資格制度」カテゴリーアーカイブ

2016年9月実施更新試験申請受付開始

2016年9月に実施いたします

  • 第46期DTPエキスパート認証更新試験
  • 第22期クロスメディアエキスパート認証更新試験

のご案内を更新対象者の方あてに本日郵送いたしました。

お手元に届かない場合でも、下記更新試験案内ページより内容をお確かめいただけます。
更新試験案内をお確かめいただくとともに、エキスパートWeb基本台帳にてご登録情報にご変更がないかどうか、お確かめください。

申請受付期間:2016年7月1日~7月21日

申請受付方法:エキスパートWeb基本台帳上で受付

エキスパートWeb基本台帳

DTPエキスパート更新試験案内

更新対象者:エキスパートIDが下記4桁の数字で始まる方
〔9402-****〕,〔9606-****〕,〔9810-****〕,〔0014-****〕,〔0218-****〕,〔0422-****〕,〔0626-****〕,
〔0830-****〕,〔1034-****〕〔1238-****〕または〔1442-****〕

クロスメディアエキスパート更新試験案内

更新対象者:エキスパートIDが下記4桁の数字で始まる方
〔0602-****〕,〔0806-****〕,〔1010-****〕,〔1214-****〕または〔1418-****〕

【クロスメディアキーワード】コミュニケーションとメディア

クロスメディアキーワード【第6回】

メディア(Media)

メディア(Media)とはメディウム (Medium)の複数系の英単語であり、媒体、媒質、伝達手段などの意味を持つ。記録や保管のための機能と、コミュニケーションのための機能に大別され る。したがって、「紙」や「CD」などは、記録や保管の技術であり、「チラシ」や「書籍」、「音楽CD」などは、メディア利用者とのコミュニケーション手 段である。撮影や印刷、コンピューターなどのメディア関連技術を活用し、円滑なコミュニケーションを図るためには、様々な知識や能力が必要となる。

コミュニケーション

コミュニケーションを用語として捉えると、様々な定義が用いられている。
本稿では、送り手(生活者)から受け手(生活者)への情報の移動、または、その移動の結果生じた心のふれ合いや共通理解、共同関係などと定義する。
送り手は、収集した情報を受け手が理解できるように構造化し編集を加えることで、価値あるコミュニケーションの実現が期待できる。生活者を支える情報を効率的かつ効果的に活用できるようにすることで、コミュニケーションの目的を達成することが可能である。
生活者の周辺には、常に膨大な量の情報が存在している。目的や意図のある情報とするには編集が必要となる。人々の経験や知識をもとに、生活者が理解できる状態に加工を施すことで、目的や意図を伝える情報として知識や知恵の源泉となる。

コミュニケーションモデル

生活者同士がコミュニケーションを行う場合、情報の送り手が伝えたいメッセージを受け手が正しく受け取ることが重要となる。送り手はメッセージを「表情」 や「振る舞い」などの「ノンバーバルコミュニケーション」と、「言葉」や「文字」などの「バーバルコミュニケーション」や「図」として表現する。受け手は この表現を解釈し、送り手のメッセージを理解しようとする。
メッセージによる情報共有プロセスは、送り手と受け手の間で、表現や文脈(コンテキスト)に関する共通の知識や理解の所有が前提となる。
受け手のメッセージ理解は、メッセージの内容や受け手の経験により異なる。生活者の様々な情報に対する処理方法は、情報提示の仕方により異なる。

メラビアンの法則

メラビアンの法則は、アルバート・メラビアンにより提唱された概念である。情報の受け手は、話をしていることと態度が異なっている場合、態度からの情報を 優先して判断する傾向がある。メラビアンの法則では、人物の第一印象は初めて会った時の3~5秒で決まり、その情報の殆どを「視覚情報」から得ているとさ れる。その割合は、「視覚情報」からの影響が55%であり、「聴覚情報」からの影響が38%、「言語情報」からの影響が7%である。また、メラビアンの法 則を拡大解釈することで、「見た目が一番重要である」、あるいは「話の内容よりも話し方が重要である」といった考え方に触れることもある。しかしながら、 メラビアンはコミュニケーション全般にこの法則が適用されるといった明言は避けている。

