製造業にもサービスにも活用される、IoTのしくみとは

掲載日:2019年8月5日

IoT(Interner of things)は「モノのインターネット」という説明がされることが多いですが、それだと、わかるようなわからないような。今回はIoTのきほんのしくみと活用事例を紹介します。

IoTのしくみとは

IoTをざっくり説明すると、「いろんなモノの状態をセンサーで取得して、それに対して何らかを操作するしくみ」です。 専用アプリをインストールしたスマホからカギやエアコンなどを操作するスマート家電はIoTの代表例です。 身近なところでは活動量計などの機能を備えたウェアラブルデバイスもそうです。

もう少し分解すると、「センサー(またはセンサーがついたデバイス)」「ゲートウェイ」「サーバー」で説明することができます。

気温、心拍数、湿度などの「状態」をセンサーで取得し、デジタルデータとしてサーバーに送ります。取得したデータを集計したり比較・分析した結果、機器を操作したりメッセージを表示したりするのが基本的なうごきです。

たとえば、手でカギを開けなくてもスマホで開錠できるスマートロックは、ドアに設置したセンサーとスマホが認証情報を送受信して自動で開錠するしくみです。

IoTのしくみイメージ

製造業で活用されるIoT

IoTに特に注目しているのは製造業の分野で、機器のメンテナンスや管理の最適化に活用が進んでいます。工場におけるIoT活用の例としては、機械の異常検知が挙げられます。

工場の機械にセンサーを設置し、音や振動、温度などのデータを取得+蓄積します。まず正常な状態のデータを登録しておいて、センサーで取得するデータを比較しながら異常と判断するとパトランプを点灯させたり設定したメールアドレスに通知を送るなどフィードバックするしくみです。人が判断していたことをシステムで自動化することで省人化できます。

ほかにも工場内の温度管理データを自動取得することで人手による記録漏れを防いだり、品質管理に役立てる等の利用がされています。工場以外でも、作業現場やオフィスなどでも利用されだしています。産業分野のIoTのことを特にIIoT( Industrial Internet of Things)と呼んでいます。

出典: 「IoT時代に向けた移動通信政策の動向」(総務省Webサイト・ 2016年11月21日 )

IoTはいろいろ使われている

製造業やオフィスといったビジネス利用だけでなく、わたしたちにとって身近なIoT製品・サービスもたくさんあります。IoTを活用した商品・サービスの例を2つ紹介します。

MaBeee(マビー)

MaBeeeは、ノバルスが開発した 乾電池で動く製品をIoT化できる乾電池型のデバイスです。単4電池をセットしたMaBeeeを単3電池で動く機器に入れると、 IoT機器として操作できるようになります。子供向けの教育玩具や高齢者のみまもりなどに利用されています。

VACAN(バカン)

VACANは、レストランの空き状況をデジタルサイネージで表示するサービスです。 レストランに設置されたセンサーやカメラから取得したデータをインターネット経由でサーバーへ送り、AIが解析して「今満席かどうか」「空きがあるかどうか」を確認して表示します。

混んでいないところを利用したいというニーズに対してリアルタイムで混雑情報を提供しています。さらにサイネージに表示されているQRコード経由でスマホのブラウザから混雑状況を確認できるようにし利便性を高めています。

JR東日本と共同で実施した実証実験では、大宮駅や東京駅内カフェの空き状況をデジタルサイネージに表示したところ、既存サイネージと比較して多くの視聴数を獲得しました。

バカン プレスリリースより(2018年5月10日)

IoTは使い方次第

IoTは効率化・省人化目的だけでなく、困りごとを解決したり、新しい価値を提供する製品・サービスとしても利用されています。また店舗の状態を取得してマーケティングに活用する動きも進んでいます。

取得する情報(データ)の種類とアウトプットの方法によって多様な使い方ができるIoTは、今後ビジネスへの貢献度が高い技術としても捉えられています。

(JAGAT 研究調査部 中狭亜矢)

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