、SCM(Supply Chain Management)については、様々な製造業で業界横断的に進行し、「現場」では一般的なものとなっている。山間部に住む高齢者が、山で様々な「葉」 を採取し、料亭に卸すビジネスモデルがテレビ放送で取り上げられていた時期があったが、その後は、書籍まで出版された。インターネットを活用することで、 料亭は地産の材料調達が容易になった。

求められるメディア戦略のコーディネーター

様々な事業活動では、 CRM(Customer Relationship Management)による効率化だけでなく、マーチャンダイジングや需要予測などが変化した。クロスメディアを前提としたメディア戦略の立案では、 様々な生活者とのコミュニケーション手段として、デジタルメディアの存在が不可欠となる。 事業者はグループウェアを導入し、利害関係者との情報共有を行 い、オープンなコミュニケーション手段の確立を目指す。コミュニケーション手段を確立するツールは、インターネットに接続するパソコンに留まらず、ケータ イやスマートフォンなどのモバイル端末が利用され、クラウドやSNS(Social Networking Service)などのサービスが活用されている。

クロスメディアエキスパートの領域では、全体最適を考慮したコミュニケーションシステ ムの構築が求められる。メディア戦略とデジタルメディアの関係は、感覚的なものではなく、技術革新が事業構造に影響を与える。プロモーションだけではな く、コストを勘案した改善施策が求められる。改善施策の実行は、結果としてクロスメディアによる生活者との効率的コミュニケーションシステムを実現するこ とにつながる。事業戦略を支えるメディア戦略をコーディネートする人材の育成をクロスメディアエキスパート認証制度は目指している。

資格制度事務局

 

※本ページの内容は掲載当時(2013年10月)のものです。

【クロスメディアキーワード】アイデア発想法

クロスメディアキーワード【第9回】

「ブレーンストーミング」は、集団によるアイデアの抽出法として、多くの人々に知られている手法である。また、「構造化」は、アイデアの断片をまとめるためにロジカル・シンキングやクリティカル・シンキングといった論理的思考を活用した手法である。

ブレーンストーミング(Brainstorming)

ブレーン(頭脳)とストーム(嵐)から、「頭脳の嵐」と名称がついた会議手法であり、アレックス・F・オズボーンが考案した。別称として「ブレスト」、「BS」などと呼ばれる。

新しい企画の立案や複雑な問題の解決は、合理的な手法を用いることにより、適切な答えを導くことがある。そのためには、考えられるアイデアを事前にすべて 出すことが望まれる。個人のアイデア量には、限界がある傾向があるため、集団により意見を出し、互いを刺激し合うことで、より多くのアイデアを生み出す会 議手法が、ブレーンストーミングである。進行役が議案の主旨(テーマや目標)を示した後に、参加者が自由に意見やアイデアを出す進行となるが、ブレーンス トーミングには4つの原則がある。

1.批判の禁止
 参加者の発言を活性化させるため、他者の発言を批判しない。

2.自由奔放
 ユニークで斬新なアイデアを促すため、自由奔放な発言を歓迎する。思いもよらない解決への糸口が期待できる。

3.質より量
 ブレーンストーミングでは、勢いが重要視される。発言は多いほど好まれる。可能な限り多くのアイデアを出す。

4.連想と結合
 他の参加者が、一部のアイデアに便乗することを歓迎する。発言の融合や、一部の変更を行う。

構造化

構造化とは、「複雑に見えるものを幾つかの要素に分解し、それぞれの関係を明らかにし、全体と部分の関係性を明示する」方法である。

  • 全体から細部にいたるまで、各要素間の関係が明確になり、整理された状態で一覧できるようになること。
  • 各要素間の関係に明確な理由(根拠)があるため、導かれた結果には説得力をもつこと。
  • モレやダブりが発生しにくくなること(MECEの考え方を導入すると良い)。
  • 各要素の組み合わせを変更することにより、全く新しいアイデアや問題の解決にも応用できること。

などが構造化に共通するメリットである。

特性要因図
原因と結果との関係を表した図を指す。問題(特性)と、その原因(要因)との関係を表す手法として、主にQC(Quality Control:品質管理)の分野で使用されている。魚の骨の形に似ていることから、「フィッシュボーン・チャート」や「魚骨図」とも呼ばれる。QCサー クルの生みの親である石川馨工学博士が考案した。

