*講談社とNECは、2014年9月に印刷物や電子書籍用のコンテンツ制作・管理システム、スマート・ソース・エディター(以下SSE)を開発し、本格運用すると発表した。さらに、2015年6月にはKADOKAWAが同システムを導入すると発表されている。出版社によるコンテンツ管理のねらいとは何か。
「テキスト&グラフィックス部会」カテゴリーアーカイブ
スクリーン印刷とニューテクノロジー
*スクリーン印刷の製版技術を応用したスクリーンマスクなどの製造、およびスクリーン印刷で製作していたインモールド成型用のフィルムをオフセット印刷する技術を取り上げる。
スクリーン印刷とプリンテッド・エレクトロニクス
印刷技術は成熟段階に到達したと言われることもあるが、それはごく狭い範囲のことに過ぎない。例えば、スクリーン印刷とその周辺技術は進歩の度合いが大きく、プリンテッド・エレクトロニクスなど世界的に注目されている。
出版社にとってのプリントオンデマンド
長年、言われ続けたPOD が日本でも花開こうとしている。 続きを読む
中国の印刷・出版市場とプリントチャイナ2015
*プリントチャイナ2015に見る中国の印刷技術動向を報告する。また、3年半の広州駐在員生活の視点から現地の印刷・出版事情、さらにネットワーク、電子書籍、SNSなどメディア関連事情を紹介する。
「円安人民元高」と中国の印刷動向
世界の印刷業界の中でも、中国の存在感はますます大きなものとなっている。
制作効率をアップするカタログ自動組版とWeb連携
モバイルデバイスなどのメディアは多様化が進んでいるが、だからと言って販売促進や情報発信にかける人員や経費を増やすことは許されない。
オンデマンド印刷による小ロット出版の実現
近年、講談社、小学館など大手出版社が本格的なデジタル印刷・製本設備を導入した。出版社が自前の設備で小ロット出版に取り組むことであり、話題となっている。
サーバー自動組版と電子コンテンツ連動、画像圧縮技術
フリーペーパーや製品カタログなど大規模な印刷物制作・情報発信において、サーバー自動組版や電子コンテンツの自動生成が大きな効果を上げている。
ギフトカタログのWeb to printと電子版制作
DTPによる印刷物制作とWeb用のHTML制作を別々に進行することは、校正やチェックが2重となり、時間・コスト的にもさまざまな無駄が発生する。コンテンツを一元化し、DTPソフトに依存せずにPDFデータ作成とHTML展開を行うことが出来ないか。
共同印刷の藤森良成氏にギフトカタログのWeb to printに取り組んだ経緯を聞いた。
■DTPによるカタログ制作の問題点
ギフトカタログは定型レイアウトがほとんどで、基本パターンとして1つのページに商品単位の小組をレイアウトする。自動化しやすいケースではあるが、さまざまな要因から自動化されていないことも多い。DTPでフルに制作している場合、商品ごとに製造元や生産者に原稿(データ)と掲載内容に関してアナログなやり取りが発生し、たいへんな手間・コストがかかる。また、DTP上の修正はデータベースに反映することはできないため、次年度のトラブルの種になってしまうという問題があった。
■CatalogPackerの構成と機能
CatalogPackerは、ネットワーク上で定型カタログを制作するためのWeb to Printであり、自動組版システムである。Webブラウザ上で動作するため、OSに依存せず、各PCにDTPソフトウェアをインストールすることも不要である。
商品DBをメンテナンスするユニットとそのデータを組版し割り付けるユニットで構成されている。DBの内容はクライアントや商品のサプライヤーに直接直してもらうことを想定している。DBを修正した後、小組単位で自動組版してPDFを作成し、校了まで進める。
ページアップした後の校正は行わない。実際にはバックグラウンドでXSL-FOを生成し、AH Formatterで組版レイアウトを行っている。
例えば旅行のカタログを作る場合、通常のRDBなら朝昼夕の食事回数を0,0,1と記号化して入力し、印刷物にする際に「朝食0回、昼食0回、夕食1回」という文字列に変換している。
食料品の通販であれば、チルド、冷凍などの区分を文字ではなくマークや画像で表現してほしいとなる。
このような印刷物上のルールを、全部印刷会社側で管理すると校正漏れやミスも多くなる。
そこで、価格・スペックなどを格納する商品DBと、印刷物上の文字列などをXML形式で記述する体裁情報DBに分けた。価格・スペックの修正は、常に体裁情報DBに同期されるようになっている。
小組のレイアウト指示は簡易設定画面から行う。小組の縦横サイズやどの位置にデータベースのどの項目を配置するか、その条件などを設定する。プレビューボタンを押すと、作ったレイアウトにデータベースの1件目が流し込まれて、結果を確認することができる。裏側ではXSL-FOで動作しているが、DTPや組版の専門的な知識は必要ない。簡単なトレーニングでWebオペレーターでも対応できるレベルである。
InDesignなどのDTPでカタログを制作する際、難しいとされているのが爪(インデックス)の自動発生である。例えば、北海道とか東北とか海鮮品なのか野菜果物なのか、フラグによって爪の色や文字、位置を変更する。DTPではオペレーターが手作業で配置するしかないが、XMLなので自動生成することができる。
レイアウト後にデータ修正をする際、画面をクリックすると「データを修正しますか。それともレイアウトを修正しますか」と選択できるようになっている。価格データを修正すると、連動して小組に修正が反映され、PDFが自動で作成される。
また、「今回だけこの価格を特別値引きにしたので、色を変えてほしい」といった修正であれば、レイアウトの情報だけを変更すればいい。
このような形でデータと体裁を分離し、管理しているためコンテンツの一元化を実現することができる。
■今後の課題
実際に運用してみると、一番の問題は商品のサプライヤーが画面上でのデータ修正に慣れていないことであった。
また、この仕組みは定型カタログが対象である。定型カタログはカタログの12~13%でしかない。大量部数であるため仕事としては重要だが、頻度は少ないというのが実態である。
今後は、CSS組版による印刷データ制作にトライしたいと考えている。CSS組版ができれば、Webと共通のラインで紙でも電子でも制作することができる。このような形でコンテンツの一元管理を進めていくことで、印刷会社がシステムインテグレーターやWeb制作会社と差別化することが可能になる。
(JAGAT 研究調査部 千葉 弘幸)