ザイアンス効果

ロバート・ザイ アンスは、何度も見聞きすることで、次第に良い感情が起こるようになる効果があると提唱している。会う機会の多い人や、何度も聞く音楽は、好きになってい く傾向があることを意味する。経験による潜在記憶は、印象評価において誤って帰属されるといった、知覚的流暢性誤帰属説で説明されている。また、潜在学習 や概念形成といった働きも関わるとされている。この傾向をザイアンス効果や単純接触効果と呼ぶ。セブンヒッツ理論では、ザイアンス効果を理論的に発展さ せ、マスメディアやミドルメディアにより、消費者が商品に関連した情報に7回触れることで、店舗やECサイトでその商品を購入する確率が高くなると提唱し ている。

コミュニケーションの種類

コミュニケーションは、その対象により3つに分類することができる。「対人コミュニ ケーション」は、日常会話の様に、特定の相手を限定した、電話や手紙を活用する、個対個のコミュニケーションである。「集団コミュニケーション」は、講演 会や会議、社内報など、限定された小集団のコミュニケーションである。「マスコミュニケーション」は、新聞や雑誌、テレビ、ラジオなど、マスメディアを通 じた大量伝達による、不特定多数に対し行われるコミュニケーションである。一般的に情報の流れは1対nで一方向となる。送り手と受け手の接触が間接的であ り、伝達の効果や反応の測定が難しい。

コミュニケーション手段

文明の発達に伴い、コミュニケーション手段は進化している。進化は4つの変革によると考えられ、「言語の使用」や「文字の登場」、「印刷技術の発明」、さらに、「高度情報化社会」とされている。
高度情報化社会では、コンピューターの発達や情報のデジタル化、インターネットの普及などが生活者に大きな影響を与えている。高度情報化社会を支えるメディアは、技術の進展により変化を続け、様々な電子メディアが登場している。

高度情報化社会とコミュニケーション

20世紀後半には、情報技術の発展により様々なメディアが登場した。情報通信網であるネットワークが整備され、コミュニケーションを取り巻く環境は高度化 した。コンピューターに関する技術により、数値から文字、画像、音響、映像など、様々な情報がデジタル化され、活用されるようになった。さらにネットワー ク技術により、メディアによる双方向コミュニケーションが実現した。
コミュニケーションはメディア活用により、1対1から1対n、n対nへの進化している。

例題

次の文中の空欄[A]~[C]に入る最も適切な語句の組み合わせを下記の[解答群]から選べ。

メラビアンの法則とは、アメリカUCLA大学の心理学者であるルバート・メラビアンが1971年に提唱した、人物の第一印象は、初めて会った時の3~5秒 で決まり、またその情報のほとんどを「[A]」から得ているといった概念である。この概念は、初対面の人物を認識する割合は、見た目などの「[A]」から の影響が55%であり、口調や話の早さなどの「聴覚情報」からの影響が38%、話の内容などの「[B]」からの影響が7%であると提唱した。

情報の受け手は、話をしていることと態度が異なっている場合、態度からの情報を[C]して判断する傾向がある。その傾向については、メラビアンの法則とし て有名になり、拡大解釈から「見た目が一番重要」、あるいは「話の内容よりも話し方のテクニックが重要」という趣旨で受け止められることも多くなった。し かしながら、メラビアンはコミュニケーション全般にこの法則が適用されるといった明言は避けている。

[解答群]
 ①A:視覚情報 B:言語情報 C:後回しに
 ②A:言語情報 B:視覚情報 C:優先
 ③A:言語情報 B:視覚情報 C:後回しに
 ④A:視覚情報 B:言語情報 C:優先

[解答]
 ④A:視覚情報 B:言語情報 C:優先

※本ページの内容は掲載当時のものです。

2016年8月試験 長野にて開催決定

2016年8月21日(日)実施の第46期DTPエキスパート認証試験/第22期クロスメディアエキスパート認証試験につきまして、従来のJAGAT会場7会場(東京・大阪・名古屋・福岡・仙台・札幌・新潟)に加えて、長野会場を追加設置することが決定しました。

長野県印刷工業組合のご協力のもと、6/16に長野市内にて実施した両資格ガイダンスセミナーでは、合計約70名の方々にご出席いただき、エキスパート認証制度に対する理解を深めていただきました。

今回、長野県印刷工業組合に限定せず長野近県の方々の受験利便性の向上を目的に、長野平青学園をオープン会場として試験を実施することとなりました。

長野県および近県にお住まいの方で、すでに別会場で受験申請した方は、申請受付期間内にお申し出いただければ、特例として会場振替の対応をいたします。
その際は、下記JAGAT資格制度事務局までご一報ください。
※長野会場への振り替え以外では、申請後の会場変更は承れませんことを悪しからずご了承ください。