親和図法
QCにおける情報整理法を指す。既存の知識では体系化しにくい情報やアイデアをカードに記述し、問題点と解決案を導き出す手法である。川喜田二郎(文化 人類学者)が開発したKJ法を起源としている。親和図法は、「カード化した言語データの意味の近さ(親和性)に着目し、同類項ごとに括ることにより、構造 (全体と部分の関係)を明確にする」という特徴がある。

例題

次の文中の空欄[A]~[C]に入る最も適切な語句の組み合わせを下記の[解答群]から選べ。

ブレーンストーミングは、議題についてのアイデア出しや問題点の[A]などを目的とした、複数人が参加し自由に意見を述べる手法であり、新たな発想を生み だすことが期待できる。人数制限はないが、5~7名、場合によっては10名程度が好ましいとされる。議題については、参加者に予め周知することが望まれ る。

結論を出し判断を下すような必要がある場合に[B]手法である。議論が一つの方向に偏ってしまうことや、回数を重ねたことによる本題 から離脱、論理に頼った先入観などにより、発想が[C]化する傾向の存在を指摘する声がある。したがって、結論を出し判断を下す場合は、改めて情報整理を 行うことが求められる。

[解答群]
 ①A:解決 B:向いている C:硬直
 ②A:列挙 B:向かない C:硬直
 ③A:解決 B:向かない C:弾力
 ④A:列挙 B:向いている C:弾力

[解答]
 ②A:列挙 B:向かない C:硬直

※本ページの内容は掲載当時(2013年12月)のものです。

【DTPキーワード】版面の設計

版面[type area ; type page ; text page]

「はんづら」と読む。組版されたページ面のうち、実際に印刷される文字、罫線、画像などが占める面の範囲のことである。結果的に版面の面積は、判型から余白を引いたものになる。
本文部分の各ページの版面は同一である。また左右両方のページを一つの図版として捉えるため、判型に対して版面が中央に位置していることは稀である。

判[size of paper ; size of book]

書籍やポスターなどの紙加工品の仕上がり寸法と形態を指す。
A4 判、A5 判、新書判、タブロイド判などがある。

マージン[margin]

出版物などのページにおいて上下左右に存在する版面以外の余白部分を指す。
各部の余白は上部は天、下部は地、製本で綴じられる内側はノド、その反対側は小口と呼ばれる。

    • ノド[back margin]
    • 本の綴じ目に沿った部分。

    • 天[head ; top ; top edge]
    • 本の上部。本の背以外の中身の三方の内上端を指す。
      「あたま」ともいう。

    • 小口[edge ; fore edge]
    • 仕上げ断ちした本の三方の切り口。一般には前小口のことをいう。

    • 地[tail edge]

    本の下部。本の中身を仕上げ断ちした後の三方の下部の切り口。「けした」ともいう。

マージンと版面の取り方には諸説あるが、判型に対する伝統的な書籍の体裁はノドあきが一番狭く、次に天、小口、地の順となるのが一般的である。
一般に判型が大きいほど余白の比率は大きくなる。
小口の余白は製本のズレが目立ちやすいのであまり小さくできない。

文字の大きさ・字詰め・行間の基本ルール

  • 文字の大きさは読者や本の内容によって異なるが、一般的な書籍・雑誌の本文級数は11〜14 級が標準である。
  • 1 行の字詰めは文字の大きさと判型に合わせて可読性のバランスを決める。
  • 行間は字詰めによって異なるが、文字の大きさの半角(1/2em)から全角アキが標準である。
  • 1 行の字詰めが長ければ行間を広くし、短かければ狭くする。
  • 大きな文字級数や字面が大きな文字は行間を広めにし、小さい場合は狭める。

基本組体裁

雑誌や書籍などのページに対する文字組みの基本となる体裁のことである。
版面の内側で基本組体裁に必要な値を決める。
まず先に書籍の内容表現にふさわしい書体を決め、ターゲットとしている読者が視認しやすい文字の大きさを決める。
次に組方向と行数や字詰めを決め、1 行の文字数が多い場合には段数を決める。多段組の場合には段間を設定する。
行長や字詰めと相互に関連しているのは文字サイズである。可読性という点で横組よりも縦組の方が行長を長く取ることができる。
行と行の間は一般に文字サイズの25%〜100% 程度あける。
文字サイズと行間を足したものが行送りである。
視線の移動を容易にするために、行長が長いほど相対的に行間は大きく取る。

  • 組方向[type set]
  • 本文ページが縦組か横組かを決める。

  • 書体[typeface ; face]
  • 文字の用筆(筆画)や形態が同じもので作られ系統化さている字形。フォントとは異なる。

  • 文字サイズ[font size]
  • 文字の大きさ。Q(1Q = 0.25mm)/ ポイント(1point ≒0.3528mm)で示す。

  • 字詰め
  • 1 行に収容される文字数。1 行の行長に相当する。

  • 行長[line length]
  • 1 行内での文字の配置において行頭から行末までの長さ。

  • 字間[character gap ; separation]
  • 1 行中の上下(縦組)または左右(横組)に隣り合う文字と文字の間隔。

  • 字送り[character pitch]
  • 隣り合う文字から文字までの間隔。

  • 行間[interline ; line space]
  • 組版における行と行の間の空き量。一説に行間の適性値は行長の3%という説がある。

  • 行送り[line pitch]
  • 文字の大きさに行間を足した距離。

  • 段[columns]
  • 行の集合を段と称する。1 行が長くなり過ぎると読みにくくなることから、適度の文字数、適度の行数にて段を形成する。

  • 段組[column composition]
  • 1 ページを2 段以上で組む文字組版の方法。通し組(1 段組)に対して用いる。

  • 段間[column space]
  • 1 ページを2 段以上で組む段組における段と段の間のスペース。通常段を識別しやすくするために行間よりも大きいスペースを確保して段を区切る。また罫線で区切る場合もある。

版面

有限会社 セネカ
代表取締役
野尻 研一

(Jagat info 2014年9月号より転載)

プロの意識で取り組むDTP

印刷業界で一般的に使用されるようになったDTP(Desktop publishing)という用語は、ページレイアウトソフト「PageMaker」の販売開始にあたり、米アルダス社ポール・ブレイナード社長が1986年に生み出した造語である。 続きを読む

クロスメディアエキスパートの必要性

クロスメディアは、既に一般的な用語となった。コンバージェンスの視点や、メディアミックスとクロスメディアの違いから、言葉の定義も含めたクロスメディアの進化について考察する。

メディアのコンバージェンス

コンバージェンス(Convergence)を「収束」や「集中」と直訳することで、様々なもが1つに集約されると考えられる傾向がある。メディアにとっ てコンバージェンスとは、様々なメディアが融合することで、ビジネスモデルに変化をもたらし、収益構造の進化が期待できることも意味に含まれる。

テレビ放送や新聞は、経営母体が同一である傾向がある。テレビ放送や新聞にとって、両者共に取材記者が必要となるが、取材記者は兼任できるのではないかといった考え方に、コンバージェンスが存在する。

従って、様々な情報の発信源が共通化される可能性が高まる。様々なデジタルメディアの普及により、流通する情報が細分化され、多様なものが登場している。 それらの発信源を共通化し、コントロールしていくといった意味合いが、メディアにとってのコンバージェンスに含まれる。

クロスメディアエ キスパート認証制度は、コンバージェンスが社会に浸透することを前提とし、必要な能力や技術を体系化することから始まった。メディアの多様化により、クロ スメディアを考慮したソリューション能力の育成が必要である。実際には、メディアを活用したプロモーションに相当する場合が多くなる。プロモーションで は、予算を含む適切な計画が重要視される。

クロスメディアエキスパート認証制度では、プロモーションだけではなく、メディアを活用する 様々な場面で活躍ができる人材の育成が目的となっている。メディアを利用する組織は多肢に渡り、必要不可欠なものとしてペーパーメディアやデジタルメディ アが使われている。それらのメディアにとってコンバージェンスは、避けて通れない方向性であると考えられる。

クロスメディアとメディアミックス

クロスメディアとメディアミックスの違いは、様々なメディアの役割や特徴、その変化に対応する差異から捉えることができる。特にデジタルメディアの場合、インターネットの活用がビジネスモデルの変化を促す要素として重要視される傾向がある。

ビジネスモデルの構築へ

IT(Infomation Technology)の活用は、コンピューターによる処理が前提となり、人間による処理を極力避け、自動的に処理を行う流れと考えられる。 DTP(DeskTop Publishing)で例えると、これまで人手により頁単価で行っていた作業をサーバーとデータベースを介した自動組版で置き換えることで、ワークフ ローやコストモデルが大きく変化する。WebコンテンツのCMS(Content Management System)化についても、あてはまる事例である。