JAGAT資格制度事務局
e-mail: expert@jagat.or.jp
TEL(03)3384-3115

第46期DTPエキスパート認証試験新出題項目

2016年8月21日(日)に実施する第46期DTPエキスパート認証試験の試験問題について、下記の通り新出題項目を発表いたします。(6月27日)

(1)デジタルマーケティングの普及とDM・デジタル印刷連動

(2)DTP・印刷の基本を再確認する
 ・組版・レイアウトの基礎
 ・印刷の基礎、主要アプリケーションの機能・操作

(3)印刷物制作の品質管理、ミス防止
 ・事故防止対策、検版ワークフロー
 ・データの保存(サーバー、クラウド)やバックアップ

(4)印刷物制作と制作指示書における留意事項

(5)色校正の現状と印刷物のカラートラブル対策
 ・カラーマネジメントの応用
 ・どのように信頼性を担保するか
 ・理想的なカラマネワークフロー(印刷、Web他を含めて)

(6)セキュリティ(偽造防止)技術の動向

以上の項目がそのまま問題数と対応するわけではありません。
項目によっては2つ以上の出題になる場合があります。
また、新出題にともなって従来問題の入れ替え、統合、削除などが発生しますし、それ以外の従来問題についてもアップグレードを行ないます。
結果的に、新出題項目を中心として全体の20%くらいの問題が入れ替わることになります。

ご注意:この発表はあくまでも新項目であり、新問題の発表ではありません。試験の公平性維持の意味においても、上記項目以上の情報提供はいたしかねますので予めご承知おき下さい。

エキスパート優待案内 2016年7月

エキスパート有資格者の皆様に提供させていただく各種優待制度のご案内です。
エキスパート受験予定者向け資格者ご本人優待や、現役エキスパート推薦による受験予定者に向けたご優待をご紹介しています。

  • 優待の申込は期間限定です。各ご優待の申込期限を必ずご確認のうえ、お申込ください。
  • 今後も優待制度のご案内はメールでお送りしてまいります。ぜひ基本台帳にメールアドレスをご登録ください。
  • 第45期DTPエキスパート試験合格者/第21期クロスメディアエキスパート試験合格者の方々につきまして、現在基本台帳登録のメンテナンス中です。登録が完了し次第ご案内いたしますので、今しばらくお待ちください。

エキスパート優待制度

1.有資格者ご本人ご優待

ダブルライセンス取得推進優待

受験予定者入手必須の模擬試験問題を無料にて進呈いたします。
この機会に是非DTPエキスパート/クロスメディアエキスパート 2種の資格取得をご検討ください。

2.有資格者による第46期DTPエキスパート/第22期クロスメディアエキスパート受験予定者ご優待

メディアビジネスの牽引役となるべきより多くの人材に対し、本試験を受験しやすい環境を提供するため、現役エキスパートの方のご紹介により受験予定の方の 受験準備にご利用いただける優待特典をご案内いたします。

優待特典

模擬試験問題を無料送付
46期用模擬問題は、7月1日より配布開始です。

優待対象者

第46期DTPエキスパート/第22期クロスメディアエキスパート認証試験を受験予定で、今後「印刷メディア設計のスーパーバイザー」および「メディア戦略のコーディネーター」としてふさわしい能力があると思われる方、またはその可能性のある方。

  • 優待制度の趣旨に鑑み、推薦者ご本人やエキスパート有資格者、受験を予定していない方のご利用はお断りいたします。
  • お申込みには、ご紹介者となるエキスパート有資格者のエキスパートIDおよびお名前が必要となります。

申込方法

申込期間 2016年7月1日~2016年7月29日

エキスパートWeb基本台帳より優待制度申込書をダウンロードのうえ、お申込みください。
エキスパートWeb基本台帳 ログイン
ログインには、エキスパートIDおよびパスワードが必要です。
パスワードがお手元にない場合は、ログイン画面の「パスワード照会フォーム」より取得してください。

  • ご住所など登録情報に変更はございませんか?エキスパートWeb基本台帳でご登録情報をご確認ください。
  • 基本台帳はメンテナンスのため6月下旬より一時的にアクセスできなくなることがございますのでご注意ください。7月1日より再オープンいたします。
ご注意

第46期DTPエキスパート認証試験/第22期クロスメディアエキスパート認証試験の受験は、別途申請が必要です。
受験申請は、下記より行って下さい。
第46期DTPエキスパート認証試験 受験申請
第22クロスメディアエキスパート認証試験 受験申請