ネットワークの発展より、インターネット中心に、モバイル端末がメディアとして普及 し、ホットスポットによる公衆無線LAN環境も一般化した。別の表現では、「ユビキタス化が進行している」と表すことができる。ユビキタスの「いつでもど こでも」といった方向性は、スマートフォンを中心としたモバイル端末により実現されているが、ICタグやクラウドサービスも含め、様々なコンピューターに よる処理が「いつでもどこでも」を支えている。

メディアとは、「コンテンツの入れ物」と考えることが、本質を掴むきっかけになる。デジタ ルメディアの例では、コーポレートサイトやブログ(Blog)、SNS(Social Networking Service)など、運営形態が異なっていても、閲覧者とって同質のものと捉えられる傾向があり、際限なく様々な様式のコンテンツが登場し、メディアの 種類も増加する。コンテンツ制作の視点では、メディアが流動的になる変化により、困惑を生じている。

ソリューションに必要な能力は、時代 を超越した普遍的なものが必要であるが、加えて、大きく変化しつつある要素を考察し、巧妙に要素を活用することが重要になる。新技術に伴うコストや、サー ビスの提供価格などは、ITによる自動化が進むことで、下落する変化がメディアを取り巻く環境で起こると予想ができる。

したがって、流動 的な社会環境に翻弄されないため、メディアやITに関するリテラシーを持ち合わせていない場合、継続的なビジネスモデルの発展を望むことは難しい。プロ モーション手法の大きな変化に目を奪われるが、一歩先のビジネスモデルの構築を想定し、クロスメディアエキスパート認証制度のカリキュラムや試験内容は、 検討されている。

資格制度事務局

 

※本ページの内容は掲載当時(2013年10月)のものです。

【クロスメディアキーワード】インターネット広告

クロスメディアキーワード【第12回】

インターネット広告(英訳:Online advertising)は、「オンライン広告」「Web広告」とも呼ばれ、インターネットを利用するWebサイトや電子メールに掲載する広告を表し、 「ネット広告」と略される場合もある。ケータイ(フィーチャーフォン)やスマートフォンなどのモバイル端末に表示される広告もインターネット広告として扱 われる。

インターネットの普及と様々な機器によるインターネットコンテンツの閲覧が可能になったことから、広告メディアとしての価値が高 まっている。様々な手法による広告配信手法が開発されており、マスメディア広告市場が縮小傾向にある中においても、インターネット広告市場は成長を続けて いる。

Webサイトを通じた情報発信についても、販促活動の一部としてとして利用されるため、広義ではインターネット広告とする考え方もある。しかしながら、インターネットを利用した広告ビジネスが確立している現在では、広義の意味で使用されることは少なくなった。

インターネット広告の特徴

インターネット広告は、ユーザーの年齢・性別などの属性、行動履歴、地域などによって、配信する広告の内容を対象別に細分化することができる。また、広告 を表示するだけでなくインタラクティブ性を持たせることで、消費者の能動的な動きが可能となり、マスメディアでは難しいとされていた、双方向でのコミュニ ケーションが可能となった。さらに、消費者の行動履歴から読み取れる趣味嗜好に沿った広告を用意し、表示させることが可能となり、効果的な訴求を行うこと ができる。

しかしながら、インターネット上には無数の情報が溢れ、信憑性の低いコンテンツも存在している。インターネット広告によって提 供される情報は、信頼性や公正性を判断しにくいものとして消費者に判断される可能性がある。その結果、正規の広告であっても消費者の目を引かず、効果を発 揮できないものも増えてきている。したがって、インターネット広告は、様々な側面を持っていることから、利用する際は、目的に応じ、広告手法の取捨選択を 行う必要がる。

インターネット広告の分類

インターネット広告は、形状や配信方法、課金方法などで分類される。

・形状

「バナー広告」や「テキスト広告」、「メール広告」、「タイアップ広告」、「リッチメディア広告」などに分類される。

・配信方法

消費者の属性により配信対象を絞り込む「デモグラフィックターゲティング広告」や、消費者の過去のWebサイト閲覧履歴から関連性の高い広告を表示する 「行動ターゲティング広告」、検索キーワードに連動する「検索連動型広告(キーワード広告)」、Webコンテンツの内容に連動する「コンテンツ連動型広 告」、消費者の現在地に連動する「位置連動型広告」などに分類される。

・課金方法

特定のWebコンテンツへ掲載期間を保証し掲載する「期間保証型広告」や、表示回数による「インプレッション保証型広告」、アフィリエイトによる「成功報酬型広告」、クリックすることで課金が発生する「クリック報酬型広告」などに分類される。

代表的な広告配信手法による特徴

・コンテンツ連動型広告

Webサイトのコンテンツと連動した広告手法である。サイトの中の特定コンテンツかコーナーを広告主が提供する「スポンサード型」と、広告企画ものとして編集記事調に広告をアレンジする「編集タイアップ型」がある。

・オプトインメール広告

ユーザーが希望する情報カテゴリーの電子メール広告に対し、事前に受け取りを許諾し配信する広告手法である。希望情報カテゴリー別の広告配信を基本として おり、原則として希望情報以外が送信されることはない。広告メディアとしての情報は、会員数やセグメント項目などがある。希望情報カテゴリーやユーザー属 性で、条件を規定し、配信数が算出され、広告主が希望する配信日に、広告配信が基本的にできる。

・検索連動型広告(キーワード広告)

広告主が自社のWebサイトへユーザーを誘導のために、検索サイトに対し検索ワードを指定する広告手法である。指定したキーワードによる検索結果画面にお いて、表示位置が上位にあるほど、ユーザー誘導が促しやすいといわれている。1クリック当たりの料金を入札することで、広告表示権利を購入する PPC(Pay Per Click)型の広告である。広告代理店と契約することで、条件次第で複数の検索サイトへの検索結果表示が可能となり、多くのユーザーへのリーチが期待で きる。キーワードが競合し難い場合は、広告費が抑制できる効率の良い広告手段であり、ロングテール効果も期待できる。

・ストリーミング広告

映像や音声データを配信する、逐次再生型の広告手法である。ストリーミング技術を利用し、データファイルの完全ダウンロード前であっても再生が開始でき る。このため、容量の大きい映像や音声のファイルを配信することができる。ストリーミング広告は、映像や音声を使用し、表現豊かな広告を配信することがで きる。そのため、閲覧者となる消費者に対し、広告として強い印象を与えることができるといった利点がある。欠点としては、消費者のネットワーク回線速度に より、映像や音声の質が劣化する可能性があった。しかしながら最近では、消費者のネットワーク回線やシステム環境に対応した配信スピードに変える技術も発 達している。

・モバイル広告

Webサイトやメール、検索エンジンに掲載される、モバイル端末向けのインターネット広告である。モバイル端末の普及により、インターネット接続を行う消費者が急増したことで、広告媒体としての価値が高まっている。

インターネット広告の効果測定

インターネット広告の効果は、表示回数を測定対象とするインプレッション効果と、消費者が広告をクリックすることにより生じるレスポンス効果などに分けら れる。インプレッション効果は、広告字体の認知やイメージの他、ブランドや製品、サービスなど、訴求したい広告内容の認知率やイメージなどが指標となる。 レスポンス効果はトラフィック効果とも呼ばれ、クリック回数やクリック率などが指標となる。これらの効果測定手法は、インターネット広告の黎明期から利用 され、その中でレスポンス効果が主に注目される傾向にあった。広告に対するレスポンス測定が可能であることは、インターネットの特性であるインタラクティ ブ性の象徴であり、他のメディアにない大きな特長であったからと想定される。したがって広告取引においては、クリック率の高さが重視される傾向がある。

例題

次の文中の空欄[A]~[D]に入る最も適切な語句の組み合わせを下記の[解答群]から選べ。

Web検索サービスを利用し、その結果から特定のWebサイトを訪れる利用者は、その事柄に高い関心を持っていると考えられることから、検索結果を広告媒 体として活用する[A]といった広告手法が考案された。この手法では、検索結果に有料でのテキスト形式の広告を表示する。特定のキーワードに対し複数の広 告主が競合した場合は、オークションにより[B]が変わる。

インターネット広告の課金は[C]に依存することが多い。単に検索される回数の多いキーワードが、広告として有効なわけではない。対象となる利用者の要求と、親和性が高いキーワードの組合せを設定することで、Webサイトへの訪問数増加が期待できる。

検索結果で表示された広告を利用者がクリックし、最初に表示されるWebコンテンツを[D]と呼ぶ。利用者が期待通りの行動をとるか、結果が分かれる重要なWebコンテンツであり、機能させるために十分な対策を行うことが求められる。