第1期クロスメディアエキスパート認証第2部試験「与件: 国際芸美社」

状況設定

わが社

都市圏の中堅商業印刷の会社で,印刷以外にもプロモーションビデオの受注や,Web制作などをしている。子会社にデザイン会社がある。

以前はプリプレス部門でDTP化推進に関わっていたが,今はWebを含めて制作管理の立場で,社内の現場や外注の制作へ仕事を分配して,進行管理をしている。営業担当者の相談相手にもなっている。場合によっては営業担当者とともに顧客のところへ説明に行くこともある。

プロジェクト

この印刷会社の顧客に額縁などの製造販売を行う国際芸美社がある。台東区浅草橋に本社があり,工場や流通倉庫は地方や海外にもある。
わが社はカタログ・パンフ・説明書などを受注している。またポストカードや絵画の複製印刷物,個展や展覧会の図録の印刷なども国際芸美社を通じて受注している。同社のホームページの一部もわが社で手がけたことがある。
私は国際芸美社を担当している営業担当者から,近年のうちに木田社長が交代するので,それに向けて新たな方向性を出そうとしているという話を聞いて,何かこのクライアントを手伝えることはないかと相談を受けた。
そこで,国際芸美社のことを調べ直してみると,ポストカードとフォトフレームに関して新たな動きがあることがわかったので,営業と制作の何人かで提案プロジェクトを作り,私がリーダーを務める。

提案時期

社内のプロジェクトで国際芸美社についてまとめていた時点で,同業他社が国際芸美社のWebでの販促提案をしようとしているという情報が入った。そこで営業に様子を探らせた。
国際芸美社はWebでの販促を新規事業として意気込んでいる様子である。新規事業のプロモーションや受発注のシステム,またその委託先をどうするかを数社のコンペにより決めるようである。木田社長はこの件には意欲的で,来月半ばにはわが社の社長宛にプレゼンをするように要請するようだ。
このため,1週間以内に社内でラフな提案書を作成して,コンペに耐えられるよう一度揉んでおかなければならない。まずこのプロジェクトのリーダーである私が今日にも提案の骨子作り,社内に根回ししなければならない。

<社外秘>
KGプロジェクトメモ 2006.3.26 

国際芸美社 会社概要

<社名>
株式会社 国際芸美社
<設立>
創立1965年(昭和40年)10月21日
法人1974年(昭和49年)10月23日
<資本金>
2千万円
<売上>
13億5千万円(2004年)
<従業員>
65名(中国を除く)
<所在地>
本社 東京都台東区浅草橋6-1-3
大阪営業所 大阪市東区淡路町7-10-10
流通センター 千葉県市原市五井4-4-18
工場 国際藝美廠 広東省東莞市
工場 青島藝美有限公司 山東省青島市
<役員>
代表取締役 木田邦彦 専務取締役 若枝三郎 常務取締役 木田靖彦
<業務内容>
額縁/各種フレーム/絵画/木工製品/写真関連紙製品/各種包装資材
<売上>
卸:8億円,店舗:東京・大阪3億円,デパート外商:2億円
ネット販売:5千万円

<企業沿革>  
1965年 10月 東京都台東区浅草橋に額縁製造販売として創業する
1970年 3月 千葉県市原市五井に額縁製造工場を移転する
1974年 10月 資本金300万円 法人 株式会社国際芸美社とする
1976年 10月 大阪市東区淡路町に営業所を開設する
1978年 5月 資本金500万円に増資する
1983年 1月 中国東莞工場開設し 千葉県市原市は流通センターに
1988年 6月 資本金を1千万円に増資する
1994年 8月 フランス,アレコ社の日本総代理店となりインテリア商品を扱う
1995年 2月 資本金を2千万円に増資する
1997年 6月 中国青島工場開設
2000年 8月 銀座プランタン1Fにインテリアグッズの小売店として出店する
2002年 3月 通販事業部を開設し,ネットショップをオープン
2004年 12月 オーストリア,キレト社の代理店となりインテリア商品を扱う

歴史(沿革の補足説明)

株式会社国際芸美社は,上野で油絵のカンバス製作や美術館の額縁の修理をしていた木田工芸店を継いだかたちで木田邦彦が1965年に会社組織として創業した。
木田工芸店の時代から美術館などに出入りをしていたつながりで,当初から学校や画商など比較的顧客には恵まれていた。さらに,特定のニッチマーケットから抜け出て,企業や富裕層を対象にビジネスを広げたい,と考えたことが創業のきっかけであった。
1970~1980年代は事業が順調に推移する。いち早く中国に生産拠点を移して,国内は販売に徹することで企業としては大きく飛躍した。しかし国内の競争相手も同時に増加してバブル期を迎えた。