[解答群]
 ①A:テキスト広告 B:表示頻度 C:文字数 D:ランディングページ
 ②A:リスティング広告 B:表示順位 C:クリック数 D:ランディングページ
 ③A:テキスト広告 B:表示頻度 C:クリック数 D:離脱ページ
 ④A:リスティング広告 B:表示順位 C:文字数 D:離脱ページ

[解答]
 ②A:リスティング広告 B:表示順位 C:クリック数 D:ランディングページ

※本ページの内容は掲載当時(2014年1月)のものです。

【クロスメディアキーワード】ターゲットマーケティング

クロスメディアキーワード【第17回】

ターゲットマーケティングは、急速に変化する市場に対応するためのマーケティング手法である。

  • Segmentation:市場細分化
  • Targeting:標的市場の選択
  • Positioning:製品およびサービスのポジショニング

といった要素により構成され、頭文字からSTPマーケティングとも呼ばれる。
生活者のニーズや購買行動は多様化しており、企業は「あらゆる地域の、あらゆる生活者を対象とする」マスマーケティングの実施が困難な状況になっている。そのため、ターゲットマーケティングには、マスマーケティングの代替として登場した背景がある。

Segmentation:市場細分化

「Segmentation」では、市場全体からターゲットとなる市場を抽出する。消費財であれば、年齢、性別、職種、地域、趣味、所得、家族構成などで市場を括ることが多い。しかしながら、実際には他に様々な細分化の基準が存在する。

  • デモグラフィック(人口統計的な基準で抽出する方法)
    年齢、性別、世帯規模、家族構成、所得、職業、学歴、世代など
  • ジオグラフィック(地理的な基準で抽出する方法)
    国、地方、都市、人口密度(都市部、郊外、地方)など
  • サイコグラフィックによる細分化(心理的な基準で抽出する方法)
    個人の価値観、社会的な階層、ライフスタイル、パーソナリティーなど
  • 行動による細分化(製品やサービスに対する知識、態度、使用歴、反応などを基準に抽出する方法)
    製品やサービスの購買状況、求めるベネフィット、使用経験、ロイヤルティー、購買準備段階(知らない>認知している>関心がある>欲しい)など

市場細分化の目的は、市場全体の中から製品やサービスを求めている市場を特定することにある。従って、これまでになかった新しいコンセプトにより投入される製品やサービス、市場の種類によって、さらに細分化の基準が必要になる場合もある。

Targeting:市場ターゲティング

市場セグメンテーションにより抽出した市場の中から、「標的市場」を選定する段階である。対象となる市場には、企業にとって最も魅力的なセグメントを選定 するべきであり、一般的には、「強みを活かせる市場」や「他の競合の少ない市場」を選択する。市場の成長性、市場の構造的な魅力、企業の目標と経営資源の 選択における判断要素として考慮し、その上で市場をどの程度網羅するか決定する「カバレッジ戦略」を採用する。

Positioning:市場ポジショニング

標的市場において、どのような位置で製品やサービスを提供するかを検討する。製品やサービスを競合と比較した際、例として5つの価格から1つを選択し、製品やサービスの位置づけを行う。

<5つの価格>
「ベネフィットが多く価格が高い」
「ベネフィットが多く価格が同じ」
「ベネフィットが同じで価格が安い」
「ベネフィットが少なく価格がより安い」
「ベネフィットが多く価格が安い」

ターゲットマーケティングによる効果

ターゲットマーケティングを実施することで、生活者からのニーズに対し細かい対応が可能となる。また、市場を分析することにより対象が絞られることで、そ の特性を短時間で正確に理解と把握することができる。さらに、標的市場を明確にすることで、ターゲットとなる生活者のセグメントを絞り込むことになり、そ のセグメントがどのようなニーズを持っているのかが明らかになる。ニーズを満たすために、どの様な商品やサービスを提供すべきか明確になる。特に競合と差 別化すべき機能や効用を明確にすることで、今後の市場における有利な戦略を立案することが可能となる。
支出においては、標的市場にのみ投資を集中させることができる。対象としない市場に対する投資を行う必要がなくなり、標的市場に対する有効な投資が可能となる。

ターゲットマーケティングの対象

ターゲットマーケティングは、大規模な事業だけではなく、中小規模の事業においても採用できる手法である。選定した市場において、「強み」を発揮することにより市場における生活者の中で、既存顧客の満足度を向上し、見込顧客の囲い込みをすることが期待できる。
経営資源の乏しい中小規模の事業にとって、大きな市場を細分化し、ターゲット市場を明確にすることにより、経営資源を有効活用することができる。「強み」を発揮できる市場で、安定した事業を展開することが可能となる。