この時期まで業態としては「木工屋」の範疇で,よいものを安く大量に作ることに注力し,画材店やデパートの外商などへの卸が主流であった。現在でもその延長にあるが,バブル後は企業向けの絵画販売が滞ったこともあって在庫量の増加が経営を圧迫した。
そこで,画材店のような自社店舗をインテリアショップのように変えて,独自で顧客にアプローチする政策をとり,卸の比率を6割近くまで下げていった。
インテリアの需要の開拓のために,額縁の中に入れる複製絵画や彫刻などの美術工芸品の扱いを増やし,またヨーロッパのインテリアグッズのライセンス生産をする拠点として,中国青島工場を開設した。

ショップが商業店舗向け営業拠点の浅草橋にあることが利点となり,インテリア用品が店舗設計のコンサルタントの目にとまった。これにより,額縁の売上の落ち込みをかなり補うことができた。しかし一般顧客向けには銀座に近いほうがよいと判断し,銀座のデパートにアンテナショップを出店した。
このアンテナショップによって,比較的高額な卓上のフォトフレームが,それなりに売れることがわかった。これは創業者の子息である常務取締役の木田靖彦がヨーロッパ留学していた折に,オーストリアのある小さな工房が百数十年前と同じものを延々と作り続けてきたことを知る機会があり,その工房から年2回くらい仕入れているものである。
フォトフレーム自体は100円ショップでいくらでも売られている時代なので,それまではビジネスとしては重視していなかった。しかし,ヨーロッパの伝統的で重厚なフォトフレームは,他ではほとんど扱っていない商品なので,これをネット販売してみようという話が持ち上がり,ネットショップを立ち上げた。ただしネット上では全商品を販売している。

事業上の課題

インテリア商品は額縁も含めて嗜好が多様化しており,しかも全般的には価格も下落傾向にあり,在庫管理に頭を痛めている。今までの総花的,デパート的なやり方は非効率になる。企業としてもポリシーを決めて特徴を出さなければならなくなっている。

インテリア商品は頻繁に購入するものではないが,気に入ってもらえれば,自宅に訪問した来客などに口コミで伝わる。うんちく話も効果があって「年に何個しか同じ物は作っていない」という話も一人歩きする。そうして知った人がネットで購入することがある。しかし口コミ頼みの受身から脱却しなければならない。

従来の顧客が油絵中心であったために,インテリア商品の選択もヨーロッパ中心にしないと顧客の反感を買う。そのために今日どこでも見られるような,動物や風景写真などの癒し系,カワイイ系キャラクタなどの商品は扱っていない。国際芸美社のポリシーとしても使い捨てのグラフィックには関与せずに,永く鑑賞に堪えられるものを中心にしようという考えがある。このポリシーによって自ら市場を狭めてしまわないように配慮している。

ネットショップではギフト商品がよく売れるが,額縁やフォトフレームという「容器」だけではギフトにならないので,コンテンツも品揃えとして必要になる。しかしそこにあまりコストをかけることはできない。またコンテンツがよくても,ありきたりではギフトとして選択されない。そこで資料Cや資料Dのようなコンテンツ販売をしていることころから仕入れている。これらコンテンツの販売サイトとの連携で,フレームの販売もしてもらえるような仕組みを模索している。

ネットでのギフトの選択は,購入者の信用をどのように得られるかで,売上金額が決まる。今のところ信用は口コミと購入者しかなく,社名のブランド力はない。またヨーロッパのライセンス元も日本では無名である。購入者のリピートや口コミ力を高めたい。リピート顧客であっても,以前と種類の違う商品を購入する場合が多く,ネットショップでの品揃えは必要である。しかし在庫は持ちたくない。

数年以内に今の社長が退き,常務が社長を継ぐとみられる。創業者が「木工屋」であったのと違って,常務は自らの滞欧経験からアートに貢献したいという思いをもっていて,資料Cや資料Dのようなコンテンツとの交渉も自ら行っている。常務の力で複製画や写真の売上は伸ばしてきた。これからの国際芸美社の方向性も常務の発言力が強く反映すると考えられる。営業担当者にも見る目を養わせようと,美術館や画廊に通わせている。

ご注意

本試験時点では、上記文書のほか、「財務諸表」、「参考資料(Webページの抜粋)」などが配布されます。