差別型マーケティング

差別型マーケティングとは、ターゲットとする市場セグメントを定め、その市場に適した方法で行うマーケティングである。市場に適した製品や施策を展開し、 売上の拡大と市場でのポジショニングを確立する。しかしながら、製品や施策の多様化は、支出を増加させる。したがって、製品による売上と支出の比較を行 い、適格な意思決定が必要となる。

非差別型マーケティング

「非差別型マーケティング」とは、市場セグメントの違いを考 慮せずに実施するマーケティングである。大量に生産される製品を全国展開する際に用いられることが多い。生活者を考慮する際、「ニーズの差異」ではなく 「ニーズの共通点」に着目し、施策を立案する特徴がある。製品は様々な生活者に訴求できるデザインや機能が採用され、市場への投入を大量に行い、マスメ ディアによる広告を実施する。

集中型マーケティング

「集中型マーケティング」とは、限られた経営資源を特定の市場セグ メントに集中させ実施するマーケティングである。大規模な市場に対するシェア獲得の代替として、少数のセグメントで大きなシェア獲得を目指す戦略である。 得意とする市場に対し、集中的に製品の投入や、施策を実施する。経営資源が限られる中小規模の事業体で採用しやすい手法である。

例題

ターゲットマーケティングに関する記述として最も不適切なものはどれか[解答群]から選べ。

ア ターゲットマーケティングとは、市場の細分化を行い、製品やサービスの対象となる標的市場を定め、その市場に向けてマーケティング活動を実施することである。

イ 非差別型マーケティングとは、市場全体を対象に同一製品の投入や施策を実施することで対応するものであり、大量に生産される製品を全国的に展開する場合に用いられることが多い。

ウ 差別型マーケティングとは、複数の異なるセグメントごとに適合した製品を投入し、施策を実施するマーケティング活動である。市場にきめ細かく対応しようとするものであり、中小規模の事業体が採用しやすい。

エ 集中型マーケティングとは、経営資源と合致する得意とするセグメントに対し、集中的に施策を実施するマーケティング活動である。

[解答群]
①ア ②イ ③ウ ④エ

[解答]
②イ

※本ページの内容は掲載当時(2014年5月)のものです。

第46期DTPエキスパート模擬試験+解説講座実施

7月2日(土)JAGAT本社(東京)および西部支社(大阪)にて、DTPエキスパート模擬試験と解説講座を実施しました。
当日は、30℃を超える暑さの中、東京会場16名、大阪会場10名の方々が約7時間にわたる試験と講義に出席されました。

まずは事務局より試験制度の概要をおさらいするガイダンスを行い、模擬試験で得て欲しいポイントについてご案内するとともに、試験当日の流れと実技試験までに備えておきたい点などを把握していただきました。

続いていよいよ模擬試験の実施です。
模擬試験は、学科本試験(合計4時間)の約半分の問題数を、半分の2時間で解いていただきます。



試験後は、模範解答と採点結果分析シートによる自己採点の時間をとります。
自己採点により、DTPエキスパート認証試験の特徴であるカテゴリーごと合格基準に対する現時点での状態を確かめていただきます。
実業務では直接すべての分野の知識を用いるわけではない職種の方でも、ある一定水準の関連知識を備え、メディアビジネスの共通言語を獲得するという点がエキスパート認証の条件となります。
このオールラウンドの知識が、今後印刷周辺ビジネスも見据えた応用業務への拡がりにもつながると捉えています。

会場風景

続いて午後からは、DTPエキスパート認証委員、問題作成委員を務めるベテラン講師 石塚 晃 氏による解説講座です。
模擬試験出題問題を中心に、詳細な解説資料とともに出題テーマ全般についての解説をしていただき、受講者の方々に理解を深めていただきました。

同日開催の大阪会場(JAGAT西部支社 講師:JAGAT西部支社長 大沢)でも、講座後多くの質問をいただき、熱心に取り組まれる姿勢が垣間見られました。

毎期模擬試験時点で全カテゴリーとも合格基準を超えている方は少数です。
まずはご自身の現状を確かめ、試験当日までの残り期間を有効に使っていただければと思います。

(JAGAT資格制度事務局 丹羽 朋子)


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